コラム

 公開日: 2017-12-01  最終更新日: 2017-12-04

住まいの外皮性能〜木造住宅の外壁基礎知識【前編】

住宅の外壁について、一般的な基礎知識と仕上の種類についてのコラムです。
性能と種類と、前後編に分けてご説明します。今回は住宅の外皮性能についてです.

外壁の基本性能

建物の外壁には簡単に以下の四つの性能が要求されます。

①雨風をよける防水性能
②住まいに入る住人や物品を支え、地震や強風でも壊れない構造強度
③暑さ寒さを和らげる断熱・気密性能
④火事から人命・家財を守り、延焼させない防火性能

日本の住宅で最も多く採用されているのは木造です。木造の主要構造は柱梁ですが、これらの材が受け持つのは②の構造強度のみ。柱梁だけではすかすかなので雨風・暑さ寒さ・火、どれもまったくよけられません。
鉄筋コンクリート造の場合は、コンクリート自体に耐火性能も、構造強度も、ある程度の密実さもあるので、構造部材だけでも①・②・④の性能は最低限保てますから、「コンクリート打放仕上」という、構造部材をそのまま外部仕上としてみせることが可能ですが、木造の場合は、柱梁だけでは建物として完結できないので、それぞれの性能をもつ材料を付加していくことになります。
このコラムでは、木造の外壁についてお話ししたいと思います。

     左:木造の柱梁が立ち上がったところ。まだ雨も風も火も一切よけられません
     右:コンクリートが打ち上がったところ。仕上は全く入っていませんが、
       最低限身を守るシェルターとしては成立しています。

外壁の構成

前項でお話ししたように、木造の外壁は、基本となる柱梁の線状の部材にそれぞれ必要な性能を持つ部材を付け加えていく構成となります。
現代の住宅は冷暖房が完備されて、常に心地よい室内温度環境を保つことを求められるため、外皮には高い断熱性能を要求されます。
その時に、断熱と共に必要とされるのが気密性能です。
昔の家はスキマだらけでした。また、暖房も室内をくまなく暖める能力はなく、囲炉裏端や火鉢など、人がいる周辺だけを暖める方式でしたし、柱梁が見えてその間だけが壁になっている真壁造が多かったため、木が密閉されることもなく、壁の中が結露して、土台や柱にカビが生えたり腐ったりすることは多くありませんでした。(これは結露することもないほど室内が寒いということなので、善し悪しなのですが)
ですが、現代の住まいで、中央だけが暖かく、壁の傍にいくと外と同じくらい寒いような環境はまず許されません。
そうすると、壁の中で室内温度から外気温まで下がるようになりますが、ここで問題になるのが結露です。気密性が悪いと、暮らしと共に室内で発生する相当量の水蒸気が壁の中に入り込んで、温度が下がる間に結露してしまいます。
壁の中での結露が常態化すると、断熱性能も格段に下がりますし、木材のカビ・腐朽の原因になりますので、水蒸気が壁内に入ることなく、換気扇など正しいルートから排出される必要があります。
その環境を実現させる基本構成が下の図のような形です。

A:室内側仕上材
この材は基本的には自由にお好みで選べる材です。
 ※木造三階建て、キッチンや暖炉など火を使う器具のプランによっては、Aの材にも防火性能が
  要求される場合があります。

B:気密フィルム
仕上材の下に、柱と断熱材を覆うような形で室内側に張ります。ここで水蒸気が壁内に入り込むのをシャットアウトします。

C柱+断熱材
木の場合、ヒートブリッジになりにくいので、絵のように柱間に断熱を入れることが一般的ですが、合板と柱の外側に断熱材を入れる外断熱という選択肢もあります。これは隣地との距離や火災可能性なども考慮して総合的に決めることなので、一概にどちらの方式が正しいとは言えませんが、どちらにせよ、それぞれの方式で壁内結露を起こさない、正しい気密性能と断熱性能の確保方法を選択することが重要です。

D合板+透湿防水紙
この合板で耐震強度を確保し、透湿防水紙で外からの雨を止水します。
ただ、不透湿タイプの防水紙を使ってしまうと、合板と防水紙の間に水蒸気が溜まって結露してしまうため、必ず透湿性の防水紙を使います。

E通気胴縁
防水紙と外壁仕上材の間に空気が抜ける通気層を作ります。外壁仕上材は目地や割れの可能性があるため、完全にそれだけで止水することは不可能です。また壁内から放出される水蒸気を逃がす必要があるので、防水紙と仕上材の間に空間を作って、入り込んだ水は下に流し、水蒸気は軒や屋根から上に抜けるような通気層を作ります。

F外壁仕上材
これが家の外観を決める外壁材です。
地域によって防火性能の程度が法律で決まっているので、それに従った仕様とする必要があります。
また、家の個性を決める要となるため、必要な性能と、金額と、デザインとのバランスを見ながらどういう外観とするかを見極める素材です。

次回のコラムで代表的な仕上とそのメリット・デメリットを、事例写真と共にご説明します。


後編はこちら

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