コラム

 公開日: 2014-06-25  最終更新日: 2014-06-26

事例「親子間、親族間売買の成立」

弁護士依頼案件で、親子間売買による買戻しを成立させました。

ご病気で入退院を繰り返されている父親(債務者)の状況を心配された遠方在住のご長男が実家の買取りに立上がったわけです。

父親は食品系企業の経営者で次男が後を継がれていたが、中国餃子事件等に翻弄されて昨年倒産し、その借入れ担保は本社事務所&工場&自宅でした。この自宅に設定された根抵当権を抹消除去した上で、同時に所有権を長男に移転する作業を行いました。

根抵当権は、順位1○○信用金庫、順位2○○県保証協会、順位3○○中金という構成で、それぞれの被担保債権額と想定の売買金額から見て、順位1は完済、信用金庫の代位弁済した順位2県○○保証協会がキーポイントでした。また順位3は抹消料(判付き料)の金額がポイントでした。

問題は、売買金額をどうするかでした。ご長男の予算と調査した周辺の取引事例価格等をもとに○○百万円と定め、キーポイントとなる順位2保証協会と交渉を重ねたところ、多少の金額の意見相違がありましたが、最終的に妥当価格とお墨付きをもらい了解点に達し、更に順位3○○中金との交渉でも言い値の半分で順位2と順位3の了解が得られ、先日、目出度く決済しました。

今回のケースは、

①長男が独立していて父親の債務に関わっていなかったこと。

②買戻しに長男の意思がハッキリしていたこと。

③自己資金であったこと、

④私参入前に地元業者によってある程度価格面で揉まれていた関係で、私が示した売買金額に客観性があったこと?

等の要件が整っていたのが幸いし、凡そ1ヶ月の短期でまとめることができました。

では、買戻しについて次に説明いたします。

◆買戻しとは!

現実問題として債務者ご本人やその連帯保証人の名義を残すことはできません。

何故ならこのような場面で通常、当該不動産には価値を超える抵当権等が設定されているため売却後残債が残る上に、債務者(所有者)に他の無担保債権があることがほとんどですから。仮に債務者名義を残せば再度差押え等の餌食となり問題を更に複雑化させてしまうからです。

つまり買戻しとは「親族等のなかで安全で無傷の方へ譲渡する」こと、言い換えれば債務者名義を消し所有権を安全地帯に移動することを言います。

方法論としては2方法があります。

①所有移転方式:親族等に適正価格で売却した形で、抵当権等を除去抹消し、同時に「所有権移転する任意売却の方法」

②債権譲渡方式:「抵当債権を譲渡させる方法」 

つまり謄本記載の債務者名義をそのまま残して抵当権者○○銀行から安全な個人又は法人に適正価格で譲渡してもらい過大な抵当権を付けたまま凍結することを言います。

しかし銀行等はほとんどの場合、入札方式でサービサー(債権回収会社)には売却しますが、関係者が直接買取ることは銀行の立場上不可能に近いと考えます。従って既に銀行等からサービサー(債権回収会社)に債権譲渡されている場合のみ有効だと考えます。

上記②については債務免除益という課税問題が生じる場合で一般的ではないので、ここでは割愛し①についてのみ記載します。

◆では、どのような要件が整えば可能なのでしょうか。

①買人を誰にするか! 

無傷で安心できる方、更にある一定の資金力のある方を定める。適当な方がいるかどうかが成否の鍵を握ります。親・子・娘婿・叔父・叔母等々の親族が一般的です。

不動産によりますが受け皿として法人を新設したり又は債務と無関係の既存法人を利用したりすることもあります。しかしこれは不動産の種類とか債務の状況や内容によります。

②新たな買取り資金の借入れ!

買人となる親族が売買代金の全部を自己資金で賄えられる方であれば何も問題がありませんが、なかなか思い通りには行かないのが世の常です。また全額融資する金融機関は皆無?ですので、ある一定(20~30%?)の自己資金がどうしても必要です。

融資を受けるとなると種々制約があります。例えば住宅ローンの場合は当人の居住が条件となりますので立地的に買人が同居できるかどうか!等の問題があります。(もっとも建前上のストーリーが成立するなら可かも?)

更に現在ほとんどの銀行等は親族間売買を融資の対象としないので、ノンバンクを頼らざるを得えないのがほとんどです。つまり金利面に難点があります。

③抵当権者等が納得するであろう売買価格をどう決めるか!

買戻す当人からすれば安価でありたいと考えるのは当然です。しかし抵当権者から見れば損切りを覚悟しているものの最大回収を図りたいという立場です。買戻すなら市場より高ければと嫌がらせをいう抵当権者もいます。

しかし基本は時価です。周辺の取引事例価格・公示価格・基準値価格から算出や推定して価格を出します。もちろん抵当権者としても鑑定評価してますので、それを覆すにはどうしても客観性のある根拠(裏付け)が必要なのです。後は交渉のなかでの探り合いだと思っています。

また相手がサービサーの場合は、彼らの仕入価格から見た損得勘定ですので、銀行等と異なりスムーズに動くことが多々あります。

以上ですが、買受する方の資金力・抵当権者の現状とタイミング(計上済みの貸倒引当金の額、決算期の前か後か 等)・被担保債権額の構成・不動産の内容や場所立地など、個々に異なりますので一概に申せませんが、買戻しのお気持があればチャレンジすべきだと考えます。よければ喜んでお手伝いができます。

                             記:大森孝成

付記:自宅を守る別の手法としては民事再生法(個人版)という制度があります。直面されている方は知っておいてください。また要件が整うならば法人は破産、連帯保証人の社長個人は自宅を守る目的で民事再生ということも考えられます。これらは弁護士の範疇ですので、希望があればご紹介いたします。

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