コラム

 公開日: 2013-11-11  最終更新日: 2015-11-26

文化という共通価値観

先日、当会で第三回目となる八卦掌と太極拳の指導員試験を実施しました。

当会で指導を行う為の資格試験ですが、指導員規則の冒頭に、私はこう書き記しています。

【日本中国伝統功夫研究会 指導員規則】
 本会は、中国の歴史が生んだ人類の智慧の結晶である「武文化」を学び、これを日本に伝えることを目的とし、会員の豊かな人間性と創造性を育み、個々の人格の完成を目指すことを願うものである。
 本会指導員は、この理想を実現するため、日々たゆまぬ鍛錬を重ね、徳を重んじ、慈愛の心を持ち、己の弱さに打ち克つ屈強な精神を求め、会の目的を体現し、会員の手本となることを心がける。

この理念を読み、声を上げ、指導員試験に臨んでいる当会の指導員を、私は尊敬し、共に学ぶ者として誇りに思っています。

実技と筆記を行う試験ですが、筆記試験の論文を読んでいると各受験生の様々な思いが伝わってきて、深く考えさせられました。

人は、思いを原動力に生きているからです。

私は幼い頃から周囲の人々に、「極端な考え方をしている」と言われ、寂しい思いをしました。

特殊な子供時代を過ごしたからなのか、それとも自分自身の問題なのか、どちらか解かりませんでしたが、周囲の人と共感できない、というのは非常に寂しいものです。

親も、兄弟も、先生も、同級生も、誰とも共感できない、そんな子供時代は、生きる希望すら失っていました。

共感したい、普通に話をして、笑ったり、泣いたり、感動したり、そういうことがしたい、と渇望したものです。

社会人になり、自由に自分の行き場所が探せるようになると、私のこの共感できる人を求める気持ちはどんどん強くなり、あまりに強くなり過ぎたため、逆に対人恐怖症になってしまいました。

では、何を共感したかったのかというと、こんな話をすると悲観的に聞こえるかもしれませんが、命には限りがあるということです。

どんなに今日が輝いていても、どんなに深く愛する人にめぐり合えても、どんなに立派な人になれたとしても、人は老い、病になり、最後は死んでしまいます。

そう思うと、とても暗い気持ちになります。

だから回答を求めました。

死ぬと解かっていても生きていく意味です。

暗い心を照らす光です。

光を求めながら、苦しんで苦しんで、苦しみぬいて、追い詰められた挙句に不眠症とアルコール依存症で死にかけましたが、それでも苦悩の先には光がありました。

振動とも呼べます。

人と共感したい、共感したい、と願って生きていたら、とうとう自然界と共鳴することができました。

命というものが本来持っている力、若しくは愛と呼ばれるものかもしれません、とにかく根源的な何かを直接的に体験することができました。

その感覚は数ヶ月で消えてしまいましたが、それは本物であると直感したので、その時から太極拳を学ぶことにしました。

現在の師は、太極拳ではなく太極拳と共通点の多い伝統八卦掌の師ですが、28歳から6年間かけて中国で探し求めた師であり、あのときの振動を中国武術という修練法を用いて教え導いてくださる師です。

師に八卦掌の教えを頂く
[写真は2009年留学当時]

極端な考え方と言われ続けた私ですが、しかしそれにも観念し、もう、これが私ですと思うようになりました。

今では、

「極端と言ったって、たかだか人間の脳で考える程度のことだから、大いなる自然界に比べたら普通だ」

と思えるようになりました。

思いとは、目には見えませんが、生きる原動力です。

私が太極拳に出会い、学ばせて頂いたことのなかで、多くの人達と思いを交わすのに役立ってくれたものが、文化という共通価値観です。

実は今まで頭でしか解かっていませんでしたが、指導員試験の論文を読んで強く意識できました。

共通言語がないと意思の疎通ができないように、共通文化がないと人と人とが長期に渡り交流を深めるのは難しくなります。

「ああ、私達は、八卦掌や太極拳を通じ、中国文化という共通の価値観の中で出会い、交流しているのだな」

と思いました。

文化とは、人々の思いの集大成ではないでしょうか?

多くの人々が共感できる共通の価値観。

慣れ親しみ過ぎて、普段は空気の様な存在である文化という価値観。

そうか、これはとても大切なことを学ばせてもらった。

是非この偉大な文化をフィールドとし、素晴らしい中国武術の精神を学びあってゆこう。

そう思いました。

● 八卦掌・太極拳 ~教室のご案内~
● 横山春光 ~中国留学記~ (お読みいただければ幸いです)

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