コラム

 公開日: 2016-01-25 

遺産分割調停を利用する - 申立てから終了まで

相続によって、亡くなられた方(「被相続人」といいます。)の遺産を、相続人が引き継ぎます。相続人となる方が複数おられる場合には、その相続人の間で、遺産(とくに不動産など)をどのように分けるかを決めなければいけません。遺言で分割の方法が指定されている場合には、遺言に従って相続財産を分割していきますが、遺言がない場合や、または遺言が無効である場合などには、相続人同士が、話し合って遺産を分ける必要があります。

相続争いについて

多くの方は、いわゆる相続争いというのは、資産をたくさん持っている家庭で起こるものだとお考えかもしれません。しかし、たとえば、遺産が、自宅の家ひとつしかない場合を想定してみてはどうでしょうか。ひとりの相続人が自宅を相続して、他の相続人の方の取り分は何もないということも考えられます。このように、相続争いは、資産の額にかかわらず起こりえます。そして、いちど当事者同士の話合いが決裂してしまった場合には、根付いたお互いの不信感を取り除くことは容易ではなく、ふたたび話合いで解決することは極めて困難な類型の事件といえます。

遺産分割調停

そこで、遺産分割の話合いがまとまらないときや、当事者同士で話そのものができない場合には、通常、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることが考えられます。遺産分割調停では、家事審判官と調停委員で構成される調停委員会が、中立的な立場から、相続人それぞれの意見を聞き、話合いを斡旋します。
裁判所というと、近寄りがたいイメージを抱いておられるかもしれませんが、遺産分割の協議ができずにお悩みの方は、話を進めるためにも遺産分割調停の申立てもご検討ください。
以下では、遺産分割調停の申立ての仕方や調停の流れについて、ご説明します。

調停の申立ての方式

所定の事項を記載した申立書と必要な添付書類を家庭裁判所に提出します。必要な添付書類は、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票または戸籍の附票などです。その他、預貯金の残高証明書や固定資産評価証明書など、事案に応じて、提出しなければならない資料があります。また、手続費用として、被相続人1人につき1200円分の収入印紙と予納の郵便切手を納めます。

遺産分割調停の当事者

遺産分割調停では、共同相続人や割合的包括受遺者等の全員が当事者となる必要があります。したがって、申立ての際には、申立てをしようとする方以外の他の共同相続人や割合的包括受遺者等の全員を相手方として、調停を申し立てます。相続人の範囲については、こちらの記事「相続人の範囲-誰が相続人となりますか?」をご参照いただければと思います。

申立書の提出先

相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します。当事者全員で合意できているのであれば、他の家庭裁判所で申し立てることも可能です。住所地を管轄する裁判所については、裁判所のホームページから調べることができます。

調停の手続

調停は、非公開の調停室で行われます。遺産を分けるという最終的な目的に向けて、調停委員が当事者それぞれから言い分を聞いて、意見の調整を図っていきます。
なお、遺産分割事件では、遺産分割の上で争点となっていたとしても、調停の対象とすることができない事項もあります。たとえば、遺産としての不動産からの賃料収益などは、たとえ調停において一括して解決することを望んでも、相続人全員で遺産分割の対象とすることに合意をしない限り、調停の対象とはなりません。このような場合には、民事訴訟など別の手続を利用して解決を図る必要があります。

調停の終了

遺産分割について、当事者間に合意が成立した場合には、調停条項を作成し、調停が終了します。一方で、話合いに折り合いがつかないなど調停での解決が困難な状況に至った場合には、調停不成立となり、審判に移行します。

以上が,調停の申立てから終了までの流れです。
遺産分割をご依頼いただいた場合に弁護士がお手伝いできることや弁護士費用につきましては、こちらのページ「遺産分割のサポート」をご覧いただければと思います。

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