コラム

 公開日: 2015-01-18 

平櫛田中-4

【玉川上水と田中】
日本近代彫刻界の巨匠である平櫛田中が玉川上水の近くに居を移したのは99歳の時。

その時のことを、孫の弘子さんが彫刻美術館のホームページで書いている。
http://denchu-museum.jp/goaisatsu
祖父、平櫛田中が一橋学園に家を新築し、移り住んだのは昭和45年6月、99歳の時でした。この地は、昭和10年ごろに祖母と将来の隠居場として求めたもので、二人は玉川上水の風景が特に気に入ったようです。その後祖母が亡くなりましたが、建築家大江宏先生と出会って、その流れるようなこう配の屋根を愛し、作品の厨子(ずし)などを依頼するようになり、さらに自宅の設計・建築もお願いし、昭和44年の正月明けに完成、竣工式を行いました。祖父が98歳で、九十八叟院(きゅうじゅうはちそういん – 叟は翁の意)と自ら名付け、以来10年間、亡くなるまで武蔵野の面影の残るこの地で暮らすこととなったのです。
「この家は岡倉天心先生か横山大観でなければ住みこなせない。わたしにはちょっと無理だな」とも言っていましたが、祖父は九十八叟院のデザインをとても気に入っていました。朝、庭を歩き回り草木の成長を眺め、年相応に楽しんでいるようでした。庭の木や花を愛で、好きな書を書き、孫やひ孫に会うのを楽しみに静かな毎日を送りました。
その九十八叟院が現在の記念館です。祖父の亡くなった後、作品と記念館・庭園を通して、明治大正昭和を彫刻一筋に歩んできた、祖父の芸術と人となりに触れていただこうと、作品や蒐集した美術工芸品、建物などを小平市に寄贈し、彫刻美術館としてふさわしい展示館も併設していただいて、早いものでもう25年を越えることができました。
これまで、多くの方々の熱意とご協力の支えがあってのことと深く感謝しています。
今後も、数少ない近代彫刻の美術館としての充実を図り、また、大勢の皆さまに「安らぎ」と「学び」の場を提供し、少しでもこの困難な時代を生き抜いていく糧となるよう努力してまいりたいと思います。
館長 平櫛 弘子(平櫛田中の孫)

【玉川上水】
玉川兄弟が開発したことで有名で、樋口清之氏が著書『梅干しと日本刀』で次のように書いている。
玉川上水――驚くべき漏水止めの知恵
つい最近まで、東京都民に水を供給していた玉川上水は、全長が43キロある。この長い道のりを、取り入れ口である西多摩郡羽村町から新宿区四谷大木戸まで、高低差100メートルで同じ流速で水を流していた。
玉川上水は、江戸市民の飲料用水、および武蔵野の新田開発を目的として、徳川四代将軍家綱の時代に完成した。上水を開くことを命ぜられたのは、武蔵野の農民庄右衛門、清右衛門の兄弟である。工事は1653年4月に着工され、同年11月、四谷大木戸まで掘削、54年6月に完成した。その間、府中と福生で失敗したが、川越城主松平伊豆守信綱の家臣安松金右衛門の援助を受け、第3回目に成功した。
羽村の堰を切ったその日、水は43キロ下流の四谷大木戸まで、1日で流れ着いたという。そしてそれ以後300年間、淀橋浄水場の完成まで、上水の水は、多摩六千町歩の水田をうるおし、江戸・東京の100万市民に飲料水を供給しつづけたのである。
この驚くべき測量技術は、何によってもたらされたのであろうか。私はそこに、日本人の優れた自然観察眼を見る。玉川上水の精巧をきわめた測量技術は、古代からの稲作農耕によってもたらされた、水平面に対する知恵の結実である。
43キロに及ぶ運河を開発した。そのことだけでも十分に注目に値するが、同時に、その日のうちに流れ着いた、ということも考えてみたい。当時、コンクリートなどあるはずがない。彼らは土に染み込んでゆく水をどう止めたのであろうか。どういった漏水止めをしたのであろうか。
三和土(たたき)という土がある。これは、粘土、砂利、塩のにがり(塩化マグネシウム)を混和したもので、凝固して漆喰状になる。この三和土が、コンクリートで固めたのと同じ役割を果たしたのである。ついでながら、玉川上水の支流に野火止用水があるが、この用水は玉川上水より短いにもかかわらず、下流まで流れるのに3年もかかっている。三和土で漏水止めをしなかったためで、水捌けのよい関東ローム層が水を吸い取り、土が飽和点に達するまで、水を流さなかったのである。



玉川上水関連のページ
ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E5%B7%9D%E4%B8%8A%E6%B0%B4
玉川上水散策地図:http://homepage3.nifty.com/kousukekimura/tamagawajousui/
東京都公園協会「玉川上水緑道」:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index060.html

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