コラム

 公開日: 2015-12-05 

優れた経営者は「死して皮を留める」 ~ 失敗から学ぶ経営

人は勝ち負けの世界ではなく、負けの世界にいる



スポーツの世界では「連勝記録」が取り沙汰されることが多いものです。


同じく、経営の世界でも「増収増益」が10年以上続いている企業は、それだけでニュースネタになります。


なぜ、成果を上げ続けていることにスポットライトがあたるのでしょうか?


その答は、逆説的ですが、現実のビジネスや生活において、勝ち続けることが、それだけ難しいからです。


私たちの人生にしろ仕事にしろ、なかなか連戦連勝というわけにはいきません。


せいぜい「勝ったり、負けたり」と言いたいところですが、本当のところ私たちの多くは「負けたり、負けたり」しているのではないでしょうか。


映画のセリフよろしく究極の勝負が「生死を賭けた勝負」だというのなら、私たち人間は全員今この瞬間も確実に訪れる「負け」に向かって進んでいることになります。


「生き残る」ことを勝ちとするならば、不死身の人間がいない以上、この敗北に例外はありません。


つまり、「人間は結局は敗者である」。


このことを絶対的な事実として、勝負を捉え直すした方がよくはないだろうかと思うのです。


私たちが勝負に熱中するのは、勝つためではない。


「適切な負け方」「意義のある敗北」を学ぶためである、という見方をすれば、仕事も人生も一層意味深いものになるはずです。


スポーツで学ぶことは「勝ち」よりも「負け」



スポーツの世界は、勝ち負けが分かりやすい世界です。


例えば、毎年行われる夏の全国高等学校野球選手権大会の予選には全国で4,000校以上の高校が参加しますが、甲子園で優勝するのは一校だけで残りは全て敗者です。


このイベントに何らかの教育的効果があるとすれば、それは間違いなく「どうやって勝つか」を学べることではありません。


なぜなら、その教訓を生かせるのは毎年全国で一校しかいないからです。


あれだけの時間とエネルギーを投じながら、たった一校に通じる教訓だけしか授けられないなら、これほど費用対効果の悪い教育事業はありません。


しかし、現実には高校野球が意義ある教育的事業であるということについては、社会的合意が形成されています。


参加者の99%以上が敗者であるイベントが教育的であり得るとしたら、それは「適切に負ける」仕方を学ぶことが人間にとってどれだけ重要だということを(無意識であるにしろ)私たちが知っているからではないでしょうか。


適切に負けるための3つのポイント



「適切な負け方」には3つのポイントがあります。


第一は、「敗因はすべて自分自身にあるという潔い自責と自省」

負けたのは同僚や仲間のせいだとか、リーダーシップが悪かったからだとか言い逃れをするのは見苦しいだけで敬意を得られません。


第二は、「敗北から多くの改善点を学こと」

負け試合の後に「私たちはベストを尽くしました。相手が強かったです。もうこれ以上改善努力の余地はありません」という人間は、戦った相手への敬意は払えていても、敗北から何も学んでいないことになります。


第三は、「負けを悔やまず喜んで受け入れること」

避けられないものは、自分から抱きしめるのが得策ということです。


この3つのポイントに目新しさを感じない人もいるでしょうが、きちんと実践出来ている人は少ないものです。


敗軍の将ほど多くを学ぶ



ビジネスでもスポーツの世界でも、一度も負けることなく全ての勝負に勝ち続けることは誰にも出来ません。


私たちは、いつか必ず敗北の日を迎えることになります。


そのときに、何の教訓も学ばず、ただひたすら不愉快な後味を残すような「無意味な敗北」を引き受けることだけは避けたいものです。


勝つ以上に多くの利益をもたらす負け方があることを知る。


これがビジネスにおいても人生においても大切なことです。


それにも関わらず、私たちの多くは、勝った者からその成功の秘訣を授かりたがる傾向が強く、失敗者の言葉は負け犬の遠吠えとして退け、美徳として「敗軍の将は兵を語らず」を好みます。


しかし、優れた戦略家とは、打ち手が失敗に終わっても、そこからきわめて価値ある何かをつかみ取ることが出来る者であるはず。


経営者として目指すところも連戦連勝ではなく、多くの負けからさらに多くの果実を得る粘り腰としたたかさです。


そのことを自戒を込めて肝に銘じたい。

清水 泰志

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