コラム

 公開日: 2014-05-23  最終更新日: 2014-07-31

インフレ時代の現金と預貯金のリスク

前回は、国債破綻のリスクに備えた、国際分散投資をお勧めしました。このシリーズでは、資産運用にはなぜ資産の分散が必要になるのかを説明いたします。

2014年4月、消費税は8%になり、消費者物価もプラスが定着しつつあります。国債の破綻はまだ先の事としても、愈々デフレからインフレへの転換が視野に入ってきました。
既に、デフレの時代が20年以上続いていますので、インフレの怖さを知る方は少なくなっています。

1970年から2000年の間に、物価の平均上昇率は3.7%でした。現在、政府・日銀が目標としているインフレ率は2.0%ですので、それより大きな数字なのですが、当時は消費税がありませんでしたので、今回のインフレ率2.0%の目標は、物価に関しては2.0%以上の上昇になることが考えられます。

総務省統計局が4月25日に発表した、東京都区部平成26年4月中旬速報値は
(1) 総合指数は2010年(平成22年)を100として101.7
前月比は2.0%の上昇前年同月比は2.9%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は101.7
前月比は2.0%の上昇前年同月比は2.7%の上昇
(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は99.9
前月比は1.9%の上昇前年同月比は2.0%の上昇
でした。

下表は古い資料ですが、1970年と2000年の物価を対比させたものです。
とり上げたものの中で、この期間で一番上昇したものはTOPIX(東証株価指数)で、7.8倍になっています。2位はラーメンで、3位が初任給です。物価は3.7倍で、年間平均上昇率は3.7%です。

140523価格はどの程度変わったのか

2012年12月の阿部政権が発足したのちの30年後2042年にはどのようになっているのでしょうか。平均インフレ率が2%であれば、約1.8倍になります。もし、3%であれば、約2.4倍にもなります。

一方、表では普通預金は、30年で2.1倍になっていますが、平均上昇率が2.5%でも物価の上昇には届かず、「びり」となってしまいました。今後も、普通預金は物価上昇よりも低い上昇率が予想されます。

過去20年は、デフレの時代ですので、現金は利子が付かなくても、物価下落により実質金利がプラスでしたから、お金を持っている者が勝ちました。読者の皆様は、これからは、現金で持っているだけでは負けてしまう時代が、近づいていると認識ください。

例えば、1,000万円の資産を全て、短期金融資産(普通預金、MRF、MMF等)で運用している場合、期待リターンは0.1%で、リスク(標準偏差)は1.1%ですので、30年後の資産額は1030.5万円を中心として、確率90%の範囲で最も収益が上がった場合で約1120万円です。(イボットソン アソシエイツ ジャパン社のFP PoPSにて試算)

これでは、インフレ率が2%の場合には物価が1.8倍になりますので、家計は火の車になってしまいます。このように、お金の価値が下がってしまうことをインフレリスクといいます。
これからの時代、インフレに負けないために、収入の増加を図る、支出の節約を行う、資産の活用を図るという、3つの工夫が必要とされます。

次回以降は、インフレに負けないための、国際分散投資について説明いたします。

FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨

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