コラム

 公開日: 2017-10-12 

日本のモノづくりは大丈夫なのか

またまた大企業の不正が発覚しました。
こんどは日産自動車、神戸製鋼だそうです。どちらも、我が国というより世界の大企業です。

日産自動車は、完成車の検査を資格のない短期雇用の従業員にやらせていたということですし、神戸製鋼のほうは、製品の強度や寸法などを偽って出荷していたということのようです。
日産自動車は120万台以上のリコールを決め、神戸製鋼の方は、自動車や新幹線、開発中のジェット機に至るまで影響は200社以上になるとか。影響はさらに拡大しそうです。

もう、大企業の不祥事に慣れっこになってしまって「それで?」といった感じになってしまい、あまり驚かないことが、もっと恐ろしいです。

日本のものづくりは、大企業は大丈夫なのか・・・。

一連の出来事を振り返ると、商品が商品として本来の価値を発揮するシーンへの視点と責任観が欠如し、目の前の生産現場の事情(日産はコスト、コベルコは納期)へと近視眼になっていたのではないでしょうか。

ドイツ、フォルクスワーゲンから始まり、我が国の製造業でドミノ倒しのように続いている大企業の不祥事は、皆同じ近視眼現象に見えてきます。

これは、「製造業のシステム自体の問題ではないのか?」ヤメ役人コンサルタントの寝言を聴いていただけますか?

製造業では、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery Time)は、需要の3要素と言いお客様が求める最重要な要素であると、生産管理の教科書にありました。
そこで、製造業では、お客様の求めるQCDを実現するために生産工程を計画的(Plan)に実施(Do)し、統制(Control)すると言うわけです。

トヨタの看板方式や提案・改善は、このPCDのシステムのチャンピオンとなり、QCサークルなどで従業員自らの手による活動で、作業の細かな手順や工具の配置といったところまで効率化が生産工程、工場の隅々まで進みました。

やがて、新興国の追い上げやバブル崩壊、リーマンショックなど経営環境が厳しくなる中、製造業はコスト削減が最重要課題になっていきます。
そこで、最大の固定費である人件費の変動費化、非正規職員化が進んで行くことになり、職場での技術の断絶、モラルの低下が必然的成行きとなってしまったと言わなければなりません。

この結果、製造業では、需要=お客様の求める3要素であったはずのコストが、生産現場のためのものになり、品質もお客さまの手から製造現場のものとなってしまいました。需要のQCDのための生産のPDCが業績のためのPCDとなってしまったのです。

一方、マーケティングの思想は、その価値の重点を製品から顧客、社会そして社会と個人の関係性へと進化させてきています。
市場戦略構築で顧慮すべき要素として製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、販売チャネル(Place)を意味する「マーケティングの4P」という言葉を聞いたことがある方がいらっしゃると思いますが、サービス業では、これに加えて、サービス提供にかかる3つのP、従業員(Personnel)、プロセス(process)、サービス空間(Physical evidence)が重要とされるに至りました。

サービス業では、サービスの価値は顧客の価値認識そのものであり、それはスタッフによりサービスの現場で創り上げられるものですから、スタッフとお客様の相互関係が決定的に重要だからです。

サービス業では、製造業に比べ従業員の雇用環境が必ずしも恵まれているとは言えない、どちらかと言えば中小の企業が多い業界ですが、生き残るために福利厚生やキャリアパス、経営参加などでスタッフのやる気を喚起しようとしています。

これに対し、大企業であるがゆえに、価値認識の焦点がうち向き=近視眼化し、造業では、改善・提案する人(従業員)が存在しなくなっている(非正規化)現実を無視してその結果(コストダウン)だけを求めていくことに力点が移りすぎている実態があるのではないでしょうか?

トヨタシステムが有効なのは、「改善」の結果が素晴らしいからではなく、その「提案」が従業員のプロ意識からもたらされるからでしょう。

トヨタ方式と言って、自分で考える改善を標榜しながら、そのための雇用環境やシステムではなく、作業管理ばかりを指摘するカリスマコンサルタントの方もいるようですが、

「そのことこそが、製造業の今を象徴しているのではないか」と、敢えて言わせてもらいます。

製造業のサービス業化と言われますが、従業員を価値創造者(人)として戦略を立てるのか、コスト(経費)とみて経営をするのかでは自ずと違った結果がもたらされるのではないでしょうか。製品と顧客が作り出す価値創造の場面を理解すべきです。

だからといって、生産管理理論が全てダメと言うつもりは、もちろんありません。
従業員に「考えろ」と言うだけでなく、「経営者も自分で考えましょう」と言っているだけなのです。


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