コラム

 公開日: 2017-12-06 

医療保険の加入前に知っておきたい高額療養費制度

こんにちは。
練馬区の行政書士・ファイナンシャルプランナー上野誠です。

今日は「高額療養費」制度についてお話しします。
このところ保険のお話しをしていますが、特に医療保険の加入については国の制度を知っておくことも重要なことです。
その上で保険加入の検討をすることをおすすめします。
「高額療養費」は医療保険との兼ね合いでよくお話しに出てくる制度なのでぜひ知っておいてください。

「高額療養費」制度の仕組み

名前は聞いたことがあるという方もいらっしゃると思いますが、「高額療養費」とはどんな制度なのでしょうか?
これは医療費がたくさんかかってもある一定の水準を超えた部分は負担をしなくてもいいという制度です。

実際の高額療養費の金額はどのような計算で考えられるのでしょうか?
これについては厚生労働省ホームページの「高額療養費制度を利用される皆さまへ」にわかりやすい記載があります。
当該ページをリンクしてご紹介しておきます。
厚生労働省ホームページ 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

このページによれば69歳以下で年収が約370万円から約770万円の方の場合、次の算式から高額療養費が導き出されます。
 「自己負担限度額(月額)=80,100円+(医療費-267,000円)×1%」
 「窓口負担額-自己負担限度額(月額)=高額療養費」

ここでいう「医療費」は自己負担額ではないことに注意です。
また注意点として入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療技術料などは高額療養費に含まれませんのでご注意ください。

さて仮に会社員の方がある月に30万円の窓口負担額を支払えば、その月の医療費は100万円になります。
この場合、先程の算式の例においては、

 「自己負担額(月額)80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円」
 「高額療養費 300,000円-87,430円=212,570円」
この212,570円が高額療養費であり、高額療養費差し引き後の自己負担額は87,430円ということになるわけです。
この医療費の自己負担額に入院したケースでは食事代や差額ベッド代などを足したものが実際に支払う額ということになってきます。

さてかつてはこの制度はお話ししたような後払いしかできない形になっていて、一旦自分で医療費の自己負担分を支払った後、後で先ほどお話しした「一定の水準」を超えた部分、すなわち高額療養費部分がもどってくる仕組みでした。
つまり一旦は現金が必要だったのです。

しかし現在はこの原則が維持されつつも、69歳以下の方や70歳以上の住民税非課税の方は、事前に「限度額適用認定証」という書類を保険者に申請して交付してもらえれば、それを医療機関に提示することで、医療機関窓口で自己負担分しか支払わなくても済むような仕組みもできました。
つまり後払いではなくなるのです。

余談ですが、63歳で亡くなった私の父は亡くなる間際にしばらく入院していましたが、その際この制度を利用して後払いをすることなく済ませました。
決して裕福ではない我が家にとっては大いに助かったところです。

食事代や差額ベッド代の目安

さて高額療養費を差し引いた自己負担額の例を出しましたが、これに入院のケースでは食事代や場合によっては差額ベッド代を加えて考えます。
現在の入院時の食事代は厚生労働省のホームページに書かれていますが、一食360円です。
(リンク先として厚生労働省ホームページ「平成28年4月から 入院時の食費の負担額が変わります」をご紹介しておきます。)

したがって1日3食で10日入院したとすれば
「360円×3食×10日=10,800円」
となります。

差額ベッド代が必要な場合はどうでしょうか?
これもよく利用される資料ですが、厚生労働省ホームページ内にある平成28年10月19日付中央社会保険医療協議会の資料「主な選定療養に係る報告状況」に平成27年7月1日現在での1人部屋の1日当たりの平均徴収額が記載されています。
(この厚生労働省ホームページのリンク先はこちらからどうぞ。なおリンク先はPDFですのでご注意ください。)
金額は1日当たり平均7,828円となっています。
この数字を基本に先程のように10日入院したとすれば
「7,828円×10日=78,280円」
です。

公的制度を理解して医療保険の検討を

先程の高額療養費の例で計算した自己負担額と食事代、差額ベッド代を足しても
「87,430円+10,800+78,280円=176,510円」
となってきます。
いろいろとお話ししてきましたが、こういう制度がある上に緊急時の現金の貯えがあれば、わざわざ医療保険に加入しなくてもいいのではないか?という点が冒頭に触れた医療保険加入への検討材料になるのです。

もちろん今後も高額療養費制度などの公的保険制度が維持できるのかどうかは国の財政の問題などもあって心配な方もいらっしゃるかもしれません。
またこの制度が月ベースでの制度のため、月をまたいで医療費が分かれてしまうと使いにくい制度であるなどのデメリットもあります。
ただとりあえず今のところはこの制度は利用可能なわけです。

保険料の支払いが家計の支出状況の中でどのくらいの割合を占めているのか、また家計の中でいざというときの貯えがどの程度あるのか、などという点を医療保険加入にあたってあわせてお考えいただきたいところです。
医療保険の件など気になることがあれば、当事務所では特定の保険商品の販売等は行っておりませんので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いたプロ

うえの行政書士FP事務所 [ホームページ]

行政書士 上野誠

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TEL:03-6671-5089

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