コラム

 公開日: 2016-01-12 

冬季訪中修行5日目 ~時間が止まった場所へ~

2016年1月11日 北京

朝起きて外に出掛けようとしたら、エレベーターに大きな穴が空いていました。

エレベーター故障
(↑寝ぼけていたので、ピントがボケています)

故障で修理中のようでした、びっくりです。

・・・

そして、この日私は心の中で時間が止まっている場所へ行ってきました。

師である麻林城老師に八卦掌の指導を受けていた公園です。

自分の怪我や、師のニューヨーク移住が重なって、2年も時間が止まってしまっています。

もうこの街には師もいませんし、特別な用事がない限り二度と来ることもないだろう思っていました。

【現地の様子の動画】

(もしお時間がありましたらご覧ください。屋外では大きな声で日本語を話せないので音声が不明瞭です。そしていつものように落ちがありませんが、私の拙い写真と文章だけでは伝え切れない雰囲気を感じていただければと思います)

師がニューヨークに渡られた同時期に、私は大怪我(頚椎脱臼骨折)をして手術を受けたのですが、その後に状況が二転三転してしまい、なかなか修行を再スタートすることができなかったのです。

私の怪我は完治しません。

第四と第五の頚椎を自家骨(自分の骨盤を削った骨・腸骨)で固定したので、二度と元には戻りません。

そして、固定した下の椎間板に常に負荷がかかるので、いつ椎間板ヘルニアを発症するかわかりません。

現在は軽度の後遺症はあれども、神経症状は無く元どおり動けるまでに回復しましたが、今後、へルニアを発症して悪化したら、更に手術をしてもう一つ頚椎を固定することになり、そうなったら今度こそ本当に自分の夢は諦めなければなりません。

そのことが苦しくて、なかなか本格的な再スタートを切れなかったのです。

加えて、昨年は私の力不足から会の方針が二転三転し、そのことで体調が悪化し、半年間の休会を強いられることにもなりました。

怪我は八卦掌が原因ではありません。

むしろ、八卦掌があったからこそ、心がダメにならずに済んで、そして太極拳があったからこそ、ここまで体が回復したのだと思います。

今回の訪中は、自分を見つめる修行です。

大好きな北京の街を歩き、八卦掌創始者の董海川祖師のお墓参りをして、少しずつ心が動き始めました。

そして今日、時間の止まった場所に行って、はっきりと自覚することができました。

大切な場所なのに、私は苦しくて通り過ぎようとしました。

時間の止まった場所
(師に最後に八卦掌を指導していただいた場所。そして帰国寸前に取材を受けたNHK BS番組 ファーストジャパニーズのラストカットの場所)

はたと気づいて、振り返って戻り、ベンチに座ると、挫折感よりも違和感の方がはるかに大きいことに気づきました。

私は何をやっているのだろう?

はるばるこんなところまでやってきて、未練たらしく思い出の中を流離って、悲しい悲しいと涙を流して、まるで恋人に捨てられたみたいです。

いや、恋人ではなく、片想いの人に告白もせず振られたと思い込んで落ち込んでいるようなものです。

今回、北京に来て情けない自分を露呈してばかりですが、やっと心が動き始めて、本当に来て良かったです。

好きだからこそ、他に代わりはないからこそ、失う恐怖から逃げようとするのかもしれません。

見つかるはずのない怪我の原因を延々と探したり、もう目指せないかもしれない理由を一から百まで探し続けるのは、唯一無二の目標を失う恐怖から逃げたいからだと思います。

自分でもどこかで分かってはいたのですが、その恐怖は本能的に逃避しようとするくらい大きいので、なかなか克服できませんでした。

「中国に来ても何も変わらなかったどうしよう...」と不安になり、出発前はジダバタしていましたが、本当に来て良かったです。

「迷ったら、行動!」

「体で考えよう!」

です。

この日は、氷点下の公園を歩いて、そしてお気に入りの軽食チェーン店で大好物の肉醤麺を食べました。

大好物の醤肉麺

食べるたびに魅惑的な香辛料の香りでいつも元気が出るので、いよいよ八角料理にも挑戦しようと思い立ち、市場でたくさん買いました。

八角

過去には何もない。

そこにはなにもない。

失ったと思い込んでいるものは、過去にはない。

欲するものは、未来にしかない!

昨年から授業を始めたヴェーダーンタ哲学の中の、ヴィヴェーカーナンダの言葉を思い出しました。

「立ち上がれ! 目覚めよ! ゴールに達するまで立ち止まるな!」

「Arise! Awake! And stop not till the goal is reached!」

「站起来! 醒过来! 直到你到达目标不要停止!」

過去に戻ってもダメだ、八卦掌の歩法が楽しくて楽しくて仕方なかった頃を思い出してもいい、でもその続きは未来にしかないんだ。

そう心から思えて、久々に軽やかな心と体で練習することができました。

続く...

● 八卦掌・太極拳 ~教室のご案内~
● 横山春光 ~中国留学記~ (お読みいただければ幸いです)

この記事を書いたプロ

日本中国伝統功夫研究会 [ホームページ]

スポーツインストラクター 横山春光

東京都港区赤坂3-9-1 紀陽ビル5F [地図]
TEL:080-9172-1248

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

12

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
受講生からの声

地震の影響で各駅のエスカレーターが止まっているので、最近は階段を使うようになったのですが、太極拳を始めてから一年・・・気がつけば、階段を上っても息が切れな...

各クラスの紹介
国分寺・伝統八卦掌 基礎/継承班

★公式HP「国分寺・伝統八卦掌 基礎/継承班」のご案内はこちら!【段階制班の特徴】  日曜午後の国分寺スタジオで【基礎訓練班】と【継承班】の二つの段階に取...

プロへのみんなの声

全ての評価・評判を見る>>

 
このプロの紹介記事
太極拳指導家の横山春光さん

心身を養い、一緒に鍛錬していきましょう!(1/3)

 「太極拳」、「功夫(カンフー)」といえば、公園で行っている健康体操、若しくは気で人を飛ばす、といったイメージがあります。しかし、6年間本場中国で修業を積んできた横山さんを知れば、本当の太極拳の素晴らしさを知る事ができます。 「私たちの...

横山春光プロに相談してみよう!

朝日新聞 マイベストプロ

指導力の幅広さ

会社名 : 日本中国伝統功夫研究会
住所 : 東京都港区赤坂3-9-1 紀陽ビル5F [地図]
TEL : 080-9172-1248

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

080-9172-1248

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

横山春光(よこやましゅんこう)

日本中国伝統功夫研究会

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
このプロへのみんなの声

八卦掌を習いはじめてから、一度もこけたり、ケガをしたりしていません。

運動不足だったので、体を動かしたいと思っていたときに、横...

S・A
  • 20代/女性 
  • 参考になった数(6

このプロへの声をもっと見る

プロのおすすめコラム
新木場・中国伝統武器精鋭コース
イメージ

4月16日(土)に、新木場にある東京スポーツ文化館にて、『中国伝統武器精鋭コース』をスタートしました。★...

[ 器械・武器法 ]

新しい季節 ~怪我を克服するということ~
イメージ

実は2週間ほど前に、大変嬉しい出来事がありました。あまりに嬉しいので、新規開講したばかりの「赤坂見附・伝...

[ 怪我と克服(実話) ]

調子の悪い時の練習が、上達の瞬間を生む
イメージ

八卦掌に休みの日はありません。通常のスポーツでは、効果的に休みの日を作ることがレベルアップに必要なこと...

[ 八卦掌を学ぶ秘訣 ]

太極拳女性専用クラス ~中国工芸茶のひととき~
イメージ

現在、私の自宅の部屋では中国工芸茶の「Venus」が水中花となって佇んでいます。ほんのり甘くて美味しいお茶...

[ 活動ニュース ]

八卦掌の【段階制クラス】がスタートします!
イメージ

今月の2月28日(日)より、当会で開催していた「国分寺・伝統八卦掌クラス」が、レベルアップを目指した段階制クラス...

[ 活動ニュース ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ