コラム

 公開日: 2015-04-29  最終更新日: 2015-04-30

「日本が財政破たんする可能性は低い」をDATAで確認。ニューズウィーク記事に触発されて

先週発売された、ニューズウイーク日本版4月21日号に、
1.「アベノミクス、景気回復の実感はいつ?」今も懐疑的な見方が多い阿部政権の経済政策が日本にもたらした「奇跡」 ピーター・タスカ(投資顧問会社アーカス・インベストメント共同創設者)

私は、次のように常々思っています。
欧州各国の失業率は軒並み2桁で、南欧諸国の若者の失業率は25%を超えています。それに比べ日本の失業率は一ケタで5%程度です。いくら新聞で失業率の定義が違うといっても「本当に羅本の失業率は高いのか」との疑問と、世界各国との比較で経済環境・景気が悪いのかの疑問を感じざるを得ません。
どうやら、日本は悪い状況といっている方が、記事になりやすいのかと感じています。

2.「日本財政危機」という神話」、消費増税を先延ばしすれば国債が暴落し、国家が破綻する、20年以上前から繰り返されてきた主張には数字のからくりが潜んでいる。ニューズウィーク記者 前川祐補

3.憲法改正が開く経済復活への道」、阿部内閣の動機はナショナリズムにあらず「3本の矢」超える改憲の経済効果に着目せよ。アンドルー・オプラス(世界銀行コンサルタント)
という3本の記事が掲載されています。

各記事とも、日本の3大新聞と日経新聞に比べ、アベノミクスに高い評価を与えて、私には「なるほど」と納得がいく内容でした。

例えば、日本財政危機について、私自身日本の債務は危機的と感じていましたし、年度替わりには政府債務残高をコラムで紹介していました。
私が考えている危機の程度は、下記のもので「日本国家が破綻する」とは考えていません。
将来予測としては、
1,国債金利の上昇→市中金利の上昇→高インフレの到来。
2.国債金利の上昇=国際価格の低下→個人保有の債券による損失。
3.国債金利の上昇→金融機関の損失拡大→資金貸し出しの減少と金利上昇
の発生に伴う景気の停滞等が、私の視野の範囲でした。

ニューズウィークの記事には、コロンビア大学日本経済経営研究所副所長のデービッド・ワインスティーン教授の言では、日本政府が保有する膨大な資産が全く考慮されていない、「誤解を招く」負債規模だと紹介されています。また、記事には、日本は政府関連の公的機関がアメリカに比べて非常に大きくそれぞれが大きな資産を有している、とあります。

確かに、政府等の発表や悲観的な論調の記事には、政府の資産がどの位あるのかは少なく、負債の規模のみが大きく取り上げられています。
(但し、財務省はきちんと資産と負債を捉え、資料もHPに掲載しています。)
そこで、まずは、日本国及び国債の破綻があるのかを調べました。

日本の政府債務の推移は、財務省ホームページにある様に年々増加していて、国と地方を合わせた27年度末政府案では、1,035兆円の借金になります。対GDPでは205%です、世界の主要国の中で最悪の財政と見て取れます。

150429国及び地方の長期債務残高推移

では、日本国の資産と負債はどのようになっているかを見たのが下記の表です。財務省ホームページから得ています。我々が親しんでいる貸借対照表として作成したもので、貸方に資産、借り方は負債です。
これを見ると資産と負債の差額は平成25年度末で、490.4兆円です。
一方、内閣府発表の国民経済計算では、2014年(暦年)の実質GDPは527.2兆円、名目で488,0兆円ですので、資産―負債=ネット負債額で考えると、実質で約93.0%、名目でも約100.%です。

150429国の貸借対照表(平成25年末)

資産の部を見ると、有価証券が129.3兆円、貸付金が137.9兆円という大きな数字になっています。また、運用寄託金も104.8兆円になり、かなり現金化に寄与しそうな金額が大きく計上されています。米国であれば、共和党から資産の圧縮を求められそうな数字が列挙されています。

記事には、年金に関する特別会計と一般会計の処理のカラクリで、より一層財政が悪いと取られると指摘されています。それは、一般会計で国債の返済と利子が計上されて赤字を増やし、そして特別会計で積立金を積み立てている処理についてです。
「特別会計から一般会計に繰り入れられるため、支出が水増しされている」と、山口大学経済学部の馬田哲次教授の言が掲載され、「特別会計を合わせれて計算すれば、言われているほど財政赤字が深刻ではないことが分かるのではないか」と紹介されています。
それを確認できるのが、特別会計の歳入歳出の概要です。

150429特別会計予算(平成27年)

特別会計は、206兆8,454億7,500万円という巨大な数字です。
確かに、歳入の部に一般会計から受け入れが、23兆4,497億3,700万円と、交付税お及び譲与税配布金特別会計等より64兆5,812億5,100万円があり、歳出で204兆2,152億200万円の国債整理支出が計上されています。
このように、各特別会計も含んだ連結歳入歳出予算を作成提示すれば、実態が分かりやすく、赤字の把握も正確になります。

なお、一般会計からの繰り入れ理由は公債等の償還、利払いに充てるため。
としか説明がありません。
また、公債金の発行収入金の額は116兆2,985億3700万円あり、これを必要とする理由として、公債等の償還財源を調達するため。と記載されています。
このように調べれば、企業会計と同じように連結計算書が必要と思われます。

日本国の破綻が無い根拠として、国全体の正味資産(国富)の資料を内閣府HPに掲載されている国民経済計算から紹介します。
正味資産(国富)は平成25年(暦年末)に61.5兆円(+2.1%)増加しました。円安による海外資産の増加があるとはいえ、6年ぶりの増加です。アベノミクスの効果と評価できると私が考えます。土地は6年連続して減少しています。東京の一部では地価が上がりましたが、日本全体では減少しています。私は、相続対策等で不動産を購入している方達は、今後苦労されるのではないかと懸念しています。対外資産は3年連続の増加です。円安効果が見て取れます。

150429正味資産(国富)の推移

平成25年暦年末で、日本の資産は、非金融資産として2,723.7兆円+金融資産が6,570.9兆円あり、負債は6,245.9円ですので、
正味資産(国富)は3,048.7兆円です。その内、対外資産は世界最大の325兆円あり、ここから所得収支が得られます。

150429国民資産と負債残高、正味資産(国富)の内訳

このような数字を見るにつけ、日本は巷間言われているほど危機的な状況ではないと考えます。ただ、各国の財政と比べると見劣りしますので、消費税10%には賛成しています。
早くドイツ並みの財政状態に復帰したいものです。過去、日本は健全財政を世界に誇っていた国ですから。

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