コラム

 公開日: 2017-07-15 

遺留分と特別受益

こんにちは。
練馬区の行政書士・ファイナンシャルプランナー上野誠です。

さて今日は前回に引き続いて「遺留分」についてのお話しをします。
最近は相続に関するセミナーなども多く「遺留分」の存在についてご存知の方も多いでしょう。
今日はその遺留分の考え方の基準になる財産についてのお話しです。

遺留分算定時に加算するもの

遺留分を考えるときの基準になる財産は相続時に残っている財産だけではありません。
次の3つに該当する財産も遺留分を算定するときに上乗せしないといけないことになっています。

①相続開始前1年間にした贈与
②被相続人と贈与を受けた人の二人ともが遺留分権利者に損害を加えることを知って行った贈与
③相続人への特別受益

この3つは遺留分を算定する際に相続財産に加算して考えなければいけないものです。
ですから遺留分を算定するときの財産額は相続財産よりも多くなることもあり得るわけです。
特に注意を要するのが③の相続人への特別受益です。

特別受益とは?

「相続人への特別受益」と申し上げましたが、そもそも「特別受益」は相続人がその対象となるものです。
まず民法903条第1項の条文を見てみましょう。

 「第903条
   第1項 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは
       生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財
       産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した
       相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」

条文は長いのですが、一つの例として親御さんからお子さんへの住宅取得資金贈与があります。
住宅取得のための資金を贈与したとすれば条文の「生計の資本」に当たる可能性が高いと考えられます。
そうするとこの資金を民法上の相続財産の計算の際に加算しなければいけません。
これがよく言われる「特別受益の持ち戻し」と言われるものです。

ここで例えば遺言書などで被相続人がいわゆる「持ち戻しの免除」の意思表示をしたとすれば相続財産の計算には参入されないことになります。

しかし遺留分の算定の場合はそうはいきません。
というのも民法903条の第3項には次のような規定があるのです。
 「第903条
   第3項 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関
       する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。」

条文冒頭の「被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したとき」というのは先程の「特別受益の持ち戻し免除」の意思表示だと思っていただいて結構です。
そしてこの意思表示が、「遺留分に関する規定に違反しない範囲内で」有効となっています。

つまり遺留分の算定においては、仮に被相続人の持ち戻し免除の意思表示があったとしても特別受益を加算して算定する、ということになるわけです。
これが今日の前半にお話しした③の部分のことになるわけです。

お子さんが何人かいらっしゃるのにおひとりにだけこういった資金援助などを行った場合、相続時にトラブルにつながる可能性も出てきます。
もっと細かなお話しもあるのですが、ここではシンプルに、遺言書などで「持ち戻し免除の意思表示」をしても遺留分には勝てない、ということを理解していただくことが大切なことだと思います。

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