コラム

 公開日: 2014-05-05  最終更新日: 2014-07-31

国債の破綻を回避するシナリオについて

前回のコラムで、財務省発行の「日本の財政資料」によって、世界最悪レベルの国債残高と、国債破綻がすぐには発生しないであろうことを説明しました。
それでも、絶対に破綻しないとは言い切れません。金融や財政には不確実性=リスクが付き物です。従って、破綻シナリオの勉強と、もし発生した場合の対処を考えてみます。

主に財務省が本年2月発表した「日本の財政関係資料」と日銀のDataを使用します。

常に、国債の破綻という最悪シナリオが語られているため、最初に最良のシナリオ、破綻が発生せずに、長期的には継続可能なレベルまで、公債と債務残高が減少する場合はどのようなケースを考えてみました。

下図は、平成26年の政府予算案で歳出内訳です。一般会計の内訳は、基礎的財政収支対象経費と国債費に分けられます。国債費は債務の償還費と利払費等に分かれます。平成26年には10兆1,319億円の利払い費が発生することが解ります。今後インフレ率が上昇し国債の利率が上がる際にはこの利払い費が拡大することになります。この利払いが払えなくなる日が、国債のデフォルトというX-Dayになります。

140505平成26年度予算案歳出内訳

債務償還費は13兆1,383億円で、歳出の13.7%です。政府債務が1,000兆円あるにしては少ないと思われませんか。実はここにマジックがあります。現在の国債償還はルールによって60年で償還すれば良いことになっています。
10年後の償還で新規国債を600億円発行すると10年後には600億円の内100億円を償還し、残る500億円は借換のための国債=借換債を発行しています。この借換債も60年で償還すればよいので赤字企業が行う自転車操業と同じ形態です。この方式のため、現在もなお1970年代や1980年代の国債の償還が終わっていません。
この償還費用が少ないうちに、新規の国債発行を削減できれば、デフォルトの時期が先送りできます。

歳出の一方には基礎的財政収支対象経費があります。これが本来の歳出です。この基礎的財政収支が削れれば、その分国債の発行が少なくなります。一番大きな支出は社会保障で30兆5,175憶円、歳出額の31.8%を占めています。次いで多いのが地方交付税交付金等で16兆1,424億円です。よく無駄遣いの象徴とされる公共事業は5兆9,685憶円で歳出のたった6.2%です。歳出削減の対象とすべきは社会保障と地方交付税なのです。ただ、これを削減対象とすると選挙の際に票が逃げてしまうため、各党とも避けて通ってきました。
むしろ積極的に農家には戸別保障、子育て世代には子供手当等々の「ばらまき」を行って票を獲得したのが、平成21年の政権交代です。

一方平成26年の歳入予算案が下図です。

140505平成26年度予算案歳入内訳

平成26年予算の税収は50兆10憶円で歳入予算案95兆8,8236億円の52.1%しかありません。公債金が41兆2,500億円で43.0%を占めています。
もし、税収分で本来の支出対象である基礎的財政収支対象金額が賄えれば、新規の国債発行をせずに済みます。このことをプライマリー・バランスと言い、税収が不足すれば赤字、税収が多ければ黒字です。

平成26年度予算案での税収と基礎的財政収支対象金額との差は、
50兆0010億円-72兆6,121憶円=-22兆6,111億円です

この金額は、税収を増やし、基礎的財政収支対象額が削れれば、達成見込みがある希望の金額なのです。

下図は一般会計における歳出・歳入の状況です。

140505一般会計における歳出と歳入の状況

平成21年に歳出が急増し101兆円を超えています。
リーマンショックは平成20年9月15日に発生しました、当年度は麻生内閣の時期で緊急対応を図りました。翌年平成21年9月16日からは民主党の鳩山内閣です。これは麻生内閣のリーマンショックへの対応策と政権交代によるばらまき政策と約束された歳出減が出来なかったことから発生し、次年度以降も95兆円から100兆円を超える歳出が必要になったものです。

実は、プライマリー・バランスに着目しそれに向かって政策を展開した内閣が小泉内閣です。
平成13年4月26日から平成18年9月26日の間政権を維持しました。
次は第一次阿部内閣で平成19年8月27日まで財政を担いました。
この間の歳出額は平成13年度が84.8兆円でその後平成17年度の85.5兆円をピークとして、平成19年度には81.8兆円まで下がり、新規国債の発行も24.5兆円に減少しました。
平成19年度と平成26年度を対比すると、平成19年度が歳出額は14.1兆円少なく、税収は1兆円多いのです。差引15.1兆円の歳出減になります。
従ってこのレベルまで、歳出が下がれば、プライマリー・バランスが維持できます。

現在消費税が1%上がると2兆円の増収になります。26年度は3%増税がスタートした年ですぐには税収が増加しませんが、次年度以降は6兆円の増加が期待できます。
また、次の2%の増税で4兆円が増加し、もしも、IMFの見解を受け入れて20%になれば消費税だけで20兆円の増収が見込めることになります。

消費増税の良し悪しは別として、国債のデフォルトを避ける余地はまだまだありそうです。
また、現在1,000兆円の資産を持つ高齢者の相続で、今回の改正でも相続発生の際に相続税を支払うのは10%以下と予測されています。基礎控除額等を下げて低い税率で相続税を支払う層を広げれば、ここでも課税の余地が出てきます。

法人税の引き下げについても、現在法人税を支払っている企業は3割とされています。
大企業の一部が法人税の大半を負担している構造と為っています。それらの企業に外形標準課税を導入すれば、企業活動の公正さが保て、税収も増加します。
当然社会保障改革を進めれば、歳出が抑制され、国債の償還率も挙げられ国債の破綻が回避されると考えてます。

ただし、このストーリーは、確実に国民の負担率が高まります。
また、企業の中でも赤字企業は税を支払わなければなりませんから淘汰が進みます。
前回のプライマリー・バランスの回復時のように、選挙に不安がある議員の反対やメディアの反対報道で潰える可能性があります。
このストーリーは 国民に不人気な政策になりますが、北ヨーロッパ諸国は成し遂げています。
従って、日本でも成し遂げられる可能性があると考えています。
本日は5月5日「こどもの日」です。将来を担う子供たちのため、
「孫・子につけ(負債)を残さない」ケースを記しました。

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