コラム

 公開日: 2016-02-02 

遺留分 – 遺産の一定割合は家族が受け取る

遺留分とは

遺留分とは、簡単にいえば「遺産に対する家族の最低限の取り分」です。
典型的な例でいうと、祖父が亡くなったところ、出てきた祖父の遺言書には「遺産はすべてに愛人に譲る」と書かれていた場合、祖父と一緒に住んでいた祖母は住んでいた家も奪われてしまうことも考えられます。そこで、この祖母のような家族のために、一定割合の財産を確保しようというのが「遺留分」という制度です。

誰に遺留分が認められていますか

遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められています。具体的には、配偶者、子、直系尊属が遺留分権利者となります。法定相続人の範囲については、前回のコラム(「相続人の範囲」)をご参照ください。

遺留分の割合はどれくらいですか。

遺留分の総体的な割合は、相続人が誰かによって変わります。
(1)直系尊属だけが相続人のときには、相続財産の3分の1、
(2)それ以外の場合には、相続財産の2分の1、です。
これを各遺留分権利者が相続分の割合で分けます。

分かりにくいと思いますので、具体例でご説明したいと思います。
まず、(1)の例でいえば、独身で子供もいないサラリーマンが、300万円を遺して亡くなった場合、相続財産の3分の1である100万円が、相続人(この場合は両親)の遺留分となります。つまり、このサラリーマンが「遺産は全て初恋の人にあげる」と言っていても、両親には、100万円の取り分があることになるわけですね。そして父親と母親は、この100万円を2人で分けることになります。

次に(2)の例をあげると、奥さんと子供1人がいるサラリーマンが、300万円を遺して亡くなった場合、相続財産の2分の1である150万円が、相続人(この場合は妻と子供)の遺留分となります。つまり、このサラリーマンが「遺産は全て初恋の人にあげる」と言っていても、奥さんと子供には、150万円の持ち分があることになるわけですね。そして奥さんと子供は、この150万円を2人で分けることになります。

遺留分算定の基礎となる財産

被相続人が相続開始の時にもっていた財産に、相続開始の前1年以内にされた贈与を遺留分算定の基礎に加え、そこから被相続人の債務の額を引いて、遺留分算定の基礎となる財産を計算します。

なお、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってなされた贈与については、1年以上前のものであっても、遺留分算定の基礎に加算します。また、共同相続人に対する贈与が、特別受益に該当するときには、1年以上前の贈与であっても、原則として遺留分算定の基礎に算入するものと解されています。

遺留分を侵害された家族は、どうすればよいのでしょうか

遺留分を侵害する遺贈や生前贈与がある場合、自分の遺留分を侵害された相続人の方は、遺留分を確保するのに必要な限度で、遺贈や生前贈与などの効力を消滅させ、財産を取り戻すことができます。これを「遺留分減殺請求」(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)といいます。
遺留分減殺請求の方法は、必ずしも裁判上で請求する必要はなく、遺留分を侵害している人に対して意思表示をすれば足ります。ただし、実際には後記のように時効期間の問題もありますので、手紙を出したこととその内容を明らかにする内容証明郵便を利用することが望ましいといえます。

遺留分減殺請求権の消滅時効

遺留分減殺請求権は、相続の開始と減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しない場合には、時効によって消滅します。また、相続開始のときから10年間を経過したときも、同じく消滅します。

遺留分の放棄

少し応用となりますが、遺留分は、相続開始前でも、家庭裁判所の許可を受けることによって放棄することができます。この遺留分放棄という制度を利用する場面としては、たとえば、会社経営者の相続において、遺留分権利者による遺留分減殺請求権の行使によって、会社の株式や事業用の資産が分散してしまうことを防ぐことが想定されます。ただし、相続開始前の遺留分の放棄は、遺留分権利者の生活の保護という遺留分制度の趣旨を失わせる恐れもあることから、家庭裁判所が判断し、許可をした場合にのみ認められるものとされています。

弁護士による遺留分減殺請求

内容証明郵便を利用した遺留分減殺請求から、財産の取戻しのための法的手続まで、弁護士が代理して行うことも可能です。弁護士費用や業務内容などは、こちらのページをご覧いただければと思います。
>> 遺留分減殺請求 - 相続財産を取り戻す

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