コラム

 公開日: 2015-07-24 

資産配分の原則から個人向け国債の保有を考える

投資アドバイザーとして、私が不思議に思っていることに、個人向け国債の販売量が急激な落ち込みがあります。なぜを考えてみました。

投資の原則は資産配分(アセットアロケーション)戦略の立案です。
その際に対象とする資産は、基本的に債券と株式そして不動産で、そのほかにオルタナティブとして貴金属等の商品を加えます。

図は私のmyfundの資産配分です。

150724myfundアセットアロケーション

機関投資家や投資の専門家が、日本株だけ、不動産だけで勝負する選択をすることは別として、一般投資家の方の資産運用は長期投資が基本ですので、短期金融資産、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券の5資産がメインと為ります。
それに、近年では不動産投資としてREITが加わりましたので、国内リートと海外リートの組み合わせで資産配分=アセット・アロケーション戦略を作ります。
先進各国の資産配分戦略の考え方は同じです。

その中で、日本の家計から個人向け国債の保有高が減っています。
下図は財務省のホームページに掲載されている、平成26年3月末時点の個人向け国債残高(ブルー)推移とその他の国債残高推移です。

150724個人向け国債の保有残高平成26年3月末

個人向け国債の残高は平成22年末27.7兆円をピークに平成26年3月末17.7兆円に減っています。この現象は単に利率が悪いからだけでしょうか?

確かに現在の利率は低く、現在財務省のHPに掲載されている個人向け国債の利率は、変動10年(第64回) 0.34%(税引前)、固定5年(第52回) 0.09%(税引前)、固定3年(第62回)0.05%(税引前)です。

利率だけ見れば、購入を逡巡されるのは解りますし、各金融機関に相談された場合には、「個人向け国債の利回りはこんなに低いので、こちらの商品は如何でしょう」と売り手として利益が取れる商品を勧められてしまいます。
資産配分を考えて戦略を立てましょうと言われることは稀です。従ってポートフォリオの中で個人向け国債の必要性を理解することは少ないと思われます。

でも、個人向け国債は元本が保証されている世界でも稀な債券であることを考えますと、プレミアムが付かない商品でも致し方ないのです。
他の債券は金利上昇時に売却すると、損失が出ます(購入時よりも利回りが高くなっている場合)。一方個人向け国債は購入後1年経過すれば、中途換金が可能で、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685国が差し引かれて換金できます。確かに発効後1年間は中途換金できませんが、利子は既に受け取っているので、元本が保証された商品になります。

個人にとっては銀行預金の保証は1銀行1,000万円までという上限があります。一方、個人向け国債にはそれがありません。数千万円でも億単位でも購入できます。「元本保証の商品なのに」です。

10年変動は、半年毎に適用する利率が変わる「変動金利」を採用していますので、インフレの際には利率が上昇します。利率の決め方は基準金利×0.66です。インフレ率には届きませんが、インフレ時の損失を少なくしますから、有利な点です。
物価連動債という商品もありますが、現況、個人の直接購入はできず、また、購入の際に将来のインフレ率相当額が上乗せされた価格での取引になりますので、予測通りであれば儲からない商品に化してしまいます。


そして重要なことは、日本株式と逆相関にある金融資産だという事です。
株式の価格が上がれば、債券の価格は下がります(利回りは上昇)これを逆相関と言います。もし、同じ方向に動くのであれば、正の相関で、その動きが1であれば、全く同じように動く、-1であれば全く逆に動く関係になります、その動く範囲は-1から+1の範囲で表します。
従って株式と債券を保有していると図のような軌跡が描けます。

150724株式と債券保有のイメージ

このようにポートフォリオに必要とされる商品の保有量が低いという事は、資産配分戦略に基づくポートフォリオではなく、金融機関やコミッションを得るFP等が、資産配分の知識の無い方達に売りたいものを売っていて、それを購入する人の多くが資産配分の知識が乏しいことにあるのではと推察しています。

資産運用=投資の原則として、資産配分を決めてから、配分に基づくポートフォリオを組むことを実行ください。そして、売り手の利益は買い手のコスト」であることをご認識ください。

文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨
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http://www.officemyfp.com/komonryouseiadviser.html


『このコラムは、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
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本コラムは、信頼できると判断した情報に基づき筆者が作成していますが、その情報の正確性若しくは信頼性について保証するものではありません。』

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