コラム

 公開日: 2013-05-27  最終更新日: 2014-07-31

初夏訪中修行(十八)

5月26日、訪中修行10日目。

この日も早朝4時半に公園に向かいました。



師がお越しくださるまで、八卦掌の基本功を行い、体を温めて待ちます。

以前はずっと学生の身分だったので学ぶ者の苦労しかわからず、師に対して「もっとこうして欲しい、ああして欲しい」という要求が心の中に浮かんでいたのですが、中国留学を終え日本に帰国し、会を立ち上げ八卦掌と太極拳の指導をさせていただくようになり、指導する者の苦労がわかるようになりました。

学ぶ苦労、教える苦労。

両方の苦労が解かるようになって、随分と視野が広がりました。

しかし、最近になって軽いスランプ症状が出ていました。

いつもではありませんが、練功に集中できない時間が増えていたのです。

師にお会いすれば治るだろうと思っていたのですが、教えを受けている最中にも雑念が湧いてきて驚きました。

そうなると、よい意味での緊張もできません。

こんなことは、今まで一度もありませんでした。

師は私の動きを2秒ほど見ただけで状態を解ることができるので、誤魔化すことはできません。集中できなくても素直に一生懸命頑張るしかありません。

師に申し訳ないという気持ちで練功を終え、公園の出口まで付き添わせていただくと、師は私に向かって、

「よいか、心を静めなさい」

とおっしゃって帰って行かれました。

解ってはいるのですが、どうやって静めたらよいのかが解かりません。

朝ごはんを食べながらも、ずっと考えていました。

■温かいお豆腐に餡のかかった『豆腐脳』
豆腐脳

午後の自主練功でも、なぜか心が集中できません。

中国まで来て集中できない事態に驚愕し、狼狽しました。



無理やり没頭しようとするのですが、心と体がバラバラなので、不協和音のような苦痛が襲ってきます。

あまりの苦痛にとうとう我慢できなくなり、練功を放棄してベンチに座り込んで、文字通り頭を抱えました。

あれやこれやと逃げ道を考え、そして一つずつ検証し、否定し、とうとう行き詰ってしまいました。

「ダメだ…、どうしても気分が乗らない」

「スケジュールも、練功内容も、なにも間違ってはいないはずなのに、なぜだ?」

私は苦し紛れに、心に向かって詰問しました。

「じゃあ、何がやりたいのだ? 人生の時間は貴重なんだ、気分転換でもなんでもいいから、自分が本当に納得できることを感じろ!」

「……」

「……」

「……」

結局、出てきた答えは、「八卦掌を習得して、自由自在に動きたい」ということでした。

自分でも、あきれます。

ほかにバリエーションはないのか? というほど一途です。

しかし私は次の瞬間、ガバッと立ちあがり、「あー! ダメだ、ダメだダメだダメだ! なんて私はダメなんだ!」と独り言を叫びながら、必死に練功を再開しました。

ダメなときは、ダメです。

「ダメでもいいや、ダメでも好きだから精進する!」

そして、ひとしきり汗を流すと、お腹が空いたのでケンタッキーに行ってチキンを食べました。

美味しくて涙が出ました。

帰り道に、真っ暗になった公園で羽蹴りをしている人たちを眺めました。

とても楽しそうです。

中国の羽蹴り

おまけに、もの凄く上手です。

中国の羽蹴り

その楽しそうな姿を、ぼーっと眺めながら、ふっと気がつきました。

「あっ、私はただ焦っているだけだ」

完璧にはできませんが、いつも自分の全力を尽くしています。しかし全力をつくしても時間のかかるものもあります。

「功夫とは、水滴が長い年月をかけて岩を貫くように積んでいくものである。決してドリルで強引に穴をあけるようなものではない」

これを私たち習武の者がよく陥る状態に当てはめると、「意念過度になるな」と云うことです。

もっと簡単に云うと、「考え過ぎてはダメだ」となります。

難しいことです。

考えなくてもダメ、考え過ぎてもダメ。

精進しなくてもダメ、精進し過ぎてもダメ。

文字にすると簡単ですが、本当に頭と体と魂で解かるには、挫折が必要なのだと思いました。

この瞬間、1ヵ月以上続いていたスランプから脱出したような気がしました。

つづく

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