コラム

 公開日: 2018-02-20  最終更新日: 2018-02-21

最近多く行われている補助金交付方法についてのお話~中小企業の経営者のための補助金講座③~

 前回は、霞が関界隈で使われる補助金を巡る言葉の使い方の曖昧さが、関連する経費の使い方に大きな影響を与えていることを紹介しました。
今回は、国補助金の多くがNPO法人などの外部の機関を経由して、一般の会社や事業者、地方公共団などに交付されている点について、その問題点を解説します。
 ここで、あらかじめ断っておきますが、M友学園やPコンピュターの行為はもってのほかであり、その様な事業者の行為を正当化するものではないということを申し上げておきます。

《「出納整理期間」?とは》

 皆さんは国の会計期間は、ご存じだと思います。
 会計期間は、4月1日に始まり、翌年の3月31日の終了することが、財政法という法律で定められています。多くの企業が、これと同じ期間を定めて、予算を組み、決算を行っているので、特に違和感を覚えることはないと思います。
 ただ、民間の取扱との違いは、「出納整理期間」が設けられている点です。
 ざっくり説明しますと、出納精機期間とは、その年度の未収金・未払金の精算をこの期間内で行ない、当該年度の債権債務と現金の収支の時間的ズレを調整するために設けられている期間のことで、4月1日から30日までの1か月間のことをいいます。

《国のお金の使い方と会計期間との関係》
 事業に必要なものを国のお金の使い方と、年度の関係を図-1でザックリしめしました。

事業実施パターンと年度区分


①通常のパターン
  4月の年度開始から予算を使って事業を進めます。国が、物を買ったり、役務の提供を受けたりした場合、対価を相手 方に支払いますが、相手方との関係は、一般の商取引と違いはありません。ただし、それらが年度終了までに履行されて
 いて、その債務の支払いが出納整理期間終了までに完了することが求められます。つまり、買った机は、3月31日までに
 納品され、代金の支払いは4月30日までに完了させて、いわゆる未払金(や未収金)を計上することなく、その年度の決
 算を完結させることになります。

②補助金等の予算執行のパターン
   補助金の場合は、前回に書いたとおり、「交付」という国の一方的な行為ですので、①とはちがい反対給付がないこと
  がこの取引の特徴です。事業の完了を(机の納入のように)はっきりとした形で、確認できませんので事業期間終了(年
  度末日)までの結果を、4月10日までに提出してもらうことで事業の完了を確認したうえで、出納整理期間に支払いを
  完了させることになります。

③現在よくあるケース
   最近よくみられるパターンです。国の業務が複雑化かつ増大してきていることをうけ、補助金の交付事務を外製化す
  るパターンです。これは、交付事務を行う機関を補助金等適正化法上の補助事業者、実際に補助金を受けて事業
  を行う会社などを間接補助事業者と位置付けられます。この場合、補助事業者と国の関係は②と同じですが、間接
  補助事業者とは、補助事業者との間で書類のやり取りや問題の処理を行うことになります。
    国は交付事務を行う補助事業者は②と同じように決めますが、補助事業者では、(法律にない)公募という作業が
   増えています。これは、具体的に事業者を決定する権限や能力が備わっていないため、交付もとである国に採択の
   可否を確認する必要があるためです。その後に、法律に定められた手続きである交付申請・決定へと進んでいきま
   す。また、交付事務を行う補助事業者の事業の完了が②と同じ、年度末となっているので、ほとんどの場合、間接補
   助事業者には、2月末(あるいは1月末)とまでの事業完了を求めています。定めています。自分の書類整理のための
   時間が必要という訳です。

「なるほど・・・」と、至極ごもっともなことが、自然に行われています。

《補助事業の機関が半分に》
  しかし、②と③の事業期間を、比べてみてください。1年は12か月であったはずなのに、事業実施期間が、6~7か月と半
減しています。本来ならば、③の間接補助事業者は、②の補助事業者として1年間をとおして事業が行われていたはずなのです。

《補助金本来の成果に目が向かわない》
 交付事務を外製化するもう一つの問題は、補助金等適正化法に定められている、経費の流用や計画変更について、非常に厳しい取扱が行われることが多くみられることです。この場合の補助事業者は、事業そのものを行うのではなく、間接補助事業者が行う事業の管理ということになるので、きちんと管理することは、当初計画どおりに事業が行われることになってしまい、予算措置の目的である補助効果の良否に目が行かなくなることが往々にしてありがちな事態なのです。
 この流用や計画変更も経費的な側面が表面的にわかり易いので、事務方だけで処理することになり(みんな忙しいので)、結局、よく分からないのでダメということになってしまうのです。

《補助事業期間確保など交付側の工夫が必要》
 図-1の②と③をみると、交付側に必要とされる時間は確保されていますが、その分、間接補助事業者に割り振られる時間が短くなっていることがわかります。
 国の仕事が大変なのはよく分かりますし、外製化の必要も理解できますが、そのことが理由で、事業期間が短くなったり、効率的な運用がされないことで補助事業の目的が達成されなかったりすることは本末転倒といわざるを得ません。
 補助金等適正化法に規定される手続きばかりに注力することで、事業の内容ついてのチェックがなおざりになってしまうと、逆にそこに付け込んだ不正が行われるでしょう。
 そして、これが補助金等適正化法の適用以外の経費(委託費等)までに及んでいるのです。

《多くの事業者は、まじめにやっている》
  しかし、補助金等を活用して、自らの事業を発展させ我が国社会に貢献している企業や法人、研究者の方々がたくさんいらっしゃって、今回の様な事例が起こるたびに、「補助金に群がる人間は、皆悪人」であるかのような風潮になり、法の運用を厳しくすることが「角を矯めて牛を殺す」事態になることを恐れているのです。
 最近、新聞紙上をにぎわしている事件もそんな気がしてなりません。

次回は、図-1の右半分特に③の矢印が、何故点線なのかについて考えてみます。


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