コラム

 公開日: 2018-02-28 

成年後見制度の基本的な考え方

こんにちは。
練馬区の行政書士・ファイナンシャルプランナー上野誠です。

今日からしばらく成年後見制度についてお話ししていきます。
いろいろな意見の多いこの成年後見制度ですが、相談会などでは来場者の方からご相談内容の中に出てくることもあります。
そこでこのコラムでは特に基本的な事柄を中心にお話することで、制度をよくご存知ない方に少しでも知っていただけるようにお話していくことにします。

成年後見制度の基本

そもそも成年後見制度とはどんな制度なのでしょうか?
3つの角度から見てみましょう。

①どんな人のための制度か?
認知症や知的障害などが原因で現在判断能力の不十分な人または将来判断能力が低下した際のことを考えている人が対象となります。
②どのような場合に?
先程の①に該当する方々が財産管理や契約などを自分で行うことが困難である場合に利用されることになります。
③何をする制度か?
先程の①の方々を保護し支援する制度ということになります。

一つの例ですが内閣府の平成28年版高齢社会白書によると平成24年(2012年)の認知症患者数は462万人、これが2025年には約700万人と見込まれているようです。
こういった方々を支えるためにこの制度が活用されるという視点があるわけです。

制度自体は2000年4月にスタートしたのですが、制度ができた際に言われたことの中に「自己決定権の尊重」「ノーマライゼーション」という言葉があります。
認知症等で判断能力が低下していた方々でもこの制度を活用して健常者と同様の生活を送っていけるような社会を目指すことがもともとの趣旨です。
ですから大前提として成年後見制度という制度は判断能力が低下してきた方であっても社会の中で生活していけることを支援する制度だということを忘れないでほしいところです。

とは言っても実際には毎年のように聞く後見人による横領の問題や職業後見人といわれる士業の方々と親族の方がぶつかるような事例も耳にすることがあります。
こういった点がこの制度の「理想と現実」というと大げさかもしれませんが、やや使い勝手がよくない、あるいは不信感があるという指摘を一部で受けている理由かもしれません。

二つの後見制度

さてそんな成年後見制度ですが大きく二つの制度があります。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
一つは「法定後見制度」と呼ばれる制度、もう一つは「任意後見制度」と呼ばれるものです。
細かな点は次回以降にお話ししますが、大まかに言うと「法定後見」はすでに判断能力が低下してきているまたは低下してしまった方が対象のケースであり、「任意後見」は健常者の方が自分の判断能力が低下した際に備えて準備しておく制度である、というふうにイメージいただければと思います。
また「法定後見」については特にその判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」という類型があります。

裁判所のホームページでは毎年「成年後見関係事件の概況」(以下「概況」とします)という資料をまとめています。
この平成28年版によれば成年後見制度申立事件の総数は平成28年が34,249件ありました。
このうち約78%にあたる26,836件が法定後見制度の「後見」申立事件です。
一方任意後見制度については任意後見契約を事前に締結し実際に任意後見をスタートさせる際には任意後見監督人を選任することになるためこの監督人選任の申立件数が先ほどの「概況」に記載されています。
任意後見監督人選任の申立事件数は平成28年791件であり成年後見制度申し立て事件の総数から見れば約2%ということになります。
ちなみに残りは法定後見制度のうち「保佐」「補助」と呼ばれる類型の申立です。

この「概況」によれば申立人の約29.1%が「子」であり、また申立て理由のトップが「預貯金等の管理・解約」となっています。
このことから例えば介護等の費用に本人の定期預金の口座などを解約して充当しようと考えたところ本人の認知症などで判断能力が低下しており解約ができないため「後見」制度を利用せざるを得なかったというようなケースが考えられます。
こういう事態になってはじめて「後見」制度に触れることになるということです。
色々と難儀な点も出てくるでしょう。
そのような事態になってもあわてないようにあらためて制度のことを知っておいていただきたいというのが「法定後見」に関する今回このコラムでお話ししていく趣旨になります。
またご自身が判断能力の低下した場合に備えておきたい、と考える方にとっては選択肢の一つとして「任意後見」があるということも知っておいていただければ幸いです。
次回以降もう少し細かい点を見ていくことにします。

この記事を書いたプロ

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