コラム

 公開日: 2016-02-09 

社長が上位3%の経営者になるために必要なこと

日本には50人に1人の割合で社長がいる


国税庁の統計資料によると、日本には約255万社の法人があります。


255万人の法人があれば、同じ数だけの「社長」がいることになります。


日本の全人口が1億2.700万人ですから、だいたい老若男女合わせて50人に1人の割合で「社長」がいるんですね。


ところで、社長という言葉によく似た言葉に「経営者」があります。


この2つの言葉は、使われる場面が大変に似通っているので、単に「私と僕」くらいの表現の違いだと理解している人が多いのではないでしょうか。


でも、これほど「似て非なる」という形容がよく当てはまる言葉のセットもありません。


なぜなら、ある企業では「社長だけれども、経営をしていない人がいる」一方で、別の企業では「社長ではないけれど、経営をしている人がいる」からです。


さらに別の視点から社長という言葉の仲間を探すと、部長・課長・係長といような「長」繋がりの言葉があります。


「〇長」というネーミングの法則から分かることは、ヒエラルキーを前提として、その会社の組織上のトップであることを示す表現が「社長」ということになります。


だから、基本的には社長がいない会社はあり得ないことになります。


と言うものの、理論的には、いろいろ考えることが出来るので、必ずしも社長という肩書きの人物がいなくても組織は成り立ちます。


例えば、部長までしか設定せずに、部長会を実務的な運営機関として、部長会議長を選出するみたいなスタイルです。


まあ、そういうレアな話はともかくとして、「社長」になることは案外簡単です。


ちなみに、「社長」になる方法は4つあります。


1 起業する
2 同族企業において事業承継する
3 社内で出世の階段を登り詰める
4 ヘッドハンティングで落下傘降下する


これら4つの中で、最も簡単に社長になる方法はどれでしょうか?


それは1番目の「起業する」方法です。以下、番号が大きくなるにしたがって、難易度も正比例して上がることになります。


30万円くらいのお金があれば、株式会社を1円起業して、誰でも社長になることができます。


いまさらながら「経営」とは何かを問う


「経営者」とは「経営する者」という意味ですから、「経営者とはなにか?」を考えることは、「経営するとはなにか?」≒「経営とはなにか?」を考えることを意味します。


そこであらためて問います。


「経営」とはなにか?


もし、その「答」を知りたければ、こんなコラムを読むのは止めて、Googleで検索する方が手っ取り早いかもしれません。


でも、「経営とは」をキーワードにした検索結果をどれほど読んでみても、血液型診断におけるバーナム効果よろしく、何かを語っているようで何も語っていない文章しか見つけることはできません。


そのワケは、経営学の試験で点数を取るための「経営」の定義は存在しても、実務的な意味での「経営」の明確な定義は存在しないからです。


「経営」とは、一人ひとりの経営者にとって異なるものなのです。と言うか、異なるものでないといけないのです。


だから、「経営者」になるためには、自分にとっての「経営」を定義する必要があります。


裏を返すと、自分にとっての「経営」が定義されていない限り、社長であったとしても経営者にはなれません。


世の中を見渡すと、社長がトップ営業マンであったり、人事管理責任者、財務管理責任者であったりする会社がたくさんあります。


その企業の職務分掌として、社長にトップ営業マンの仕事を割り振るのは自由です。


特に少ない人員数で業務運営をしていく必要のある中小企業にとって、一人で複数の仕事をこなせることは望ましいことです。


問題は仕事の数ではなくレベルです。社長が部長レベルの仕事しかしていない企業の数が想像以上に多いのです。


社長が部長レベルの仕事しかしていない会社では、他の社員については推して知るべし。


部長は課長レベルの仕事に留まり、課長は平社員レベルの仕事をしていて、平社員はほとんど戦力になっていません。


僭越ながら申し上げると、社長が経営者でもある会社は、100社のうち多く見積もって2,3社というところです。


それ以外の会社については、社長は統括部長に過ぎず、経営者ではないのです。


なぜなら、自分にとっての「経営」を明確に定義していない社長だからです。


優れた「経営」を具体的に定義する


世の中には考えて生きている人と、考えないで生きている人がいます。


そして、本当の意味で考えて生きている人は、絶対に成功します。


これはあらゆる分野において当てはまることですが、特にビジネスの世界では、これはもう絶対的と言って構わない法則です。


ビジネスで成功するために一番重要なことは、頭がいいかどうかでも、才能があるかどうかでもありません。


どれだけ深く考えているか、どれほど長く考え続けているかこそが重要なのです。


残念ながら、多くの社長は考えているようで、実は考えていません。


たとえば、「会社を成長させたい」と言う社長は多いけれど、そういう社長が「会社が成長する」とはどういうことか、ネチっこく考えているかというと、考えていないことが多いのです。


自分にとっての経営とは何であり、優れた経営とはどのようなことを指すのか、その「経営とは」の定義づけを自分の中に持っていません。


でも、優れた経営とはそもそもどういうことなのかが明確でなければ、いくら頑張ってみたところで、優れた経営が実現するはずはありません。


「売上と利益を伸ばす」は、考えていない社長がよく口にする答えですが、それは答えになっていません。結果に過ぎないからです。


では、優れた経営とは何を指すのでしょうか。


先ほど述べた通り、実はこの問いに、社長全員に当てはまる模範解答はありません。


自分にとって優れた経営とはどういうことなのか。逆に、劣った経営とはどういうことなのか。


それを深く考えることで、自分にとっての優れた経営と劣った経営の境目を見つけていくこと。


それが、各社長にとっての、この問いに対する答えになるのです。


より重要なのは「考える」ことではなく「なに」を考えるか


ホワイトカラーとブルーカラーという言葉があるように、仕事には頭脳労働と肉体労働という二つの分類があることになっています。


そして、ホワイトカラーは頭を使っているけれど、ブルーカラーは頭を使っていない、というイメージがあります。


でも、それは大いなる勘違いです。


どんな職業、職種の人であっても、考えている人は考えているし、考えていない人は考えていません。


社長であっても考えていない人はいるし、一方で職人さんの代表格である大工さんでも、考えながら仕事をしている人はたくさんいます。


考えながら造作をしている大工さんと、何も考えずにやっつけ仕事をしている叩き大工さんでは、当然出来上がった家に大きな違いが現れてきます。


こう言うと、賢明な方はこう考えることでしょう。


考えている大工さんはいい家を建て、考えていない大工さんはダメな家を建てるに違いない。


しかし、ことはそう単純ではありません。


確かに考えていない大工さんがいい家を建てることはありません。


でも、考えた大工さんが必ずいい家を建てるとは限りません。


どんな家になるかは、大工さんが「何を」考え続けてきたかによって違ってくるのです。


大工さんが、なるべくコストを抑えることを考え続けて建てた家は、徹底的にローコストの家になるでしょう。


一方で、どうしたら木肌の温もりのある家になるのか、ということを考え続けた大工さんが建ててた家は、住み心地の良い家になるはずです。


どうやったら儲けが大きくなるかを考えて家造りをする大工さんと、どうしたら家族が幸せに暮らせる家になるのかを考えて家造りをする大工さんでは、行き着く先は当然違ってきます。


頭がいいか悪いかより、考えているか考えていないかが重要なように、同じ「考えている」でも、「何」を考えているか、「どこまで」考えているかということが、さらに重要なことなのです。


経営者になるとは


経営の基本とは何か。何のために自分は企業経営をするのか。優れた経営とはどういうことか。


こうしたことを考えずに、ただ漠然といい会社にしたい、いい経営をしたいと思っていても、決して実現することはないでしょう。


私見を申し上げると、経営の基本は「自らの強みを生かして社会の役に立つ」ことだと考えています。


自社の強みは何か。その強みを生かして誰の役に立つのか。どうやって役に立てるのか。それが社会においてどう役立つのか。


こうしたことを考える最大の意義は、仕事における軸がブレなくなることです。


軸がブレるときは、たいていの場合、視点がどこか一ヵ所に偏ってしまったときです。


会社の役に立とうということばかり考えていると、どうやったら売上があがるかばかりを考えてしまし、顧客を疎かにすることになります。


反対に「お客様は神様です」とばかりに、顧客の要望にご無理ごもっともと従い続けていたら、仕事の本質を見失うおそれがあります。


そうした事態を避けるためには、より高い視座から俯瞰することが必要になります。


顧客が満足しているかどうか、その満足を通して社会に役立っているかどうか、そして自社の強みを生かしているかどうか、この3つが見えていれば軸がブレることはありません。


だから、深く考えるということは、さまざまな視座と視点で、ひとつのものごとを考え続けることと言い替えることができます。


人は何かについて深く考えると、そこに成長が起きます。


したがって、経営者とは、経営についての答えを知っている人ではありません。


無知の知であるがゆえに、経営について飽くことなく深く考え、仮説と検証を繰り返し続けている人、それが経営者なのです。


社長であると同時に、経営者と言えるかどうか、自らに問い掛けてみてください。

清水 泰志

株式会社ワイズエッジ
〒104-0061
東京都中央区銀座3-14-13 5F
TEL 03-6264-2370
H P https://wise-edge.co.jp/

この記事を書いたプロ

株式会社ワイズエッジ [ホームページ]

経営コンサルタント 清水泰志

東京都中央区銀座3-14-13 5F [地図]
TEL:03-6264-2370

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
仕事の依頼について

1 依頼人は決裁権限のある方に限る申し訳ありませんがが、決裁権限のある方以外からの依頼は、お引き受けしておりません。該当する方を具体的に申し上げると...

 
このプロの紹介記事
清水泰志 しみずやすし

黒字企業のその先へ!!「競争しない企業」をつくりましょう!(1/3)

 経営と競争は切っても切れない関係だと多くの人が考えます。競争相手に対し、いかに優位性をつくるかという視点で物事を考え、手を打つことがほとんどです。しかし、優位に立ったとしても、業種に関わらず、最終的には価格競争に入ってしまうもの。競争を繰...

清水泰志プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

黒字企業の高みへ!極みと未来シナリオで競争しない企業に導く

会社名 : 株式会社ワイズエッジ
住所 : 東京都中央区銀座3-14-13 5F [地図]
TEL : 03-6264-2370

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

03-6264-2370

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

清水泰志(しみずやすし)

株式会社ワイズエッジ

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
「競争しない」は戦略論ではなく企業づくりそのものである

ブルー・オーシャン戦略に代表される競争しない経営戦略が10年ほど前から注目されています。しかし、特に日...

[ 戦略思考 ]

損得だけを物差しにしていると行き詰まる経営判断

 儲かるか儲からないかで判断すれば即断即決できる? 経営判断とか決断の重要性を説く話が世の中には溢れてい...

[ 意思決定 ]

なぜ「経営計画」や「経営革新プロジェクト」や「人材育成」は絵に描いた餅に終わるのか

 治療より予防が人間の身体でも企業でも大切だが・・・ 企業と専門プロフェッショナルの関係は、人間と医師の関...

[ 戦略思考 ]

経営者として1万時間かけて何を磨き上げるか?

 1万時間の法則とデリバレイト・プラクティス 心理学者K・アンダース・エリクソンのグループは、スポーツ、...

[ 経営者 ]

意思決定における「最適化」と「満足化」の違いと使い方とは

 優柔不断は性格特性ではありません 生活のいろいろな場面で、選択をすることが多いものです。冬物の...

[ 意思決定 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ