コラム

 公開日: 2018-03-10 

任意後見制度の基本をおさえる

こんにちは。
練馬区の行政書士・ファイナンシャルプランナー上野誠です。

このところ成年後見制度についてのお話をしています。
今日は「任意後見制度」についてお話しします。 
前回同様あくまで基本的なお話ですので、主に制度をこれからご利用しようと考えておられる方が参考にしていただければと思います。

任意後見制度とは?

「任意後見」は簡単に言えば、本人が判断能力の低下する前にあらかじめ自分の決めた信頼できる人との間で契約を結び、本人の判断能力が低下した際にはその信頼できる人に後見人を依頼する、というものです。
公正証書で契約をすることが要件になっており、また公証人の方はこの任意後見契約について法務局に登記をすることになります。
契約ですので代理権の内容についても定めますが、この内容に関するいわゆる「代理権目録」については定められたものからチェックして選ぶ様式と自由に決める様式とがありどちらかを利用することになります。

この任意後見制度にもいくつか形があるのですが、よく利用されているケースとして知られているのが「移行型任意後見契約」といわれるものです。
これは例えば本人が現在高齢で外出などには不自由を生じるものの判断能力はしっかりしているような場合、まず財産管理などの委任契約を信頼できる人物に委任する契約を結び、その後本人の判断能力が低下していた際にはその人物を後見人とする任意後見契約を同時に締結するといった内容のものです。
契約する際には「委任契約及び任意後見契約公正証書」というような形で一つのまとめた公正証書にするような形にすることになります。
これが「移行型」と呼ばれるものです。
もちろん「委任契約」を結ばず「任意後見契約」のみ締結することも可能で、これは「将来型任意後見契約」といわれます。
また「即効型任意後見契約」という形もあります。
これは法定後見を利用するまでは至らないもののすでに判断能力が低下しはじめている方が対象と考えられ、まさにすぐにスタートできるタイプの形式です。
ただ任意後見が利用できるような状態なのか、すでに法定後見が必要な状態なのか見極めることは実際には難しいであろうことが考えられます。

任意後見制度の注意点

さて任意後見制度において注意することがあります。
この制度では任意後見人に「同意権」と「取消権」という二つの権利がありません。
特に「取消権」については、法定後見人の場合「取消権」が付与されていますので、いわゆる「悪徳商法」などに対して取消権を行使することもできます。
これに対して任意後見人には「取消権」がありませんから、任意後見人の知らないところで本人が大きな商品の購入契約などをしてしまうと任意後見人が取り消すことはできないわけです。

またこの任意後見は実際にスタートするときには「任意後見監督人」の選任を家庭裁判所に申立する必要があります。
簡単に言うと任意後見人を監督する人が決まらないと任意後見ははじまらないわけです。
あくまで可能性ですが先程の移行型の契約の場合、財産管理の委任を本人から受けている人が本人の判断能力が低下しているにもかかわらず、監督人選任申し立てをしないようなこともあるかもしれません。
とすると本人の意向通りにならずトラブル等になってしまうことが考えられます。

これらのことから考えても任意後見人を引き受けてくれる方は可能な限り本人の生活圏に近く本人を支えてくれ、当然ですが契約をきちんと守る意識をもった信頼できる人を選ぶ、ということが極めて大切なことになってきます。

この記事を書いたプロ

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