コラム

 公開日: 2014-06-27  最終更新日: 2014-07-31

やっと笑顔を見た! おじいさん・おばあさんのこれから

相談室には様々な問題やお悩みを抱えられた方が来られますが、今回、お子さんのない80歳に近い老ご夫婦のお話には身を詰まされました。

同居の姉の死による相続の揉め事で長~いヘトヘトになる裁判を弁護士も立てず老ご夫婦だけで争ったと言われるのです。結果、敗訴、控訴したが棄却、土地の所有が姉であった上に土地賃貸借契約がなかったため無権利者として強制執行され自宅から追出された訳です。身体は区紹介の期限付きの○○荘へ仮入居、家財道具は裁判所管轄の保管センターに強制的に移され、今は福祉事務所の生活扶助(保護)受給者の身であると言われるのです。

疎遠であった10名を超える甥姪の代襲相続人から訴えられたわけです。唯一の(ヨレヨレ)叔母らを大勢の甥姪が家から追出すという信じ難い内容でした。甥姪が不動産業者に売却したため業者により強制執行をかけられたのです。つまり自らの手を汚さない、後は知りませんの図式です。

当然ですが、負けた悔しさ以外にも、裁判後、福祉事務所にお世話になる等、プライドは傷つき、執行官との対峙では問答無用の処理をされる等、次々と降りかかる追い討ちや過酷な扱いにご本人らは険しい表情でした。悔しさと怒りで笑いは失せ人間不信に陥られるのも当然のことだと受止めました。

私は裁判での「勝った負けたの問題」と「頼るところのない身内のお世話」とは別の問題という観点から甥姪には「叔母らのお世話をする義務がある」と思い行動しようとしましたが、ことを更に複雑化させることも考えられる上に話をしても無駄な方々のようでしたので止めました。私とすればその内の一人でも良いから心に止めこの叔母らの問題を自分らの問題として立ち向ってくれる方がいてほしかったからです。

結局、ご夫婦は親族がいても実質「身寄りのないお年寄り」になったわけです。

別の視点で考えると、核家族化で親族間の絆が薄れ、金だけに執着するような希薄な世の中になったと言えます。残念ながらこのようなことは世間ではよくあることなのかも知れません。

先日の群馬県渋川(無届け且つ違反建築)老人施設「静養ホームたまゆら」火災事件の報道で、多くの身寄りのないご老人が福祉事務所のお世話で地方のこのような施設に移り住んでおられることが明らかにされました。

法律?では保護責任を持つ「居住地保護」という原則があるようですが、実態は都内の老人施設不足という「国の政策の貧困・怠慢」のために地方のこのような許可対象外の民間老人施設に追いやられているのです。このような老人施設が全国で575もあることも初めて知りました。そのなかには「たまゆら」のような劣悪な施設も少なくないと聞きます。

国の老人問題の無策から都内の施設は飽和化し福祉事務所として頼らざるを得ない有り難い存在になっているようです。少子高齢化問題が叫ばれているなかで、こんな事で良いのか! 疑問を禁じ得ません。

私としてはこの老夫婦をこのまま見捨てることは、いずれ地方送りになるかも知れないことを意味していますので、お世話することを決断しました。

誰しもいずれ老人になるのですから! 明日は我が身かも知れません!

まず、やるべきこととしては

①期限を過ぎると競売処分される家財を他の場所に期限前に移動すること

②福祉で認められる家賃扶助内の賃貸アパートを探すことでした。

家財については、たまたま不動産屋として私が管理している田舎の空古屋があったので所有者の理解と協力を得た上で保管センターから仮移動して家財は確保しましたが、次の賃貸アパートの探索が最大の難関でした。

身寄りのないお年寄りの住いを見付けるという作業が、如何に大変なことかを思い知らされた体験でした。

普通の人であっても家探しは決断までに相当な時間と労力を要しますが、こと老人の場合、進む老化を考えると、一階であるべし、買物は? 病院は? 周辺を含め地勢が平坦かどうか 等々の要件が加わります。元々福祉の家賃扶助額内の賃貸アパートですから利便性や築年数等の贅沢を言っていられないことは重々分っていますが、それでも少しでも生活し易いところをと考えると本当に疲れる作業になります。

最も困ることは、貸主&不動産業者&家賃保証会社のほとんどは身寄りがないことを事前に説明しているにも拘わらず、ほとんどの業者は緊急連絡先と保証人を要求してきます。しかも緊急連絡先は身内と言うのです。

気に入った物件が見付かり申込みを入れても、仲介&管理を任されている不動産業者、貸主(大家さん)、更には家賃保証する保証会社の理解が得られないとか、緊急連絡先は?連帯保証人はだれが負うのか?いろいろ厚い壁にぶち当たります。

立場を替え、貸主さん側の商売という視点から見れば、健康で問題が少なく、緊急連絡先が身内の方で、保証人がしっかりしている方であれば貸した後、手間も掛らず安心できます。このような方を優先したいと考えるのは当然のことなのです。

(※緊急連絡先とは、病気になったり亡くなった時の連絡先で、大家さん側から見れば重要な要件のようです。)

300件に近い数の業者への電話段階で、老人対応をOKしてくれる業者又は物件は約5%、それでも緊急連絡先、連帯保証人のことは確実に聞いてきます。不可ならばほとんど態よく丁重?に断わられるのが現実でした。

この作業を精神的に追い詰められている老人だけで探し歩いても、適切な説明もできる訳でもなく、心ある良い業者に当らない限りは不可能に近いことだと思いました。

私は訴えたい。少なくとも「緊急連絡先」「保証人」の2要件を国が保証する制度を新設してくれることを!

民間アパート利用で老人の地方送りを減らすことができる上に、借手の付きにくい物件の活性化にも寄与する一石二鳥の方策だと考えるからです。

この問題に協力したいと理解を示す大家さんは多くおられることも知りました。しかしこの保証人等の壁をクリアーすることは至難な技なのです。

国が貸主として貸しやすいような制度を設けてくれれば、提供してくれる物件は沢山出てくるものと確信します。物件は潜在しています。国はもっと民間のアパート等を利用すべきだと思いますが如何でしょうか!

今回、私は3ケ月におよぶ探索作業で、大家さん側が求める完璧で贅沢な要件を満たせることはできず、挫折しそうになったことも度々でした。

大家さんから了解を貰い申込みをして期待していた物件が、契約寸前の前夜突然大家さんのご家族の反対でキャンセルされ困惑しているとき、このときの仲介業者さんが心に留めて下さり気遣ってくれたお陰で他業者の物件に出会い、やっと無事に契約に漕ぎ着けることができました。

契約後、ご本人らの安堵した笑顔を見て、その喜びを私も共有することができ「本当に良かった!」 長い道のりでした。過去の悔しい嫌な出来事に気持ちの整理をつけられて、前を向いて生きて頂きたいと思うばかりです。

狭い家になり変わりますが、愛着ある家財の一部を新たな住いに移動させ、元の穏かな生活が取り戻せられるよう近日作業しお役に立ちたいと思っています。

結局のところ、保証人&緊急連絡先欄は私が署名しましたので、この老ご夫婦とは今後長~いお付合いを続けることになります。また見守っていくつもりです。世代の異なる?見方や考え方で新たな知識が得られのではないかと楽しみにしています。

と言うことで、今回、初めて国の老人福祉政策やご老人の実態や問題点について勉強させられた案件でした。

とは言え、私も今年65歳! 老人の仲間入りをします。あと15年生きていれば80歳です。

オーィ 時間よ~ 待ってくれ~!

                         記:大森孝成

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