コラム

 公開日: 2018-01-03 

「死後事務委任契約」とはどんな契約なのか?

こんにちは。
練馬区の行政書士・ファイナンシャルプランナー上野誠です。

以前にこのコラムで独身の方にも気にしてほしい終活のことというお話しをさせていただきました。
この中で「死後事務委任契約」について少しだけ触れました。
自分が旅立った後の「死後事務」を信頼できる第三者に任せるという契約がいわゆる「死後事務委任契約」です。
今日はこの死後事務委任契約についてその概要を以前よりちょこっと詳しくお話しします。

「死後事務委任契約」の概要

そもそも「死後事務委任」というものはどんなものなのでしょうか?
自らが亡くなった後には実は様々な手続きが残っています。
例えば死亡届を提出することもその一つでしょうし、葬儀や納骨の手続き、遺品の整理などといったものもあげられます。
これら主な死後の手続きを信頼できる人物に生前に委任する契約が「死後事務委任契約」ということになります。

こういったことは遺言書に書いておけばいいのではないか?という方もいらっしゃるかと思います。
ただこれら死後事務にあたることは基本的に遺言の法定事項ではありません。
遺言書に書いておくことそのものは問題ありませんが、あくまでお願いであるだけで拘束力がないということになります。
これに対してこちらは契約ですから事後事務の委任を受けてこれを引き受けた方は基本的にそのお手続きをしなければいけないことになります。
ここに遺言書と死後事務委任契約の違いがあります。

さてこの契約は特に独身もしくは配偶者と死別等されたお子さんのいらっしゃらない方で、相続人が兄弟姉妹またはその子どもたちであることから最近つきあいがないという方や相続人がいないという方は検討されるといい契約です。
なお相続人のいない方については別途相続財産管理人が選任されることになります。

相続人がいる場合の「死後事務委任契約」

ところでこの契約の委任者の方に相続人がいる場合に死後事務の委任を受けた方と相続人との間でトラブルが発生することが起こりうるという点に気を付ける必要があります。
そもそも先ほどの死後事務を行うには一定の経費等がかかってきます。
そのため委任者は受任者に一定の金銭いわゆる「預託金」を預ける契約になってきます。
このお金についてトラブルが発生する可能性があるという考えが出てきます。
また民法に詳しい方は「委任者が亡くなれば委任は終了するのではないか?」というふうに思われるかもしれません。

以前にこの事後事務の受任者と相続人との間で裁判になった事例があります。
入院中の方(仮にAさんとします)がお友達(仮にYさんとします)に通帳や印鑑、現金などを渡してAさんの死後葬儀や法要の施行、その費用の支払い、病院への支払い、Aさんがお世話になった家政婦さんへの支払い、そしてYさんへの支払いを依頼しました。
Yさんは依頼に応じてそれらを行ったところAさんの相続人から通帳や印鑑、現金等の返還を求めて訴えられたという事例です。
先程の「委任者が亡くなれば委任は終了するのではないか?」という点がこの事例の一つのポイントでした。
本件を扱った最高裁の平成4年9月22日の判例では
「自己の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約がAとYとの間に成立したとの原審の認定は、当然に、委任者Aの死亡によっても右契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものというべく、民法653条の法意がかかる合意の効力を否定するものでないことは疑いを容れないところである。」
(有斐閣 「民法判例百選II債権第5版新法対応補正版〔No.176〕」P146より引用)
としています。

つまり委任の終了事由を定めた民法653条の規定(終了事由に委任者や受任者の死亡があります)は強行規定ではないので特約があってもかまわないというお話しになります。
ただし相続人に遺留分がある場合で、受任者に預けた「預託金」があまりに高額な場合は遺留分の減殺請求を受ける可能性もあるとの見解もあります。

したがってもし委任者に相続人がいる場合はできれば相続人にも一度しっかりと自分自身の考えをお話ししておくことが大切になります。
またあまりに高額な預託金を預けるような死後事務委任契約は避けた方がいいでしょう。
ちなみに実際の死後事務委任契約は公正証書で作成することが基本ですが、委任者が死亡してもなお契約が終了しない旨の条項を設けることになります。
とはいえ死後事務委任契約は先程の触れた高額な預託金を預けないためにも委任したい事項をなるべく絞った契約にするように検討していくようにしましょう。

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