消費者金融カードローンや銀行カードローン、クレジットカードのキャッシングなどお金を借りる方法はいろいろありますが、会社にお金を借りることもできます。
その一つが従業員貸付制度です。カードローンのように用途が自由ではないので、必ずお金を借りられるとは限りませんが、低金利で借りられます。また、前借りという方法も会社にお金を借りる方法の一つです。
利用条件や返済方法はどういった内容か、また借りる際の注意点についても知っておきましょう。従業員貸付制度や前借りといった、会社にお金を借りる方法について解説します。
- 会社にお金を借りるなら「従業員貸付制度」を確認してみる
- 「前借り」で会社にお金を借りることも可能
- 会社にお金を借りるメリットは借りやすく返済しやすいこと
- 会社にお金を借りる際に知っておきたい注意点
- 「会社にお金を借りる」に関連するよくある疑問
- Q 会社からお金を借りることのできる従業員貸付制度を利用できる条件は何ですか?
- Q 会社にお金を借りる際の審査とはどのようなものですか?
- Q 従業員貸付制度で会社にお金を借りる場合の手順は?
- Q 会社からお金を借りることのできる金額は勤続年数によって変わりますか?
- Q パートやアルバイトでも会社にお金を借りることはできますか?
- Q 会社からの借入金利は一般的な金融機関のローンと比べてどうですか?
- Q 会社からお金を借りた場合、返済期間はどのくらいですか?
- Q 会社にお金を返済する方法はどのようなものがありますか?
- Q 会社からの借入に際して税金はかかりますか?
- Q 会社が従業員に貸付を行う際のリスクはありますか?
- 会社にお金を借りる際は内容をよく確認して借りる
会社にお金を借りるなら「従業員貸付制度」を確認してみる
会社にお金を借りる方法の一つが「従業員貸付制度」です。従業員貸付制度は福利厚生の一つで、緊急にお金が必要になった場合などに、会社員が会社からお金を借りられる制度です。
通常のカードローンや銀行の貸付などより低金利で、返済がしやすいのがメリットです。従業員貸付制度の詳細は会社によって異なりますが、一般的な内容について解説します。
誰でもOKではない!従業員貸付制度で会社にお金を借りる際の条件
会社にお金を借りることのできる従業員貸付制度を利用するには条件があります。一つは正社員向けの制度であることです。そのため、パートやアルバイトでは利用できません。
パートやアルバイトの場合、短期で退職されてしまう可能性もあるため、貸付対象は正社員に限られているケースが多いのです。また、派遣社員や契約社員も利用できない場合が多いでしょう。
従業員貸付制度では信用情報機関をチェックすることはない
従業員貸付制度で会社にお金を借りる際には、審査があるのが一般的です。審査といっても、カードローンやクレジットカードのように、信用情報機関をチェックしたり、在籍確認をしたりするような審査ではなく、会社にお金を借りる理由に関する審査です。
金融機関からお金を借りるときには返済能力が重視されるため、収入を証明する書類の提出や信用情報の確認、在籍確認などが行われます。信用情報機関には、カードローンやクレジットカードの契約や取引状況が登録されています。
情報に返済遅延や滞納、自己破産や任意整理などの債務整理情報が登録されていれば、審査通過できず、お金を借りることはできません。
従業員貸付制度はお金を借りる理由が条件に合っていればお金を借りることが可能です。企業によっては社内のルールを乱していないか、信用できる社員か、といったことも審査対象になることもあるようですが、トラブルを抱えていなければ、問題ないと言えるでしょう。
従業員貸付制度で会社にお金を借りるには「理由」が必要
従業員貸付制度で会社にお金を借りるには、理由がポイントです。買い物に使いたい、家族で旅行に行きたいなどといった理由ではお金を借りられないと考えましょう。正当な理由としては、次のようなものがあります。
- 病気やケガを治療するための入院費や治療費
- 出産の費用
- 災害などによって被害を受けた際に必要となる費用
- 子どもの入学・修学費用
- 交通事故などの損害賠償費用や修理費
- 冠婚葬祭などの急な出費
特に緊急性が高い場合は会社にお金を借りることができる可能性が高いです。また、企業によっては、スキルアップのための資格費用などが対象となるケースもあるようです。
従業員貸付制度で借りられる金額は勤続年数によることもある
従業員貸付制度による借入額は会社によって異なりますが、勤続年数によって決まっているケースもあります。勤続年数が長いほど、借りられるお金も多くなります。反対に、入職したばかりだと会社にお金を借りることができない場合もあります。
従業員貸付制度は給料の前借りとは異なる
会社にお金を借りる方法として前借りを思い浮かべる人もいるでしょう。会社にお金を借りるという点においては同じですが、前借りと従業員貸付制度は異なる点があります。
前借りは自分のもらえる予定の給料から早めにもらうものです。そのため、給料から借りた金額を差し引かれるため、そのときの収入は減ってしまいます。
従業員貸付制度は会社のお金から貸し付けるものなので、借りた本人の給料から差し控えるものではありません。給料の金額も減ることはないでしょう。
ただし、返済分は給料天引きとなることが多いので、どのくらい返済をしなければならないかは会社に確認する必要があります。
「前借り」で会社にお金を借りることも可能
会社にお金を借りる方法として、「前借り」も方法の一つです。前借りはできないと思っている人もいるかもしれませんが、正当な理由があれば会社に前借りを請求するのは基本的に可能です。
労働基準法では正当な理由があれば前借りを可能としている
労働基準法第25条では、正当な理由があれば会社は前借りを認めなければならない旨を定めています。
第二十五条 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
正当な理由(災害や疾病、出産、結婚、死亡など)といった緊急の理由があれば、会社は前借りをみとめなければなりません。一方で、緊急と認められない場合、前借りを請求しても会社にお金を借りることができないこともあるので注意しましょう。
前借りで会社にお金を借りるのはパートやアルバイトでもできる
パートやアルバイト、派遣社員や契約社員など正社員でなくても、前借りで会社にお金を借りることが可能です。法律で定められている「労働者」とは、会社から賃金を支払われている人を指します。
前借りで会社にお金を借りることができるのは「働いた分」のみ
前借りで会社にお金を借りる際、借りられるのは「働いた分」の給料が対象です。まだ働いていない分の給料は前借りできません。働いていない分の給料を払うのは、労働基準法に違反することになってしまいます。
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
まだ働いていない分の給料を渡してしまうことで、「給料を払ったのだから働かなければならない」という強制になってしまいます。そのため、前借りができるのは、働いた分の給料となります。
即日にお金を借りられるとは限らない
前借りで会社にお金を借りることができても、申し込んだ即日に借りられるとは限りません。支払い期限に関しては法律では定めていないので、支払い期日は会社によって異なります。手続きなどに時間がかかることもあるので、前借りを申請してもすぐには支払ってもらえないと考えておきましょう。
給料が減って再度前借りをするようなことにならないように注意
一般的に前借りをした分は給料から差し引かれます。そのため、前借りをした後の給料が減ってしまいます。減った分が大きければ、生活に困ってしまうこともあるでしょう。しかし、その分を再度前借りすれば、給料が減るだけでなく、会社への印象も悪くなってしまいます。
前借りは必要な金額だけを借りて、再度前借りをしないようにしましょう。
会社にお金を借りるメリットは借りやすく返済しやすいこと
お金を借りるにはカードローンや質屋などといった方法もありますが、会社にお金を借りるメリットがあります。どのようなメリットがあるのでしょうか?
消費者金融カードローンより低金利で借りられる
会社にお金を借りるメリットの一つが、低い金利で借りられることです。
会社から借りた場合の利息相当額 | 0.9%~4.3% |
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プロミス | 17.8%(上限金利) |
レイク | 18.0%(上限金利) |
楽天銀行スーパーローン | 14.5%(上限金利) |
三井住友銀行 カードローン | 14.5%(上限金利) |
消費者金融カードローンや銀行カードローンと比べても、低金利で借りられる可能性が高いです。利息は低い方が返済額も減るので返済しやすいものです。ただし、会社が銀行など他から借入をして貸した場合、借入先の利率になるので注意しましょう。
信用情報などを確認するわけではないので審査通過しやすい
会社にお金を借りる際の審査は、カードローンはクレジットカードの審査のように信用情報を確認することは基本的にはありません。そのため、もし信用情報にカードローンの申込件数や借り入れが多いなど、通常の審査においては影響のある情報があっても、審査通過できないということは考えにくいです。
ただし、借金がたくさんあるなどの評判があったり、もうすぐ会社を辞めるなどといったことがあったりすると、場合によっては借りられない可能性もあるので注意しましょう。
給料からの天引きなので返済しやすい
返済方法などは会社によって異なりますが、基本的に給料天引きの形で返済するケースが多いので返済しやすいのもメリットです。
返済をし忘れることも、滞納することもありません。返済を怠るといつまでたっても完済できず、利息を払い続けなければなりません。
借りたお金は早めに返済することが大切です。借りたお金をなかなか返済しないと、会社の心象も悪くなります。返済が長期化すれば総返済額も増えてしまうため、早めの完済が大切です。
返済期日など相談にのってもらえるケースもある
会社から借りたお金は早めに返済するのが理想ですが、事情によっては返済が苦しくなることもあるでしょう。その場合、返済期日や返済額の相談にのってくれる場合もあります。
返済ができないから、給料が減ってしまい生活が苦しくなったから、などの理由でカードローンを契約すれば、会社への借入とダブルで返済しなければなりません。返済が苦しい場合は、まずは会社に相談してみましょう。
会社にお金を借りる際に知っておきたい注意点
カードローンよりも低金利で返済しやすい会社からの借り入れですが、借りたお金は返済しなければなりません。返済を考えた借り入れが必要。会社にお金を借りる際に注意したい点を把握しておきましょう。
返済が完了していない時点で退職すると一括返済
会社にお金を借りたら当然完済しなければなりません。もし、返済の途中で退職する場合は、一括で返済しなければならないケースもあります。
会社を辞めてしまうと、連絡が取れなくなる可能性もあり、完済していないと貸したお金が戻ってこないことになります。
まだ返済途中でやむを得ず会社を辞める場合は、どれくらいの返済額が残っているかを確認し用意しておく必要があります。
給料が少なくなる分家計の見直しが必要
返済額は少ない可能性は高いですが、給料が少なくなることに変わりはありません。給料が減った分、家計の見直しが必要になる場合があります。
せっかく低金利で会社にお金を借りることができても、そのあと生活が苦しくなり他で借金をしてしまうと返済が増えてしまいます。改めて収入と支出を確認し、無理なく返済し生活ができるようにしましょう。
借りたお金は自由に使うことはできない
先にも述べたように、会社から借りるお金は用途が決まっています。遊ぶためのものや、ぜいたくな生活をするためのものではありません。
もちろん、ほかの借り入れの返済に充てるといった目的で会社にお金を借りることはできません。緊急時、困ったときに助けてくれるお金です。カードローンのように、何にでも自由に使うための借り入れではないことを把握しておきましょう。
返済を滞納すると評価が下がる可能性があるので注意する
返済方法が給料からの天引きであれば滞納の心配はありませんが、銀行引き落としでの返済の場合、返済が遅れたり、滞納したりするリスクがあります。
会社に借りたお金の返済を滞納すれば、社内での評価が下がると考えられます。約束を守れない、お金にルーズ、など信頼を失ってしまう可能性もあります。
カードローンやクレジットカードなどの返済を滞納すれば信用情報に登録されますが、会社にお金を借りる場合、返済を滞納しても信用情報には登録されません。しかし、社内での評価に影響するリスクがあることは認識しておきましょう。
精神的に引け目を感じることがある
会社にお金を借りることに引け目を感じることがあるかもしれません。正当な理由で借りたとしても、自分はお金が足りなくて借りているということを認識しなければなりません。
誰もが会社からお金を借りるわけではなく、他の人はお金を借りずに生活をしているのに自分それができない、と考えるとストレスになってしまう可能性もあります。周りの目も気になるでしょう。
しかし、他の人は会社からお金を借りていなくても、違う方法で借金をしている可能性もあります。
嘘をついて借り入れをしないようにする
会社からお金を借りるには正当な理由が必要ですが、嘘をついてまで借りるのはおすすめしません。借り入れができる理由は緊急性が高いもので、会社での様子や会話などから嘘がバレる可能性は高いです。
嘘をついてお金を借りたことがバレた場合、一括返済を求められる可能性もあります。さらに社内における信頼も失うことになるでしょう。
社内で仕事がしにくくなり、会社を辞めざるを得なくなるということもあります。嘘をついて会社にお金を借りるようなことはしないようにしましょう。
連帯保証人が必要なケースもある
カードローンの場合保証人なしで借り入れができますが、会社からお金を借りる際は連帯保証人を求められるケースがあります。お金を貸したまま、会社を辞めてしまい連絡が取れなくなると返済してもらえません。
そのような事態を避けるためにも、連帯保証人を必要としています。連帯保証人は家族がなることも多いので、家族に内緒で借りることはできないでしょう。
従業員貸付制度をすべての会社で導入しているとは限らない
従業員貸付制度はすべての会社に導入しているとは限りません。また、貸付の条件や借りられる金額、返済方法や返済条件、毎月の返済額などは会社によって異なります。
会社にお金を借りにくかったり、内容が自分には適していなかったりした場合は、ほかの手段を検討する必要があります。
お金を借りる方法は、消費者金融カードローンや銀行ローン、質屋などいろいろな方法がありますが、利息や返済方法などを含め、返済しやすい方法を選択しましょう。
「会社にお金を借りる」に関連するよくある疑問
「会社にお金を借りる」に関連するよくある疑問を集めてみました。参考になさってください。
Q 会社からお金を借りることのできる従業員貸付制度を利用できる条件は何ですか?
A 正社員であることと、正当な理由があることです。正当な理由とは、一般的に治療や入院・出産費用。災害への対応にかかる費用、冠婚葬祭、子どもの入学・修学費用、引っ越し費用などです。
Q 会社にお金を借りる際の審査とはどのようなものですか?
A 主に確認されるのは借り入れの理由です。会社によっては勤務態度や勤続年数、社内の評判などを参考にするケースもありますが、カードローンの審査のように信用情報を確認するような審査はありません。
Q 従業員貸付制度で会社にお金を借りる場合の手順は?
A 直属の上司に相談のうえ、担当部署に申請書を提出します。必要書類などは会社によって異なりますが、会社に所属している本人なので、本人確認書類や収入証明書などは必要ありません。
Q 会社からお金を借りることのできる金額は勤続年数によって変わりますか?
A 会社によって異なりますが、勤続年数が長い方が借入可能金額も高くなることが多いです。入職したばかりだと借りられない可能性もあるので確認が必要です。
Q パートやアルバイトでも会社にお金を借りることはできますか?
A 一般的に従業員貸付制度は正社員が対象ですが、前借りの場合は雇用形態に関係なく、パートやアルバイトでも借り入れが可能です。会社によって貸付条件は異なるので、確認をしてみましょう。
Q 会社からの借入金利は一般的な金融機関のローンと比べてどうですか?
A 多くの場合、会社からの借入は低金利または無利息です。これは従業員への福利厚生の一環として提供されることが多いため、市場の金融機関より有利な条件であることが一般的です。
Q 会社からお金を借りた場合、返済期間はどのくらいですか?
A 返済期間は会社の規定によりますが、一般的には数ヶ月から数年です。借入金額や従業員の経済状況に応じて、柔軟に設定されることもあります。
Q 会社にお金を返済する方法はどのようなものがありますか?
A 給与天引きが一般的です。返済額は毎月の給与から自動的に差し引かれるため、従業員は別途返済の手続きをする必要がありません。
Q 会社からの借入に際して税金はかかりますか?
A 無利息または低金利の貸付の場合、一定の条件下で税金が発生することがあります。これは利子相当額が給与とみなされるためですが、具体的な取り扱いは税法の規定によります。
Q 会社が従業員に貸付を行う際のリスクはありますか?
A 返済不能のリスクが主なものです。従業員が経済的困難に陥り、貸付金を返済できなくなる可能性があります。そのため、会社は貸付を行う際に慎重に判断する必要があります。
会社にお金を借りる際は内容をよく確認して借りる
従業員貸付制度や前借りなどを利用すれば、会社にお金を借りることができます。会社からの借り入れは低金利で返済しやすいことが多いです。返済方法や返済額などを相談できるケースもあります。
ただし、会社にお金を借りるには緊急性の高い正当な理由であることが条件です。また、貸付条件や貸付金額、返済額などは会社によって異なるため、借りる前に確認をする必要があります。
会社にお金を借りる際には、まず上司に相談をしてみましょう。