コラム

 公開日: 2014-06-27  最終更新日: 2014-07-31

徒労に帰すかも?買戻し 売渡承諾書について

先日、このようなことがありました。苦労を重ねてやっと手にした売渡承諾書を売主からの一本の電話で紙くずのごとく破棄されました。

時すでに遅し! この物件は既に落札されている案件でした。それでも債務者&ご家族は諦め切れず買戻しを強く希望されたのでそれを叶えるべく私は行動し、裁判所が売却先として決定した業者(競落専門業者)と交渉を重ね、運よく条件を纏めることができた上に、購入する債務者関係者の新たな住宅ローン融資についても某金融機関の事前承諾も取り付けることができました。ありがたいことに売主自らが融資付けに必要な「売渡承諾書」を交付してくれたのです。

私として心から安堵しましたが、それも束の間、この承諾を反故にされたわけです。反故にした前日には契約日のこと・手付金をいくらにするか等の最終協議を終えたにも拘わらず! 憤慨このうえない対応に地団駄しましたが残念ながら売渡承諾書というものはこのような性格なのです。

正に谷底に突き落とされたわけです。

債務者やご家族(元所有者)に大きな期待と希望を与えながら、このような結果となり私としてただただ申し訳けなく言葉もありません。私は真に辛い立場に立たされています。

【※今回の主題は下記の「売渡承諾」です。上の問題の経緯と内容についてはいずれ整理し掲載したいと思っています。】




そこで「売渡承諾書」&「買付証明書」について改めて考えてみたいと思います。

この売渡承諾書と買付証明書は基本的には「法的な拘束力がない」のです。

素人の一般の方にはなかなか理解し難いことですので、敢えてこの問題を今回のテーマとしました。承諾や証明とかもっともらしい言葉が使わているため誤解を招いていると思っています。

一般の方でも容易に解る本当の意味での「買受申込書」や「売渡表明書」みたいな表題に変える、又は「本内容は法的に拘束力がない」ことを文面に一筆書き添えるべきだと考えます。

これらの文書は、仲介業者が売主&買主との間で条件がある程度纏まった段階、後で「言った」「言わない」にならないように契約前に相互に授受し合うものですが、法的には何ら拘束性がないということです。

ついてこのことを正しく理解して頂くため敢えて無断で弁護士さんの説明を拝借しましたので、理解を深めて頂きたいと考えた次第です。

A弁護士さんのHPから

売渡承諾書と買付証明書の法律上の性格は、当事者の意思と文言によります。通常、売渡承諾書と買付証明書の授受後に契約書を作成し、手付金の授受をします。これが文言および当事者の意思に合致するでしょう。売渡承諾書と買付証明書の中に「契約日」が記載されていることは、その日に契約書を作成する予定の意味です。すなわち、売渡承諾書と買付証明書の授受は、その後に売買契約書を作成することが予定されていることです。大事なことは、売渡承諾書と買付証明書の交換では売買契約が成立しないのではなく、後日、正式な売買契約書を予定している場合には、未だ、売買契約が成立していないのです。

公表されているニつの判例では、「売渡承諾書と買付証明書の交換では契約は成立していない」としています。なお契約が成立していなくとも、不誠実な対応をした当事者は契約締結上の問われ、損害賠償義務を負うことはあります。

B弁護士さんのHPから

【買付証明書、売渡承諾書の拘束力】不動産の交渉がある程度進んだ段階で、業者から買付証明書、売主から売渡承諾書を出してほしいといわれますが、これらの文書は法的な拘束力を持つものではありません。しかし安易に扱うと責任が問われる場合があります。

【取引実務上の扱われ方】買付証明書とは、買主がある物件を購入するつもりがあることを表明した文書。売渡承諾書とは、売主がある物件を売却するつもりがあるするつもりがあることを表明した文書です。記載事項は、物件の表示、契約締結予定年月日、売買代金の予定額、有効期限等です。

法的性格は、判例上も、購入、売却の可能性を表明した文書であり、確定的な意思表明ではなく、契約の申込み或いは承諾としての効力は認められないとされています。また取引実務上も契約成立前の準備段階において授受される文書であると理解するのが一般的になっています。従って撤回可能なものとして取り扱われています。

【キャンセルした場合の責任】買付証明書は購入の申込みとは認められず、売渡承諾書は売却の承諾と認められていませんから、これらの文書が授受されても、契約が成立したことにはなりません。正式な売買契約書の調印、物件の引渡し、手付金の授受、登記済権利書など、売買の意思が外形上、客観的に表示されたときでなければ売買契約は成立しないとされています。しかし、引渡日、移転登記日、売買代金額と支払日、損害賠償の予約など、売買に関する条件が完全に煮詰まっている場合は、契約の成立があるものとして扱われることもあります。

また売買に関する条件が相当に詰まった段階でキャンセルした場合は、契約の成立は認められなくても、契約締結上の過失責任が認められることがあります。もしどちらか一方が、契約締結前に正当な理由に基かずに契約を妨げ、この行為が過失として認められた場合は、契約成立を信じた相手方がそのために使った費用(調査費、利息等)の賠償を命じられることになります。

判例の通りですが、難しい文面であり、またケースにより内容が異なりますので、私を含めどこまで理解できたか自信がありませんが、言っている要点は次の通りだと思っています。

①売渡承諾書と買付証明書は、契約前段階で契約が予定されていることの互いの確認、また互いの意思を相手方に表明しただけのことで、法的拘束力がない。但し具体的要件のほぼ全部が記載されているものは有効もあり得る。

②意思が定まっていない場合は、相手に迷惑をかけるので安易にこれら文書に署名押印しないように。具体的要件が整っていてキャンセルした場合には、損害賠償の対象にもなり得る。要注意!

                                記:大森孝成


HPアドレス 
http://www.taisei-kikaku.com/index.html


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