コラム

 公開日: 2015-12-10 

優れたビジネスモデルを作るときに必要な4つのポイント

ビジネスモデルとはなにか?


「ビジネスモデル」という言葉は広く知れ渡るようになったので、まったく見聞きしたことがない人はいないでしょう。

でも、「ビジネスモデルとは何か?」に対して具体的に答えられる人は少ないかもしれません。

「モデル」という言葉が付いているから、高等数学や統計的分析が必要だと思う人もいるかもしれませんが、ビジネスモデルとは「ストーリー」と言い替えることができます。

また優れたビジネスモデルは、ドラッカーが投げかけた質問「顧客はだれで、顧客価値はなにか」に答えるものですが、それだけには留まりません。

だから、新しいビジネスモデルを作り上げることは、新しい物語を書き上げることに似ているのです。

ただ本当の小説と同じように、どんなに前衛的だと思える物語でも、どこかしら過去の物語に通じるところがあり、どこかで人間のあらゆる経験に根差した普遍的なテーマに貫かれている必要があります。

ビジネスモデルという名の物語の舞台は、大きく二つに分けられます。

一つは、モノを作ることに関わる活動です。具体的には、設計や原材料の調達、製造についてです。

もう一つは、モノを売ることに関わる活動です。

具体的には、誰をお客にするか(顧客のセグメント)、販売促進(プロモーション)、契約、製品・サービスの提供についてになります。

そして、一気に書き下ろして、推敲無しで物語を完成させられる人が少ないように、ビジネスモデルの構築においては、まずは仮説から出発して、実験によって検証し、必要に応じて修正するというプロセスをとることになります。

ダメなビジネスモデルの原因は2つ


そんな中で、上手くいかないビジネスモデルがあるわけですが、失敗するビジネスモデルは、どこに原因はどこにあるのでしょうか。

失敗するビジネスモデルは、「ストーリー・テスト」(話の筋が通っているか)か、「ナンバー・テスト」(収支が合っているか)のどちらかが及第点に達していないのです。

しかし、ストーリー・テストで問題が見つかれば、当然ナンバー・テストをクリアできないだろうし、ナンバー・テストに合格できない理由は、ストーリー自体に問題が内在していることになるので、この2つのテストは別々のものではなく、実は一体不可分なのです。

では、失敗の本当の原因はというと、多くの場合顧客行動に関する誤った仮説を持っていることが多いのです。

つまり、答が先にあって、後から問題を探すような思考のプロセスをとる人の性が原因しています。

ディズニーランドを例にあげてみます。

ユーロ・ディズニーランドは、入場客数はともかくとして園内消費の売上の点で当初苦戦しました。

理由は、アメリカと日本で成功したビジネスモデルにしたがって、一回の来園で客が使う食事代とおみやげ代を見積もっていたからです。

アメリカ人は当然ながら、日本人も園内のあちこちにあるレストランで一日に何回も軽食をりますが、ヨーロッパの人たちは、そのような習慣がなく、決まった時間にちゃんとした食事をとりたがる習慣があることを読み切れていませんでした。

もう一つ失敗の本当の原因をあげると、「モノをつくること」と「モノを売ること」のバランスが取れていないことがあります。

つまり、いいモノをつくることには一生懸命でも、「いいモノをつくれば黙ってても売れる」といった昔気質の大工のような考え方をしていては上手くいきません。

またその逆で、そもそも付加価値の低いモノ自体の改良や改善をするかおとなく、どうしたら売れるかばかり考えたた結果としてのビジネスモデルは、ストーリー・テストをパスすることが出来ないのです。

これからの時代のビジネスモデルに必要なこと


さて、これからの時代に通用する優れたビジネスモデルを考える時に、どこに気を付ければよいでしょうか?

ポイントは2つあります。

先ずは、自社のビジネスの性質を良く見極めることです。

ビジネスモデルのストーリー・テストに通るためには、モノづくりとモノを売る部分のバランスが必要だと言う話をしましたが、最低限のバランスは取りつつも、最終的にはどちらの分野でキャッシュポイントを作るかを見定める必要があります。

そのためには、自社の本当の強みが何であるかを明確に把握している必要があるのです。

その強みを生かすためには、川上部分(設計やモノつくり)と川下部分(モノの提供)のどちらで勝負するかを考えることで、ビジネスモデルの骨格が現れてくるはずです。

一昔前までは、ビジネスモデルに大きな変化(イノベーション)を起こす舞台は、川上部分を得意とする企業が多かったという傾向があります。

例えば、SonyのWalkmanや任天堂のファミコンなどは、今までに無かったモノをつくり出すことで、大きな成果を上げました。

しかし最近は、川下部分で大きな変化を生み出している企業が増えています。

お馴染みのPCのDellやアパレルのZARAは、新たな市場セグメントを突き止めたわけでも、これまでにない技術に基づいて画期的な新製品を開発したわけではありません。

それどころか、ハッキリ言って競合製品と似たり寄ったりで差が無いに等しいのです。

これらの企業は、既存技術を用いて、既存の顧客ニーズに対応した既存の製品・サービスを提供する時の「やり方」を一から変えることで成功したことになります。

二つ目は、ビジネスモデルのテストにおいて、よりナンバー・テストの意義を重視する必要があるという点です。

つまり、ビジネスモデルを最初に考える時から、財務的な視点を持つことが大切でなのです。

とりあえず雄大な夢物語を作ってから、次の段階において投資規模と収益レベルを検証するという順番が従来のやり方でした。

しかし、「儲ける」ためにビジネスモデルを構築するならば、これからは財務的視点抜きに話さえできません。

さらに厳密に言うと、「儲かる」ということと「キャッシュ・リッチ」になることの違いを明確に理解したビジネスモデルの構築が必須です。

これらを合わせて、ひらたく言うと、「従来どおりコンテンツ勝負をする方法のほかに、消費者の"あったらいいな"を実現する既存のオペレーションの作り直し」を「高利益率・小資本」で行うビジネスモデルが成功する可能性が高いと言えます。

日本のIT業界で見ると、アメブロを運営しているサイバーエージェントはコンテンツ勝負をしている企業です。

一方、価格.comや一休はコンテンツは全部他人のもので、消費者のオペレーション改善(簡単に価格比較をしたい・格安な高級ホテルの部屋を見つけたい)で勝負している企業です。

サイバーエージェントとカカクコムや一休を比べると、後者の方が圧倒的に利益率が高く財務体質も強い結果になっています。

ただし、消費者のニーズに応えるという視点で考えるビジネスモデルづくりは、すでに飽和しつつあるかもしれません。

これからは、生活を便利にするより人生を楽しくする、必要より欲求、競争より独占といったテーマでビジネスモデルを考えることが、持続的に成果をあげるための鍵になります。

30文字以内で説明できるビジネスモデル


それと、強いビジネスモデルは、そのビジネスの内容を30文字以内で分かりやすく説明可能という特長があります。

サイバーエージェントは自社のビジネスモデルを30文字では説明できないはずですが、カカクコムは「同一商品の価格比較サイト」と説明することができます。

なぜ30文字で分かりやすく説明できる必要があるのかというと、新しいビジネスモデルは、伝わらなければ誰もその商品・サービスを使わないからです。

そして今の世の中、「伝える」ための方法として、ウェブを活用して目立たなければならず、「目立つ」ためには、特定のキーワードで検索エンジンで上位表示される必要があるのです。

ビジネスモデルはプラモデルではないのでパーツで考えないこと


世の中には、ビジネスモデルとは様々な組み合わせで成り立っており、一つ一つをパーツとして分解して見ることが出来ると主張する者もいます。

その考え方に立つ場合、あるビジネスモデルが上手く行かなくなったら、分解したパーツのどれが原因なのか特定し、不良パーツを入れ替えて組み立て直すことで、ビジネスモデルの修復を図ることができることになります。

しかし、ここまでの話で分かるとおりビジネスモデルとは、パーツに分解することは出来ないし、強引にパーツに分けたところで、壊れたパーツを入れ替えて元通りになるプラモデルとは根本的に異なります。

なぜなら、優れたビジネスモデルとは因果関係だけではなく、それ自体が一つのストーリーだからです。

ストーリーを見直すとは、ある段落や章を入れ替えることではなく、全体像を見直すことであることに異論はないでしょう。

事例とした企業の規模が大きいので中小企業には無縁な話に聞こえるかもしれませんが、エッセンスは今後の中小企業のビジネスモデル再構築においてすべて役立つことばかりのはずです。

そして、金融機関からの間接調達によってしか資金確保できない中小企業こそ、財務改善に結びつくビジネスモデルの再構築が喫緊の課題なのです。

自社にとって、これからの時代のビジネスモデルがどんなものになるか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

清水 泰志

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