コラム

 公開日: 2016-06-10 

高度情報化社会における経営にとって情報の本当の意味とは

ブログをはじめとしたSNSに記事を投稿する意味


昨年の11月末から、本コラムを書きはじめて、足掛け7ヶ月目に入りました。


このように継続してコラムを書いていると、たまに「どうして毎週コラムを書いているのですか?」という質問をいただくことがあります。


どうしてなのでしょうか?


最近はブログにかぎらず、Facebook、Twitter、InstagramといったSNSを利用する企業や個人が多く、毎日やまのような記事が投稿されている様を目にしています。


そういう方々も、どうしてSNSに記事を投稿しているのでしょうか?


この答を探すためには、競争社会における勝負のモノサシが、「貨幣の多寡」から「影響力の大小」へと変わったことに注目する必要があります。


経済とは、従来の定義にしたがえば「モノ」「サービス」「カネ」の交換によって生じる関係です。


ですから、これまで近代社会を支えてきた貨幣経済社会とは、貨幣を仲介にして「モノ」「サービス」が交換される社会です。


ところが、インターネットとSNSというテクノロジーが出現したために、マスメディアが独占的に握っていた「影響力」を、一般人も手軽に行使できるようになりました。


ネット内では、だれも情報発信者、つまり影響を「与える側」になり得るし、同時に誰もが「受ける側」にもなります。


情報を受けとった側は、「情報」だけではなく「価値観」も同時に受けとって、影響を受けます。


そして、「受けた側」は「与えた側」を評価します。


この結果、「評価」を仲介として「モノ」「サービス」、そして「カネ」までも交換される新たな社会へと変化しているのが、いまの世の中なのです。


「カネ」がなくなるわけではありませんが、「評価」はカネに先行します。


大企業が多額の費用を使って、TV・雑誌・インターネットで宣伝広告活動をしているのを見ると、しょせん評価もカネ次第だと思うかもしれませんが、それは違います。


すでに発生している評価をカネで買い求めることはできますが、非常に割高になります。


ましてや、カネによって新たな評価を生み出そうとすると、とんでもない金銭的コストがかかります。


しかも、せっかく作りあげた企業や商品の評価が、一人の消費者がなにげなくネットに投稿したネガティブな記事によって地に落ちる事例が、あとを絶ちません。


つまり新しい社会の競争とは、好むと好まざるとに関わらず「どれだけ有名になれるか」「どれだけ高評価を集められるか」にかかっています。それはかつてマスメディアにしかできない仕事でした。


こうした変化は、貨幣経済社会から高度情報化社会へと移り変わるなかで生まれてきましたが、高度情報化社会はもう一つ別の側面を持っています。

「高度情報化社会」を分かりやすく定義する


「高度情報化社会」とは、「情報」が中心的な「商品」や「財貨」として流通する社会のことです。


言い替えると、「情報を持つ者」と「情報を持たざる者」の間で「差別化」「階層化」が形成される社会のことになります。


先ほど、テクノロジーの進化によって、だれでも簡単に影響と評価の交換ができる社会になったと述べたことと矛盾すると思われるかもしれません。


しかし現実には、貨幣経済社会において、大多数の人が消費者であったように、高度情報化社会においても大多数の人は被影響者、つまりイメージの消費者なので、差別化と階層化は避けられません。


そうなると、次に「情報とはなにか?」に焦点が移ります。


「耳寄りな情報を持っている」とか「いい情報を仕入れた」などという表現から分かるように、「情報」とは人に先んじて自分だけが持っている一種の「モノ」として理解していることがおおいのではないでしょうか。


しかし、情報は「モノ」ではありません。それは単に「形がない」という特質においてという意味ではなく、「情報」が「価値」を生み出す源を考えてみると、納得がいく結論になります。


情報とは、それ自体に何の実体もないし、何かを「生産」することはできません。


貨幣経済においては、モノを移動させ、交換活動を加速させ、そうすることで人々のあいだ生まれる経済的な「水位差」こそが価値の源になっていました。


形こそ違えども、情報にとっても、その利益とは「持っている者」が「持っていない者」から何かを奪い取るというかたちでしか生まれないのです。


具体例をあげれば、上場予定のある未公開株の情報をいち早く知った者が株を入手してひと儲けするとか(騙される人の方がおおいですが・・・)、人気アイドルのスキャンダルを極秘にキャッチして口止め料をせしめるといったことが、これに当たります。


このことから分かるように、情報の経済的差別の力とは、それをオープンにし皆が知ることなった瞬間に失われます。


「他者に先んじたスクープ」や「世紀の大発見」が差別化の力を発揮するためには、「だれも知らない」状態からいち早く「だれもが知っている」状態にすることが必要です。


当然情報を持っている人が情報を公開しないで隠し続けることには、ほとんど何の意味もありません。


そうこうしているうちに、ほかの誰かに先に公開されてしまった情報からは、経済的差別化の力が失せてしまうからです。


だから、他の誰かが嗅ぎつけないうちに、自ら世間に公表することによってスクープは意味をなします。


このように言うと、事件とか出来事などの情報と、仕事や生活に関わるお役立ち情報とでは、性質が異なるのではないか。なぜなら「知識」と「知恵」は違うから、と思う方がいるかもしれません。


そう思っているとしたら、「情報」というものの危険なワナにかかっています。


一般にマスメディアの本質は、「事実」とその「意味」の伝達だと言われています。


でも、これは大きな間違いです。たしかに、メディアの役割には「事実」と「意味」の伝達は含まれていますが、より大きな目的として「意図の強制」が巧妙に隠されています。


たとえば、「大企業の不祥事の方が、中小企業で働くAさんの悩みより重要だ」とか「隣人の騒音問題より遠い国の戦争の方が大切なことだ」といった報道主義的価値観が暗黙の前提としてあります。


さらに「報道は正義だ」という前提も当然に含まれています。


「読者や視聴者が望んでいることを報道する」という言葉にはぐらかしながら、「メディア側で選んだニュースこそが全員にとって大事なことなんだと思え」という意図の強制を行っているわけです。


ですから、純粋な客観的事実とは希望に過ぎず、「知識」と呼ぼうと「知恵」と呼ぼうとも、そこに価値観の伝達があることが「情報」の本質でなのです。


高度情報化社会の宿命~情報の命が短い


このように情報の開示によって受け取る利得とは、他人が所有している「私と同じ情報」を無価値にすることによってしか獲得されません。


しかもその利得の効用は、悲しいことに一瞬のものでしかないのです。


情報公開という情報の価値を生み出す行為は、同時に情報の価値を失わせる結果を招くからです。


人類はその歴史の中で、中心的財物を「権力」から「貨幣」そして「情報」へとスイッチしてきました。


なぜなら、大昔は権力を持つ者に貨幣と情報が集まり、近代においては貨幣を持つ者に権力と情報が集まり、現代では情報を持つ者に権力と貨幣が集まる社会構造へと変化してきたからです。


そして、そのスイッチの理由は、もっぱら「貨幣」は「権力」より、「情報」は「貨幣」より使い果たすスピードが早いからというだけのことで、それ以上の意味はありません。


つまり現代社会においては、情報は鮮度が大切な、腐りやすいものなのです。


同時に、ITを利用した情報については、メトカーフの法則が働くために、これまでとは違い、希少な情報の価値は増えるより減っていくという逆転現象が起きます。


希少性は価値の源にはならないということです。


「ほかのだれも考えつかなかったアイデア」が、よりおおくの人に伝わってこそ初めて価値が生まると同時に、「だれでも知っているアイデア」へと一瞬にして化すのです。


だから、「なるべくおおくの人に知られるためにどうするか?」という方法論の重要性が高まり、ややもすると主客が逆転し、内容においてこだわりやオリジナリティより万人受けすることが好まれる風潮が生まれます。


ネットで短期間にバズる魅力に取り憑かれる気持ちはわかりますが、発信する情報が浸透するためには、時の運もおおいに影響するので、このスピードの早い世の中でもある程度の時間がかかる覚悟が必要でしょう。


そのためには、太く短くよりも、継続性が大切ということになります。


以上のような背景のもとで、ほぼ毎週コラムを綴り半年が経過した次第です。


最後に、このコラムについて言うと、ここに書いていることは、私のなかでは既に過去のことです。


それは、自分自身が常にバージョンアップを図っていくなかで、コラムという文章で表現した時点で、さらに「その先」へと移動しているからです。

清水 泰志

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