コラム

 公開日: 2015-07-20 

節税のため(海外)非居住者になるメリットは小さい。

国外に財産を持ち出せば、節税になるとの都会伝説がありますが、著者は企業の事業活動として、海外に本社や地域統括会社を移転することは、事業目標達成からあり得ると考えますが、従前から、個人が節税のために移住することは殆どメリットが無く、デメリットの方が大きいと発言してきましたが、本年もまた資産の補足と課税強化の施策が入っています。

■国外財産調書制度
既に2013年の税制改定により、「国外財産調書制度」が始まっています。
・対象は毎年年末時点で国外財産の総額が5,000万円を超える居住者(≒日本に住所がある方)、
・対象とする財産は相続税法第10条に規定する「国外財産」で価額は「時価」又は見積価額」です。
・提出時期は平成26年1月1日から3月15日で以降毎年提出します。申告所得が無くても、調書は提出ください。
読者の皆様で該当する方は、今年提出されたと思いますが、罰則規定がありますので、まだの方はご自身が居住する地区の税務署にお問合せください。
・罰則は平成27年から適用されています。
・未提出・虚偽報告は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
未提出・申告漏れの国外財産について未申告・過少申告課税が課されている場合は、通常の税率に5%加算されます。

■国外転出税が創出されています。
2015年(平成27年)7月1日から国外転出をする時に、「1億円以上の有価証券等」を所有している場合は、所得税の確定申告等の手続きが必要となります。
・1億円以上の有価証券等を所有等している方が国外に居住者する親族等へ有価証券等の贈与等を行う場合も同様に、所得税の確定申告等の手続きが必要となります。
詳しくは、国税庁ホームページにチラシが掲載されていますのでご一読ください。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/denshi-sonota/kokugai/pdf/01.pdf

■相続人が外国に居住しているときには
そして、平成25年税制では、下図のように被相続人が日本国内に住所がある場合、相続人に日本国籍が無い場合でも、従来の国内財産だけでなく国外財産も対象になりました。

150720相続人が海外に居住しているとき平成26年版

これにより、出生地主義で国籍が与えられる子に、国外財産を相続させることもできなくなっています。
出生地主義とは領土内で生まれた子供は国籍を得るとする考え方です。(日本は血統主義)
出生地主義の主な国は、アメリカ合衆国、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、アイルランド等

■居住者に関わる金融口座情報の自動交換について
前述したように、節税行為への網掛けや、財産の補足が進んで、課税が強化されています。
その海外財産についても、税務当局・金融機関間で情報交換が行われています。
過日G20首脳会議に於いて、各国の税務当局間で非居住者の金融口座情報を自動交換することが合意されています。
これに伴い日本国内の金融機関は非居住者の情報を所轄税務署に報告することが義務付けられています。新聞等で報じられるのは、アメリカ、スイス、英国等が多いのですが、G20各国でも日本同様の処置が取られていると考えられます。

■節税よりもデメリットを考える
このように世界の国税担当部門が協力して、資産の移動を補足しています。節税が過ぎて脱税になることで被る課徴金や懲役等のデメリットの他に、節税を目的として、親と子が5年以上日本以外の国に住むデメリットを考えると、節税メリットはほとんど感じられません。
地縁や文化の蓄積が薄くなります。
ロングステイアドバイザーとして各国のロングステイサロンから得ている情報では、多くの方が3年間の間に日本に帰国するとのこと、それ以上現地に留まる方は少数派とされています。

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