コラム

 公開日: 2017-08-23 

「籠池夫妻ついに逮捕」で考える補助金の使い方

「籠池夫妻ついに逮捕」と7月末にニュースになりましたが、こんどは、大阪府の補助金の不正受給にかかる詐欺容疑で再逮捕されたと報道が流れました。
7月は国の補助金について、今回は大阪府の補助金、どちらも詐欺罪とのことです。
だまして、補助金をせしめたのですから「詐欺」、当然と言えば当然の成り行きですね。
「俺は、そんな姑息なことはしないし、詐欺なんてもってのほか、あいつと俺は違う。」
その通りです。でも、ちょっと考えてみましょう、本当に関係ないのか。

詐欺罪は、刑法によれば
「1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」(刑法第246条)となっています。

「刑法に関係する罪を犯すのは、とんでもなく悪い奴だから俺には関係ないこと。」
もちろんそうです。
でも、会社を始めるとき、資金に困ったとき、利子を補てんしてもらうとき補助金を使うことありますよね?
「ものづくり補助金」(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)、「持続化補助金」(小規模事業者持続化補助金)、「創業・事業承継補助金」の中小企業庁のものや「雇用調整助成金」など厚生労働省のものなどなど国の予算の30%が補助金等といわれる経費です。

今回の籠池さんも、補助金でしたよね。
この予算の使い方を規定した「補助金適正化法」(補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律)をご存じでしょうか。
この法律にも、籠池夫妻のような(というより、詐欺とまでは言えないような)不正を罰する規定があるのです。

まずは、
第29条  偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  前項の場合において、情を知つて交付又は融通をした者も、また同項と同様とする。

量刑は、5年と刑法よりは軽いですが、罰金百万円も合わせて課せられる可能性もありますし、不正を見逃した方も罰せられる可能性があるのです。(役人が厳しいのも理由がない訳ではないんですね)

罰則規定は次の条文にも、
第30条  第11条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

とあります。第11条は、「目的以外に使ってはいけない」と規定されています(長いので引用はやめておきます)。すなはち、目的以外のものに使っても懲役3年、罰金50万円なのです。

「不正なことなんかする訳はないし、目的以外のことに使うはずないだろう。」
その通りです。普通は考えられませんよね。そんなに悪いことをする人はそう多くはいませんけれども、こんな場合も罪になるのです。

第31条  次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一  第13条第2項の規定による命令に違反した者
二  法令に違反して補助事業等の成果の報告をしなかつた者
三  第23条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

第1号にある第13条の規程は、おおむねこうです。「補助事業者の提出した報告などで交付の決定通りに進んでいない場合には、交付の目的通りに進めるように命令する(第1項)が、その命令通りに進めないときは事業の一時中止を命ずることができる(第2項)」
決めた通りに進んでいないとして中止命令にが出て、それに従わなかった人には罰金を科すということです。
第2号、第3号では、報告書をキチンと出さなかったり補助金の調査に非協力的だったりした場合も罰金ですということを言っているわけで、結構厳しい罰則が用意されているんです。

第29条や30条のような不正や目的外使用については、あまり現実味がないかもしれませんが、第31条は、報告や実地検査に係る部分ですので、どんな会社でも実際に起こり得る事態です。それだけに、日常の業務執行の段階から適正な執行や補助事業の目的を常に考えて取り組むことが重要になってきます。
補助金の申請や交付の段階で、籠池さんのように大胆に振舞える大物?はそう多くはありませんが、事業が終わったときの説明が十分でなかったり、事業の成果と補助目的との関係がうまく説明できなかったりすることは、起こりうることです。罰金とまではいかなくとも、最終的に補助金返還や経費の一部や全部が補助目的にそぐわないとの判定がくだされて、最終的に補助金が下りなくなってしまう(ということは、結局自前ということです)ことも十分にありえるのです。
事業や経費の個々の場面で補助目的や経費の正当性や対外的説明を上手にできることが不可欠です。
そんな補助金を上手に活用するためには、経験やノウハウの必要になってきたりします。

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