コラム

 公開日: 2012-01-12  最終更新日: 2015-11-26

北京修行 ~獅子の子落とし編~

2011年12月27日、北京修行第4日目。



いつものように公園に住んでいる猫たちを横目に練習場所に向かいその日の練習内容に取り組んでいると、

突然、老師に叱られました。

「適当に流すような練習をするな!」

私は勿論適当に行っているつもりはなかったのですが、今まで両足の幅を大きく開かない高い姿勢で練習していた動きを、突然「“太もも水平”で行うように」と要求が数段階上がったのです。

面食らって目をパチパチしながら、それでも一生懸命自分の脚に鞭打って老師の要求される動きを行っていると、老師は私の動きを10分ほどご覧になって、

「その姿勢で一日に同じ動きを1000回練習しなければならない」

「今日は30回、しばらく休んで数日後にまた数十回、そんなペースでは一年にどれだけの誤差がでると思っているんだ」

そう厳しい口調で仰られると、「しっかり練習するように」と、叱られてうなだれている私に釘を打って帰ってしまわれました。

私は、いきなり要求が数段階上がったことに、心底戸惑いました。

“太ももが地面と水平になるくらいの姿勢”は問題ないのですがその姿勢で1000回は、脚力が持ったとしても、ヒザが持たない・・・

それは、私の想像を絶する要求だったのです。

明らかに無理だと思いました。

老師は遠回しに「もう諦めなさい」ということが仰りたいのだろうか・・・

どう考えても、自分には出来そうにないと思いました。

それから三日間、老師からの連絡は一切なく、私は一人で練習をしなければなりませんでした。

あまりの不安に、老師に八卦掌を学び始めてから、初めて諦めようかとも思いました。

しかし、他にやることがないので、悩みながらも朝3時間、午後3時間の練習はきちんと続けました。



旅館から公園までの道の途中にいつもいるワンちゃんに、多少は癒されましたが、気分は最悪でした。

練習を終え、旅館で夜テレビをボーっと観ていると、停電になりました。

もう本当にどん底の真っ暗な気分になって、感情が麻痺してきました。

翌朝、重い心を引きずって公園に練習に行くと、雪が降ってきました。

さすがに辛くて涙が出ました。

でも、そこで練習を止めたら、もっと辛い心境になることは分かりきっていたので、ボロボロ涙を流しながら、それでも練習は止めませんでした。

(どうしてこんなに辛いことをやっているんだろう・・・)

もう自分でも初心を思い出せなくなりましたが、泣きながら足を踏ん張って練習しました。

最後は、(もういいや、なるようにしかならない、老師に見放されても、それでも今日は今日の練習をしよう!自分の練習をするんだ!)

そう思って、何度も何度も老師に言われた動きを限界まで練習しました。

12月31日、やっと老師から連絡をいただき、公園で三日間の特訓の成果を見ていただくと、「この三日間の上達ぶりはなんだ!日本でも同じように励まなければだめだ」と言われ、「はい!今回は本当にわかりました!」と返事をすると、今まで取り組んでいた動きを、さらに高い段階に変化してくださいました。

その動きは、本当に、本当に、魂にまで響くような感動を覚えました。

勿論、動きそのものが持つ素晴らしさもありますが、その動きに辿り着くまでの、汗と涙がなければ、こんなに魂が鳴り響くことはなかっただろうと思います。

しかし、一番感謝の気持ちが湧いてきたのは、自分自身の壁を乗り越え、人間として成長させてくださった、老師の厳しさです。

『獅子の子落とし』という言葉がありますが、「1000回」という崖に突き落としてくださった老師は、本当に深い恩情のある方だと思いました。

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