ベンチャー企業の株式上場(IPO)を得意とする税理士
コラム
公開日: 2015-11-24
ベンチャー株式の譲渡益、上場株式譲渡損との損益通算は年内まで
上場準備に入ったベンチャー企業ではIPO時の資金調達だけでなく株の保有をめぐってたとえば以下のような検討を行います。
・創業社長がどの程度の持株割合を維持していくか。
・IPO時にどれくらいのキャピタルゲインを得るか。
・取引先などに安定株主として株式をもってもらう一方で流動性を確保できるか。
こうした一連の計画を「資本政策」を呼び、上場準備を始められた社長でしたら必ず通るステップです。
資本政策の実行過程では、創業社長から自社の役員や取引先、あるいは資産管理会社などに自社株式の譲渡を進めることも少なくありません。このような際に生じるのが「株式の譲渡益」です。
成長過程にあるベンチャー企業の株式ならば、通常は社長が創業時などに出資した際の株価よりその時価は上がっていますから、社長個人に譲渡益、つまり課税所得が生じることになります。
自社株式の株価が上がっていれば、それはそれで嬉しい反面、税金のことになると顔が曇ってしまいますよね。
このようにベンチャー企業のような非上場株式を譲渡して利益を得た一方で、別に保有している上場株式を売却すれば譲渡損が発生するような場合には、譲渡益と譲渡損を相殺できることになっているのですが、この制度は今年いっぱいで廃止になりますのでご注意が必要です。
平成25年度の税制改正で進められた金融所得課税の一体化により、平成28年1月1日以降の譲渡からは上場株式等と非上場株式等の譲渡損益は「損益通算」ができないことになっているのです。
今年、非上場株式を譲渡され所得が生じていて、もし今後株価が持ち直す見込みのない上場株式をお持ちでしたら、このタイミングで思い切って損出しするのもひとつのご判断かもしれませんね。
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