コラム

 公開日: 2014-12-02  最終更新日: 2014-12-08

Q.損金となる役員給与の具体的な範囲について

Q.損金となる役員給与の具体的な範囲について教えてください。

A.原則として、損金に算入される役員給与は、①定期同額給与、②事前確定届出給与、③利益連動給与の3つとされています。
加えて、これらに該当したとしても、不相当に高額な役員給与や不正経理に基づき支出した役員給与は損金になりません。

<解説>
法人税では、役員退職給与及び使用人兼務役員の使用人分給与を除き、下記のいずれかに該当しない役員給与は、損金となりません。

① 定期同額給与
「役員報酬は毎月同額でなければいけない。」といった話を耳にしたことがある方も多いと思いますが、このような話はこの定期同額給与から来ています。

役員給与のうち、毎月支給される役員報酬は、基本的にはこの定期同額給与にのっとり、同額である必要があります。
正確には、役員報酬の改定の関係があり、同一事業年度内の各月において、必ず同額でなければ定期同額給与に該当しないわけではありませんが、「基本的に役員給与は毎月同額でなければ損金にならない」という考え方でルールは作られています。

② 事前確定届出給与
事前確定届出給与とは、役員賞与を支出する場合などに使われるものです。賞与は毎月出すものではありませんから、①の定期同額給与に当たらず、原則損金にはならないとされていますが、その例外としてこの制度が認められています。
例えば、H26 年7 月25 日に役員賞与を200 万円支給する予定であれば、所定の期日までに「H26 年7 月25 年に、200 万円を支出する」という届出をあらかじめ税務署に行い、その通りに支給をすれば、この役員賞与は損金に算入されます。

つまり、支給時期や支給額を、あらかじめ税務署に届け出た上で、その通りに支給した場合に認められるのがこの事前確定届出給与なのです。

「あらかじめ届け出る」という要件と、「届出通りに支給する」という要件が重要です。

このため、届出書の提出期限後に、「利益が余ったから賞与を支出する」といった安易な節税やお手盛りのために、事前確定届出給与を活用することはできません。

③ 利益連動給与
役員の会社への貢献を明確化したり、インセンティブを高めたりすることを目的として、平成18 年からスタートした会社法により、自社の業績に連動した役員給与の支給が認められました。
この会社法の取扱いを受けて、税制上認められるようになったのが、利益連動給与です。
利益連動給与とは、同族会社に該当しない法人に対してのみ認められているもので、取締役等に対して支給する自社の業績に連動した給与のうち、下記の要件を満たす給与をいいます。

~利益連動給与の要件~

1.支給法人・・・同族会社でないこと
2.算定方法・・・利益指標などを基礎とし、かつ所定の方法で決定等される客観的なものであること
3.支払時期・・・利益指標等が確定した後1月以内に支払われ、又は支払われる見込みであること
4.経理方法・・・決算において費用又は損失として経理(「損金経理」といいます。)をしていること

このように、利益連動給与の損金算入が認められる要件は非常に厳しいため、上場企業のように、コンプライアンスの水準が高い会社でなければ、損金となる利益連動給与を支給することは、現実問題としては難しいと言われています。
加えて、日本の中小企業のほとんどは、家族経営である同族会社ですので、実務上この利益連動給与を目にすることは多くはありません。

その他、上記、①~③に該当する役員給与や、役員退職給与等であっても、以下の④及び⑤に該当する役員給与は、損金に算入されないとされています。

④ 不相当に高額な役員給与の金額
役員のお手盛り防止という観点から、同業他社の役員給与の水準などに照らし、所定の方法で計算される適正額を超える役員給与については、「不相当に高額な役員給与」として損金とならない、とされています。

⑤ 不正に経理して支出した給与
「事実を隠ぺいし、又は仮装して経理をすることにより」支出した役員給与は、損金とならないとされています。

以上、役員給与は事業活動に必要不可欠なものであるにもかかわらず税制上は厳格な経費制限を設けています。

この点、経営者の感覚と役員給与税制は相違が大きいところです。


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