コラム

 公開日: 2015-06-29 

会社設立支援サービスは本当に誰でも利用すべきサービスか?

クラウド会計サービスの「Freee」と「マネーフォワード」が、相次いで会社設立に関する書類をクラウド上で作成できるサービスをリリースいたしました。

会社設立Freee
http://www.freee.co.jp/launch/
無料登記ドットコム(運営者:マネーフォワード)
http://www.muryotouki.com/

もっとも会社設立に必要な書類が作成できるこのようなサービスはこの2社が先駆けではありません。
たとえば以下のサービスが従来から存在しています。

会社設立キット(運営者:ドリームゲート)
https://smabi.dreamgate.gr.jp/sb/paper_pack/index_kit
会社設立ひとりでできるもん(運営者:ユーモアプラス)
https://www.hitodeki.com/

いずれの会社設立支援サービスも、電子定款の作成以外は、専門家の手を借りずに自力で簡単に書類が作成できるという便利な内容になっており、これから株式会社を設立して起業しようという方には心強いサービスです。

ですが、これらのサービスは株式会社を設立したいという全ての方に向いているものでしょうか。個人的にですが、以下のような場合はこういったサービスをただ利用するのではなく、司法書士など会社設立の専門家の力を借りる方を選んだ方がよいのではないかと思います。

1.平日の日中に時間が取れない方


会社を設立するには、法律上のルールをまとめた「定款」を作成し、それを公証役場にて「認証」(内容が法的に問題ないか確認してもらうこと)してもらう必要があります。この「認証」にあたっては必ず公証役場に直接足を運ぶ必要があります。

そして公証役場の開いている時間は平日の午前9時から午後5時まで(ただし午後0時~1時は昼休み)となっているため、この時間帯に公証役場に出向くことができない場合はどうしても専門家に代行してもらう必要があります。

なお、会社設立支援サービスには有料の「電子定款作成サービス」がありますが、これはあくまで電子定款の作成を代行するだけで、公証役場へ代わりに認証に出向いてもらうことまではサービスの内容に含まれておりません。

2.個別にアドバイスが欲しい方


会社設立支援サービスでは当然ながら自分で書類の内容を考える必要があります。事業目的などはサンプルがありますが、よく尋ねられる質問として、たとえば「資本金の額」や「会社の事業年度」などはどのように決めたらよいのかというものがあり、こういった部分は発起人や事業内容など設立する会社の事情を踏まえて決めなければなりません。

書類を作成していても疑問点が出てくるたびに入力の手が止まり考え込んでしまい、とても5分や10分では作成し終わらないというような方にとって、考え方を教えてもらえたり、質問したりすることができる専門家は非常に頼りになる存在です。

3.法律上の制約のある事業を行いたい方


一言でいうと「許認可事業」を行いたい方です。事業を行うに当たって官公庁の許可などが必要な事業になります。

ご自分がその事業を経験されているのであれば問題ないかもしれませんが、未経験の方の場合ですと許認可を得るために必要な要件を満たしていない会社を設立してしまうかもしれません。

たとえば、定款に記載する事業目的ですと事業によってはあらかじめ定められた表現しか認められていなかったり、資本金の額も最低限の額が決められていたり、本店所在地の事務所の面積の最低限の広さなどが決められていたりするわけです。

こういった条件を満たしていなければそもそも事業自体を始めることができませんので、やりたい事業にも詳しい専門家の力を頼った方がよいかもしれません。

4.融資を受けたい方


会社設立後に日本政策金融公庫の創業融資や、信用保証協会の制度融資を受けたいという方です。

こういった融資を受ける場合には、まず定款に記載する事業目的に注意しなければなりません。融資を受けることのできない事業の種類がありますので、それが記載してあれば融資の対象にはなりませんし、また融資を受けたい会社がそもそも何をやる会社なのかそこから読み取れなくてはなりません。会社設立支援サービスではそこまでのフォローは望めないでしょう。

そして、融資の申込にあたっては、創業者自らが申し込むよりも専門家の紹介を受けて申し込んだ方が、審査がスムーズに進んだり、有利とされることもあります。専門家が提出する事業計画書の信用性を高める保証人のような存在を果たしているということです。

5.チームで起業される方


1人ではなく、たとえばCEO・CTOその他エンジニアなどでチームを組んで会社を設立する場合です。

CEO1人で出資するのであれば残りのメンバーを取締役にするか従業員にするか、2人以上で出資するのであればどのような出資比率がよいか。そして後々のトラブルを防止するためにどのような役員制度や組織が必要なのか。これについてもやはり経験者でなければ決めるのは難しい内容ですので、会社設立前から専門家のアドバイスを受けるべきものと考えます。

まとめ


いずれの会社設立支援サービスも非常に便利なツールではありますが、それは逆に自分1人で決定した定款の内容などから発生する法的リスクや税務リスクなどについては自己責任ということになります。起業すること自体がリスクを取ることではありますが、その中でも取るべきリスクと取るべきでないリスクを比較検討して、自分に合ったやり方を選んでいただきたいと思います。

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