コラム

 公開日: 2015-07-15 

医療費の国際比較と国民負担について

前回は医療費の動向と高齢者の負担について考えました。巷間言われている生活者の医療費と負担について国際比較資料を探し、日本の負担はどのレベルにあるのかを探りました。
資料は、「厚生労働省医療保障制度に関する国際関係資料」から得ています。
下図は、OECD加盟国の2012年医療費の状況です。
■OECD加盟国の医療費の状況
・総医療費の対GDP比が一番高いのはアメリカ合衆国で16.9%です。次いでオランダの11.8%で、11位のニュージーランドまでが10%以上となっています。日本は10位で10.3%です。9%台の国としてヨーロッパ各国が続いています。

150715医療費の国際比較

・一人当たりの医療費(米ドル)が最も高いのはアメリカ合衆国で8,745ドルです。2位は北欧ノルウェーの6,140ドル、3位はスイス6,080ドルでオランダは5,099ドルの4位です。
日本は、一人当たり医療費では3,649ドルで15位になっています。

・良く医療費等社会保障の対象として、取り上げられることの多いスウェーデンは、総医療費の対GDP比で12位、一人当たりの医療費でも12位にとどまります。

■G7諸国における総医療費の対GDP比と高齢化率の状況
高齢化率では日本は世界一の24.1%ですが、対GDP比では10位で10.3%です。費用との関係で見れば効率が良い国といえると思われます。
高齢化率が2位(21.0%)のドイツは5位(11.3%)、高齢化率(20.8%)のイタリアは対GDPでは9位のイタリアです。

■医療分野についての国際比較

150715医療分野の国際比較

この比較データで日本の特異性が目立つのは、人口千人当たり総病床数で他の国が6.3~2.6であるのに、日本は13.4病床と桁が違うほど多いことが分かります。また、千人当たり急性期医療病床数も7.9でドイツよりも約1.5倍となっています。
そのため人口千人当たり臨床医師数はさほど少なくはないのですが病床百床当り臨床医師数で最少の17.1人しかいません。巷間言われている日本の医師は少ないということに疑念が生じる数値です。小さな病院数が多い為、医師は居るけれども、病床数で除すると小さくなるなどが考えられます。

看護職でも同じような傾向があり、病床百床当たり臨床看護職員数では、他の国と1桁少ない員数となっています。より良い看護を行う為にも、医師数や看護職員数の増加よりも、病床の集合化などが必要に思われます。

一方、平均在院日数、平均在院日数(急性期)は日本は入院日数が長いという点で特異です。
また、外来件数でも桁が異なる多さとなっています。
もし、社会制度としてスウェーデンが良いと報道するのであれば、これらの違いがなぜ発生しているのかを問わなければ、良し悪しは言えないと考えます。ただし、効率という観点で日本が劣っていることは分かります。

■主要国の医療保障制度
下図の表が厚労省資料に載せられています。

150715主要国の医療制度比較

日本、ドイツ、フランス、アメリカは社会保険方式で、スウェーデン(広域自治体)とイギリス(国営)は税方式です。
6ヶ国の中でアメリカだけが皆保険ではなく、他の5ヶ国は実質皆保険とされています。
自己負担はドイツとイギリスは原則なしとされていますが、一部限定的な負担があります。スウェーデンと日本、フランス、アメリカは自己負担があります。

保険料の負担は各国の制度により異なります。無しと紹介されることの多いスウェーデンは、広域自治体が税収(住民所得税など)と自己負担で賄っていますので、保険料が税となって住民に掛っています。
自己負担の無い制度では、医療費が賄えないことが良く分かる資料です。

■負担率について
下図は財務省HP国際比較に関する資料(平成27年5月末現在)に掲載されている資料で、OECD諸国の国民負担率(対国民所得比)を表わしています。

150715各国の税負担

日本の国民負担率は、社会保障負担率が17.4%、租税負担率は23.2%、合わせて39.6%です。これはOECD諸国の中では低い負担率となっています。

社会保障がすぐれていると日本と比較されることの多いスウェーデンは社会保障負担率が7.1%で租税負担率は49.0%ですので、合わせて56.1%となり負担率の高い上位3分の1に入ります。日本との差は16.5%高くなっています。高負担・高給付の国です。日本も高給付にすれば高負担も可能かと考えます。

負担率の伸広が欧米に比べ10%以上あります。これが、日本の国債等政府債務が世界一であっても、返済が可能、税の徴収が可能とされている一因となっています。

■OECD諸国における所得・消費・資産課税等の税収構成比の国際比較(国税+地方税)
同じHPに上記のデータが掲載されています。下図がそれですが、内容が分かり難いと思います。興味がある方は、下記URLをクリックください。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/017.htm

個人の負担は前述の通りですが、所得等全てを加えてみると別な関係が見えます。

150715OECD各国の所得負担

日本は所得課税合計で比べるとOECD34ヶ国中8位に為ります。
個人所得への課税は31%で18位です。一方法人所得には34ヶ国中3位です。法人所得への課税に重点があったと考えます。過去に企業の所得を取ることばかり考えてきた方達が居た為です。あまりに高ければ国際競争力を失います。現在ではグーグルやapple等多くの企業が低課税国に本社を移しています。
一方消費課税は30位です。歴代の内閣が導入と増税を唱えると票が減る構図におびえて、抜本的な改革を図らなかったことと、20年間のデフレのため導入や増税の機会が無かったためです。
個人の税負担+社会保障費負担=国民負担についても、公平性を保つには消費の割合を増やすことが必要と考えています。また、当然なことながら、医療費の改革も測らなければならないと思います。


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