コラム

 公開日: 2017-09-19 

レゴ®シリアスプレイ®メソッドと教材を活用したワークショップの導入事例

アビームシステムズ株式会社(本社:名古屋市、社員数:562人)

2017年1月、大阪事業所の中核プロジェクトを担う9人のメンバーを対象に、LSPを活用したチームビルディングのワークショップを実施しました。

テーマは、「3年後の大阪オフィス」。個々の仕事には熱心に取り組むものの、チームとしての一体感がなく、自分たちの事業や組織の将来に対する関心も希薄でしたが、このセッションで相互理解が図れたほか、各人が多くの気づきを得て、リーダーやメンバーの行動変容にもつながっています。

取材先:ソリューション事業部 セールス&ディストリビューショングループ Director 村瀬一徳様

組織の一体感を高め、目指す方向を共有したい

アビームシステムズ株式会社は、ものづくりの世界的メーカーであるブラザーグループのシステム会社として誕生。その後、総合コンサルティングファーム、アビームコンサルティングのグループ会社となり、現在は、アビームコンサルティングとブラザー工業の共同出資会社として事業を行っています。
名古屋市に本社を置く同社は、2年ほど前に大阪に拠点を設け、事業拡大に向けて、多くの中途採用を行いました。現在、大阪では、10人以上のメンバーが活動しています。

村瀬さんは、昨年から名古屋の事業と大阪の事業を兼任することになりました。頻繁に大阪に足を運ぶことはできませんが、月に1回は集まり、そのたびに食事会や飲み会を開いて、メンバーとのコミュニケーションに努めてきました。メンバーたちは、自分の仕事には熱心に取り組んでいましたが、仕事がプロジェクト化され、個々の役割がはっきりしていることもあって、村瀬さんには、組織の一体感が薄いように感じられました。

「皆、自分の仕事にはまじめに取り組んでおり、勉強熱心でもあります。一人ひとりに意欲があることは分かっていました。しかし、客先に常駐しているメンバーも多く、かつ、役割分業が進んでいるため、同じチーム内でも、ほかの人が何をしているか詳しくは知らない状態でした。また、私としては、大阪の事業を自分だけが引っ張る形から変えていきたいと思っていましたが、
メンバーはプロジェクトを回すだけで、自分たちの組織や事業をどうしていきたいかということには意識が向いていませんでした」(村瀬さん)

そんなときに、人事部門に勧められたのが、LSPを活用したワークショップです。「ブロックを使って、チームを変えることができるのか?」と半信半疑だった村瀬さんですが、とりあえずやってみようと、人事担当者、ファシリテーター(大野)とともにプログラムを固め、1日間のワークショップを実施しました。

テーマは、「3年後の大阪オフィス」。大阪オフィスの目指す方向を共有するとともに、その中に自分がいるんだという意識を醸成したいと考えました。参加者は、大阪オフィスの中でも、中核をなすプロジェクトのメンバー9人。年齢は20代前半~40代半ばと幅広く、全員技術者です。

ブロックを用いて、互いの思いを語り合う



ワークショップでは、ファシリテーターからさまざまなお題を与えられ、それを各自がブロックで組み立て、他の参加者に説明します。ブロックがなくても話し合うことはできますが、抽象度の高いお題なので、何もないと、頭の中でもやもやした思いをうまく表現しづらいものです。いろいろなパーツを手に取って組み合わせているうちに、自分の考えも整理されていきます。ブロックで可視化したうえで、本人が説明し、ファシリテーターや参加者が「ここはどういう意味?」などと引き出していくことで、その人の考えをより深く理解できます。

「普段はあまりしゃべらない子が、ブロックがあることで雄弁に語れたのがよかったです。普通の会議だと、上の人の声が大きくなりがちですが、そういうことがありませんでした。否定的な発言もなく、とてもよい場でした」(村瀬さん)

飲み会では分からない、深い相互理解を実現

「つくった作品から考え方が見えてきますので、『この子はこんなことを考えていたんだ!』という気づきが多かったです。
飲み会だけでは分からない性格や考えを理解できました」村瀬さんは、ワークショップの成果をこう振り返ります。

村瀬さんは積極的にコミュニケーションを図ってきたが、それまでの村瀬さんに見えていたのは、「飲み会での彼ら」でした。
常々、「大阪の事業を自分だけが引っ張る形から変えていきたい」と思っていた村瀬さんですが、その思いをメンバーと共有できていなかったこと、組織や事業の将来について深く考えさせてこなかったことに気づかされました。

また、メンバーは皆、お互いの仕事についてよく知らない一方で、自分がどんなことしているか伝えたいと思っていたことが明らかになりました。プロジェクトのリーダー(40代男性)は、ワークショップの中で、「自分の持っているものを伝えたいが、できていないもどかしさがある」と打ち明けました。



プログラムの中で特に印象深かったのが、参加者全員の作品を合わせて一つの作品にする作業です。「複数の人から意見が出てきたら、普通は、その中のどれかを採用し、後は切り捨ててしまいます。ところが、この作業では、全員のパーツを取り入れて、全員で一つの作品にしました。皆が完成物にコミットできたことが心に残りました」(村瀬さん)

「こうあるべき」ではなく「こうありたい」を伝えるように

ワークショップから半年以上が過ぎ、村瀬さんの意識や行動には、いくつかの変化が見られるようになりました。一つは、「皆で考える力を信じられるようになったこと」。かつての村瀬さんは、「リーダーが決めて、メンバーはそれに従う」という形が効率的ととらえていましたが、皆でつくり出すことで得られるパワーを重視するようになりました。

「今までの私は、自分が一番いい案を出せると思っていたところがありました。そのため、メンバーとコミュニケーションをとる際には、まず自分が案を出し、それを基に考えてもらう傾向がありました。それが今では、皆にアイデアを出してもらい、一緒に考えるスタイルに変わりました。せっかく集団でいるわけですから、一人で考えるより大勢で考えたほうが絶対にいいと思います」(村瀬さん)

皆にアイデアを出してもらうためには、目指す方向や目的を理解してもらう必要があります。それまでは、年初に部門方針を説明するくらいでしたが、組織の目標やビジョンを繰り返し自分の言葉で語り、対話するようになりました。

「以前は、『会社として、これを言うのが正しいだろうな』というのが頭の中にあり、それをだれが聞いても同じように聞こえるきれいな言葉で語っていた気がします。今は、その人その人に合わせて、具体的に話すことができるようになりました。抽象的な言い方ですが、メンバーへの発信が『こうあるべき』から『こうありたい』に変わりました。
メンバーとのコミュニケーションの量も増えました。事業所が離れているので直接会う機会は限られますが、メールやオンラインで、頻繁に対話しています。以前から、メンバーにオープンに接しているつもりでしたが、扉を開けて待っているだけでは、メンバーは入ってきません。自分から話しかけることを心掛けています」(村瀬さん)

権限委譲を進め、自立した組織を目指す

メンバーの意識も変わり始めています。以前は、何かの課題を解決しようというときには、チームごとにアイデアを出していましたが、チーム横断でアイデアが出るようになりました。プロジェクトのリーダーも、メンバーと積極的にコミュニケーションをとるようになり、自分の担当プロジェクトだけでなく、大阪の事業全体を見る意識も高まりつつあります。メンバーの目標設定の質も上がりました。村瀬さんのメンバーに対する理解も進んだことから、個人の力量や性格、意欲などを見て役割を割り振るようになりました。






「自分が行かなくても大阪の事業が回るようにしたい」と考える村瀬さんは、メンバー一人ひとりが考えて行動できるようにするため、権限委譲を進め、役割分担をして、任せられることは極力任せるようになりました。「これから当社がさらに大きくなり、メンバーがもっと増えてくると、自分ですべてを決めるのは限界があります。いいブレークスルーになりました」(村瀬さん)

目指す方向に向けて踏み出せた!

このように多くの成果が得られましたが、実は、今回のワークショップで、当初計画していた「3年後の大阪オフィス」像を描き出すことができませんでした。「本当は大阪の事業全体の将来を考えたかったのですが、メンバーは、それを自分たちが考えるべきこととは思ってもいませんでした。担当プロジェクトにも課題がありましたので、プロジェクトの話に終始してしまいました」(村瀬さん)

また、ワークショップでは、チームの現状と理想をそれぞれブロックでつくり、この二つがどれだけ離れているか、机の上に並べてもらう作業がありました。メンバーが置いた両者の位置は遠く離れ、理想と現実の隔たりが浮き彫りになりました。しかし、目指す方向に向かって動き出したことは間違いありません。

「自分の思っていたこととメンバーがつくったものの違いを感じた面もありましたが、理解が進んだと前向きにとらえています。解決案までは出ませんでしたが、皆が問題の大きさを理解できました。すぐに結果が出ることを期待せず、発信し続けることが大事と思っていますので、メンバーの反応に一喜一憂しないようにしていますが、それでも、最近、『分かってくれているな』と感じる場面が増えてきました」(村瀬さん)



目指す方向に向かって一歩踏み出した村瀬さんや大阪オフィスの皆さんが、これからさらにどう変わり、どう組織や事業を成長させていくか楽しみです。

以上

レゴ®シリアスプレイ®(LSP)とは

専門のファシリテータによる、課題解決技法。
会議やワークショップを通じ、知識の共有、問題解決、意思決定を図る。
NASAや世界のトップ企業で多数採用されている。
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この記事を書いたプロ

株式会社ミィロークコンサルティング [ホームページ]

キャリアコンサルタント 大野祥江

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TEL:03-6869-0464

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