コラム

 公開日: 2014-05-14  最終更新日: 2014-07-31

不動産は国債破綻時に有効なのか

日本国債の破綻(利払いが出来ない。償還の額が割引されるなど)が発生すると、インフレが発生します。そのインフレに対処するには、不動産を持っていると勝てる・儲かると言われています。本当でしょうか?

日本全体では、インフレ率上昇⇒地価の上昇、住居・ビル等の上物の価格上昇になります。しかしながら。全国一律に上がるのではなく、立地条件の良い地域がより上昇し、価値が低い地域の上昇は限定的になります。

サラリーマンの副業として、賃貸住宅を所有されている方たちは、インフレになれば家賃も上がるとお考えですが、契約内容によっては困難が伴います。日本の借地借家法は世界に冠たる、借地人・借家人が保護されている法律です。
ご自身が貸している貸家の賃貸契約書をご確認ください。定期借家契約であれば、契約満期日に立ち退いていただくことが可能です。それに合わせて家賃の交渉が可能となります。1年前から6か月前までに契約期間満了通知を行えば、立ち退いていただけます。
普通借家契約であれば、更新拒絶には正当事由が必要になり、家賃の値上げは極めつきの困難が伴います。これらを考慮しておかないと、マンション経営などは成り立ちません。

また、勤労者の生活は物価上昇率が高くなる過程で厳しくなりますので、家賃が高いところから低いところへの住み替えも発生します。空室のリスク及び賃貸料未納リスクが高まります。
前回の石油危機におけるインフレ率高騰の際には、給与の上昇も比較的短い期間で上昇が始まりましたので、社会的な混乱は少なかったのですが、国債破綻の場合には、同じような形態にはならないことが予想されます。

間違いなく上がるのは税金です。地価が上昇すれば、資産価値が上がらなくても、名目上の地価が上がり固定資産税の額が上がります。不動産を売却した際には、売却価格からインフレ前の取得価格(相続も含む)を引いたものが利益になりますから、そこに掛る税金も高額になります。売却が出来る不動産であれば、良いのですが、住まいなどは転居が困難ですから、固定資産税のみが多額になるだけです。

1942年~1946年に起きた日本のハイパーインフレの際には、都会では「持ち家」の方は少なく、長屋に住むか、家があっても借地のほうが多かったので、苦しんだのは地主さんでした。また、地方でも農地が多く、その農地は小作地ですから、税を負担したのは一部の大地主層で、農家の殆どは固定資産税を払っていません。
現在は総務省統計局家計調査平成24年によれば、勤労者世帯の持ち家率は約73%%ですので、サラリーマンの70%が固定資産税の高騰に苦しむと思われます。

持ち家の方たちで、一部住宅ローンがある方(総務省家計調査平成24年勤労世帯の37.4%)は、インフレ率上昇の際には、勝ち組になれる可能性があります。ただし、固定金利で借りている方達です。ご承知の通り、固定金利ですので、住宅ローンの返済額は変わりません。一方、給与等の収入はインフレに伴い徐々に上昇します。(インフレ率に合わせて収入が増えることは、過去にはありませんでした)。あくまでインフレ率(≒消費者物価指数)の上昇の後を追いかけるように収入の上昇が始まります。ただし、高インフレ率もいつかは終わります。それが収まった時には収入も増加している為、住宅ローン返済額の可処分所得に占める割合が低下するため、勝ち組に入る可能性が高くなります。

持ち家比率

一方、変動金利で住宅ローンを組まれている方たちは、インフレ率の上昇と共に長期金利が上がり、次いで短期金利も上昇しますので、ローンの返済額が上昇します。現在の可処分所得に占める割合は、総務省統計局家計調査平成24年によれば約19.5%ですがこの比率が維持出来なくなり、生活が苦しくなります。

住宅ローン返済の可処分所得割合

利益に掛る税は別として、国債破綻に際し、不動産での利益を求めるのであれば、分散投資の対象としてREITを検討されてはいかがかと考えます。REITは通常から借入金が大きく、金利高騰時には利払い金が上昇し、従ってREITの市場価格も下落します。その困難期を乗り越えれば、保有物件の時価が上昇し、賃料収入も増加します。従って、市場価格も上昇しますので、高インフレの対処法の候補としては有効な資産と考えられます。ただし、全てのREITが高騰するのではありませんし、倒産に至るREITも続発することが予想されます。銘柄選定には十分な研究をしておくことをお勧めします。もし、流動性を求めるのであれば東証に上場しているJ-REITも研究対象と考えます。個別銘柄でなければ、J-REIT指数に連動するETFが東証に上場されています。指数には倒産がありませんので、価格下落にリスク許容度が耐えられれば、上昇の可能性は高いものと思われます。

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