コラム

 公開日: 2015-01-17  最終更新日: 2015-03-12

高度プロフェッショナル労働で労働条件は改善されるのか?

名前を変えても中身は一緒

厚生労働省の審議会は、働いた時間ではなく成果で報酬を決める新たな労働時間制度について、「高度プロフェッショナル労働制」と名付けました。従来、マスコミでは「残業代ゼロ」制度と呼ばれていましたが、これからは高度プロフェッショナル労働と呼ぶことになりますが、内容には今までの報道と特段変更はないようです。

私はそもそもこの命名の日本語がおかしいと思います。
なぜなら、労働者に対して支払われるものは特に肉体対労働者に対して支払われるものは賃金であり、デスクワークの労働者に対して支払われるのものは給与なのですが、真のプロフェッショナルに対して支払われる対価は、報酬と呼ばれています。
英語で表現すればこのようになると思います。

賃金=Wages, 給与=Salary、報酬=compensation 又は remuneration

しかも「高度」プロフェッショナル としていますから、独立しても事業として成り立つようなレベルの仕事をしている人を意味していると理解できます。そのような人たちに対する仕事を「労働」と呼ぶことは、日本語や一般市民の感覚として、不適切だと思うのです。
16日に開かれた厚生労働省の審議会で示された骨子案によりますと、原則として残業代が出なくなる新たな労働時間制度については、対象となる人を年収が1075万円以上で金融関係のアナリストやコンサルタントなど高い職業能力を持ち、職務の範囲が明確な人に限定するとしていますから、法的にいえば、こういう職種の人たちに成果主義で仕事をする契約をするのであれば、成功報酬型の委任契約になると思われます。通常の会社員は雇用主である会社と雇用契約を結ぶわけですが、高度プロフェッショナルの人たちは『プロ』ですから、年俸契約ですからね、、(プロ野球選手の年俸制をイメージすればいいと思います)労働って表現はいかにもおかしいです。

サラリーマンのプロフェッショナルはあり得るのか

終身雇用を前提としない成果主義の条件で、特定の企業のための仕事をすると理解すれば、例えば、日産のカルロス・ゴーン氏やバブル時代の金融商品のトレーダーなどが挙がられると思います。明確なノルマの条件で高額報酬が支払われるという働き方がそれに該当すると思います。
しかしこの場合の年収は、1000万円程度の話ではなく、少なくとも1億円以上でしょう。

失敗したら責任を取って企業を去るという条件ですから、プロフェッショナルと称しても当然と思います。年収は1000万円以上であるが明確なノルマはない代わりに失敗したとしてもクビになることもない職種の人たちが、今回の残業代ゼロ制度=高度プロフェッショナル労働制度の対象ですから、自分の人生を賭けるくらいのリスクを取って仕事をする真のプロフェッショナルではないわけです。

それは、今回の審議会の案を明らかであり、
「長時間労働を防ぐためひと月の労働時間に上限を設けたり、仕事を終えてから次の出勤までの間に一定の休息時間を設けたりすることを条件としています。」休憩時間や休暇の取得について取得しやすいように手当をするというのは、対象がやはり労働者だからです。

長時間専門的な仕事をする労働者を救う方法は他にないのか?

このような労働者は何が問題なのでしょうか。
「何も成功報酬の対価について約束がないままで辛いノルマを課されている」
なんら交渉もなく一方的にノルマを課されているとすれば、労働者側に納得感はないと思います。
これにはきちんとノルマの達成の可能性とそれに見合うボーナス支給が約束されることの方がよほど重要だと思います。現実的に政府がそんな個人レベルのノルマの設定とその対価報酬について、チェックすることは不可能と考えてしまいがちですが、本当にそうでしょうか?

企業は専門職と総合職というような形で、採用時点で労働条件とその後の処遇について、洗濯できるようにしていることが多いようです。この慣行にたいして、新たに今回の新しい制度を追加することを検討させてはどうかと思うのです。年収が1000万円を超えるのは、一般的には早くても30代後半と思いますので、管理職になって(名ばかり管理職ではダメです。これは別の問題です)残業手当がつかなくなる道を選ぶか、新しい専門職として成果と報酬を明示して委託契約する道を選ぶかという選択を用意する方法です。

労働基準監督署は活用できないのか?

残業代ゼロの企業をブラック企業として公表をするよりも、社員がこのような高度プロフェッショナル労働を選択した場合は、名簿に登録して条件と労働の対価の支払い状況を記録することを義務づけることにするというのはどうでしょうか。そして適切に運用できている企業に対しては、何か補助金を支給する形にすれば、インセンティブにもなると思います。
骨子案ではこの制度に移行する人の給与が下がらないようにすることを盛り込んでいます。つまり、基本給に現状の残業手当を含んだ状態の給与を、新制度ではミニマムの労働対価としなければなりません。これに、成功報酬的な支払いを保証することが必要となるはずですから、実質的には給与は増額になるオメージです。このような職種の変更に対して労働者の権利が守られているかどうかをチェックする機関が必要になりますので、労働基準監督署の中に、「高度プロフェッショナル労働110番」みたいな部署を設けて、労働者からの相談に応ずることが重要ではないでしょうか。

どんな職種の人が該当するのか?

いろいろ情報が飛び交っていますが、まとめてみると
・年収1075万円以上
・研究職(医薬、金融商品、その他)
・企画型営業(法人向け金融商品等)
・現在残業手当が支給されている(=管理職ではない)
という感じですね。
本当にこの条件に該当する人がどれくらいいるのだろうかという気もします。
こういう人がいれば、独立起業することを考えているかもしれませんね。
またはライバル企業にヘッドハンティングされるのではと思ってしまいます。
もっとも年収基準を例えば600万円程度に引き下げれば、かなりの人が対象になってしまいます。
企業の労働組合が懸念しているのはこの点ですね。
あなたは「高度プロフェッショナル」に該当していますか?
将来、該当する予感がしますか?
いずれにしても、自分の専門分野において、適切に評価してもらえるようになることが重要ですね。

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