コラム

 公開日: 2015-01-14  最終更新日: 2015-02-12

Q.業績が悪化したら役員報酬は減額していい?

Q.当社(3月決算)は業績が非常に悪化し、本年9月、銀行から全役員の役員報酬の臨時減額を要請され、役員報酬を減額改定しました。
この改定は、事業年度開始日から3月超経過していますので、改定後の役員給与は定期同額給与に該当しないのでしょうか?


A.経営上、業績悪化などの事由により、どうしても役員報酬の増減を図らざるを得ない場合があります。
この点を踏まえ、事業年度開始日から3月超の改定であっても、臨時改定事由と業績悪化改定事由に該当するものであれば、有効な改定として認められます。
これらの事由に基づく改定であれば、改定前に支給されている役員給与が同額であり、かつ改定後に支給される役員給与も同額であれば、定期同額給与として役員給与を損金の額に算入することができます。


<解説>
原則として役員給与の改定は、事業年度開始日から3月以内に、定時株主総会等を経て行う必要があります。

しかし、ご質問にあるように、後日生じた特殊事情によって、役員給与を改定せざるを得ない事情が生じることもあります。

このような事情が生じた場合にも役員給与の改定ができないとなれば、経営上大きな問題が生じますので、法人税法上は、下記の事由に基づく役員給与の改定であれば、事業年度開始日から3月を超えてなされたとしても認める、というスタンスを取っています。

① 臨時改定事由
臨時改定事由とは、役員の職制上の地位の変更、役員の職務の重大な変更など、役員給与を改定せざるを得ないやむを得ない特殊事情を言います。

具体例としては、役員の病気入院等により当初予定していた職務の執行ができないことになった場合などが挙げられています。
いずれにしても、「事業年度開始の日から3月までにされた定期給与の額の改定時には予測しがたい偶発的な事情等による定期給与の額の改定で、利益調整の意図があるとはいえない」ものが、この臨時改定事由に該当するとされています。

② 業績悪化改定事由
業績悪化改定事由とは、法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類するやむを得ない特殊事情を言います。

具体例としては、経営悪化に伴い、株主からの要請に基づくなどして、株主との関係上経営責任を取るために役員給与を減額せざるを得ないような場合や、取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与を減額せざるを得ない場合などが挙げられています。

業績悪化改定事由は、「会社の経営上、役員給与を減額せざるを得ない客観的な事情があるかどうかにより判定」することとされているところ、役員給与を減額しなければ企業経営に重大な影響を与える事情が本当に存在するかが重要になります。

この点、法人の一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないとされていますので、注意してください。

その他、業績悪化による改定ですから、業績悪化改定事由に基づく改定は、役員給与を減額する改定である必要があります。

①にしても②にしても、これらの事由に基づく改定が認められるためには、「改定せざるを得ない客観的なやむを得ない理由」が必要とされています。

これらの改定事由はあくまでも例外であるところ、安易な適用は認められないからです。

もちろん、税務調査では厳しいチェックがなされますので、慎重にその適用を判断しなければなりません。

なお、これらの改定事由により役員給与の改定がなされた場合には、改定前に支給されている役員給与が同額であり、かつ改定後に支給される役員給与も同額であれば、定期同額給与として役員給与を損金の額に算入することができます。


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