コラム

 公開日: 2013-07-18  最終更新日: 2014-07-31

太極拳を正しく学ぶための心得

何かを学ぶには、まず理を明らかにしなければなりません。

太極拳もまた然りです。

現代社会における「太極拳」のイメージは、本来の武術というイメージからは少し離れ、その健康面だけが特に注目されています。

これは、太極拳の拳理と、その系統的な鍛錬方法の完成度の高さが私達に与えてくれる、素晴らしい恩恵だと言えるでしょう。

しかし、太極拳は、「太極“拳”」です。

つまり、「太極“体操”」ではありません。

れっきとした武術です。

実は、私もこのことが受け入れられず、大変苦労しました。

太極拳の発祥地で、本場の太極拳館に留学していたのに、それでも武術性が受け入れられませんでした。

それはもう、悩み苦しんだものです。

太極拳を正しく理解する

一時期は、「私は女で、しかも幼い頃から体が弱かったから武術なんて向いていない」、と限界を感じ、中国のヨガ・センターに通いつめていたこともあります。

それでもやはり太極拳が諦めきれず舞い戻ったのですが、一般の太極拳の授業では満足できず、もっと深く学べる老師を探して教えを乞おうと思ったのですが、やはり武術性という受け入れ難いハードルにぶつかり、断念していました。

誠に自分勝手な話です。

何かを本気で学ぼうと思ったら、選り好みしては学べません。

それは、中国に太極拳留学した初期の頃から老師に注意されていました。

--

「太極拳を学びたいなら、まず中国語を習得しなさい」

「そして、中国人を理解しなさい」

「更には、中国という国、習慣、思想、歴史、この全てを理解しなければならない」

「それができなければ、真髄どころか、肉も学べない」

「つまり、『皮毛都学不会』、体毛一本、皮一枚も習得することはできない、ということだ」

--

です。

大変厳しいお言葉でしたが、この厳しい言葉があったからこそ、私は心を裸にして太極拳を学ぼうという決心がつきました。

それでも、どうしても受け入れられなかったのが、この太極拳の「武術性」です。

この武術性を言葉で説明すると大きな誤解を招きやすいので、ここでは語りませんが、私の実体験として、以下のことが挙げられます。

(一)形だけを真似する太極拳では、体を壊してしまった。

(二)真の健康を求めようとしたが、誘惑に負ける自堕落な自分のせいで中途半端に終わってしまった。

(三)上達すればするほど、太極拳が解からなくなって、どんどん自信がなくなり、空虚な心になってしまった。

上記の三点が、最も苦しかった点です。

これは、武道という本道を歩んでいなかった私の心構えの結果です。

もう一度述べますが、太極拳は武術です。

相手を想定し、己の弱さに打ち勝つ術です。

そして、最終境地を「不殺」、つまり「天人合一」とし、自然と共に“生きる”という、私達にとって身近な人生観と繋がります。

もう少し解かりやすい言葉で表現すると、

「生死解決」

ということです。

私達が生きていく為には、命を食べなければなりません。

誰も死にたくはありません、殺したくはありません、しかし食べたり、食べられたりしなければ、命は存在できません。

生と死は一体であり、陰と陽、表と裏、です。

そして、循環の中で一つになります。

武術性、たたかう、ということも、命の真の姿の一面であると知ることができます。

これを理解できれば、おのずと「謙虚な心」と、「敬いの心」が生じてきます。

それは、命というものに対しての「畏敬の念」です。

「先人が遺してくれた素晴らしい心身の鍛錬方法を、真摯に学ばせていただく」

この心構えが、太極拳の習得にあたっての一番大切なことになります。

武術性が受け入れられなくても構いません。

ただ、「この健康効果は、命を懸けて武道という道を歩まれた多くの先人が遺してくれた、真の鍛練方法の恩恵である」ということを知る必要はあります。

ちょっと難しいお話でしたが、もし将来、太極拳を学ぶにあたって壁にぶつかった時、このことを思い出してみると、せっかく積んできた練習を無駄にせず、次の段階に進める糸口が見つけられるかもしれません。

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