コラム

 公開日: 2012-04-01  最終更新日: 2012-05-15

問われる企業の社会的責任-オリンパス、大王製紙事件に思う-

私は中央大学会計人会会長を務めていますが
その中央大学会計人会に寄稿分を紹介させて頂きます。

以下、原文通りに抜粋。
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◆◆◆はじめに

会社経営を巡る事件は、しばしば起こり残念ながら後を絶たない。ライブドア[ホリエモン]に象徴される粉飾決算に起因するペーパー増資事件は、当人の実刑判決により落着に向かいつつあるが、またまた事件が発生している。

オリンパスの投資有価証券の長年にわたる巨額な粉飾決算[有価証券評価損]ー有価証券証券報告書の虚偽記載等で7人逮捕ー大王製紙代表取締役のラスベガスの会社の運転資金流用の巨額ギャンブル事件ー同ーである。

いずれも、メディアで詳細に報道されているので詳述は避けるが、株主、債権者、多くの庶民の怒り、批判を浴びるとともに、公開会社のコンプライアンスについても多大な信用失墜を招いたのは遺憾の極みである。

◆◆◆会社経営の基本理念の欠落

経営者が会社経営において、会社の発展に努め、経営成績を向上させ、業界の上位、シェアーの拡大を目指すのは、当然の責務である。

しかしながら、忘れてはならないのは、会社は、まして公開会社は経営者個人や経営者一族のだけの利益[権力]の拡大、追求のためにあるのではないということを肝に銘じなければならないのである。

今時の事件は、会社の経営者、経営状況や決算書を信頼して投資している多くの株主、債権者に対する不法行為であるばかりでなく、会社のためにまじめに働いてる両社の多くの社員に対する背信行為でもある。

◆◆◆会社経営をマネーゲームしてはならない

資本主義社会は、資本[マネー]が経営資本として活動し、経営の重要部分を占めていることは論を持たない。世界の株式市場に於いても、中東のオイルマネーは動向が市場に大きな影響を及ぼしていることは周知の通りである。

もともと資本主義社会にはマルクスの指摘する如く、生産の無政府性[消費量を超える過剰生産]という制度的欠陥があり、所用の期間に所要の生産調整のための近年では大きな経済混乱が生じているのである。

資本主義、社会主義、共産主義等いろいろな経済構造があるが、主人公はマネーでなく、人間(社員、就労者)でなければならないのである。

◆◆◆商業と道徳は共存しなければいけない

近年、世界的な経営学者であるピーター・F・ドラッカーの「経済至上主義は人を幸せにしない」という至言があるが、正に当を得ている。

ドラッカーが高く評価しているのが、江戸時代の末期から明治初期にかけて日本初の株式会社制度を導入した静岡商法会社設立し、500余の民間企業を育成した渋沢栄一の[論語とソロバン-道徳と経済利益]を基軸とする企業経営に関する基本理念である。

渋沢栄一は、論語の研究者としても著名であり[論語と算盤]、[青渕講義]など多くの著実を残している。
「利によりて行えば恨み多し」-論語-などしばしば引用している。

◆◆◆質実剛健と家族的情味は会社経営の基本理念[社是、社訓]として活用できる。

本学の伝統である[質実剛健と家族的情味]は、会社経営にとっても大切な基本理念としても活用できる素晴らしい旗印である。経営の基本理念が無い会社、基本理念を持たない経営者は、多くの善良な社員、株主、債権者等に許容し難い迷惑、被害を与える可能性があり、経営者失格であり、直ちに退陣すべきである。

◆◆◆むすび

士業[サムライ]も、今時の事件では、厳しい批判にさらされると思われる。株主の集団訴訟等定かでないが、オリンパスでは[監査法人-公認会計士]、大王製紙では[税理士、弁護士]の業務が問われることとなろう。

市場創設の原点に返って、国民の負託に応えるよう税務会計の法理に則り誠心誠意、業務に精励しなければならないと思うのである。

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