コラム

 公開日: 2013-06-28  最終更新日: 2014-06-01

海外移住予定がある場合には、証券口座の準備が必要(日本の証券会社の現況)

現在、日本に住み日本の証券会社に口座を開設して取引をしている場合、海外に移住される際には、当該口座の閉鎖(保有証券の売却)、または常任代理人の設置を求められます。
また、通知をせずに出国し非居住者になったことが判明しますと、当該証券会社は口座を凍結しています。

これを回避できないのかという、ご相談もあるのですが、如何ともしがたいとの回答をしています。
そこで今回は数回に分けて、海外に移住する前の準備について紹介いたします。

なぜ日本の証券会社は海外からのネット取引などをお客様に断るのでしょう。
今までにも何回か書いておりますが、前回のコラム作成から、2年以上経っていますので、再度筆者が口座を開設している、大手証券会社に質問をしてみました。

その質問と回答を及び基礎的な知識を紹介します。(質問への回答は丁寧な内容でした)
当該ネット証券は3大ネット証券の一つで、米国の証券会社と提携し、提携先のシステムを利用して日本の顧客が米国の株式等を購入できる証券会社です。筆者も当該口座で日本株式、投資信託、海外個別株式、海外ETFを購入しています。

質問と回答内容は全文紹介するのではなく、筆者独自の判断で省略と編集・追記していますので、誤解が生じた場合の責任は筆者にあり、当該証券会社には責任がないことをお断りしておきます。(質問は2013年5月29日のものです)
また、ネットで各社のホームページでの確認、直接コールセンターに尋ねたり、証券会社の方に尋ねたりして追記を施しています。

質問1
日本に住む人(居住者)が、貴社に口座を開設していて、非居住者(≒海外に住居を移した者)となった場合、ネットでの取引は可能ですか?

回答は、
当社では海外に居住されているお客様からのお取引につきましては、現地の証券法やその他の法律が当社の営業行為に抵触するかどうかが不透明なため、お受けいたしておりません。

筆者意見、
まさに、回答通りの事態が予想されますので、日本の法律を順守しようとすれば、海外からの取引は困難と同意せざるを得ません。

一時的な海外転居のケースにも答えていただきました。
(企業での海外転勤やロングステイされる場合が該当致します)

回答は 
一時的な海外転居等で日本国内に居住されなくなる場合、当社が海外居住されているお客様向けの常任代理人業務を行っていないこと等から、当社の口座を閉鎖していただくか、このまま「休眠口座」としてお取引の制限をさせていただくこととなります。

筆者追記
この回答で、ロングステイなどで非居住者になった場合にネット取引が継続できないことがわかります。
したがって海外転勤が予想される方、ロングステイで移住を検討している方は、予め投資の継続ができるような準備が必要になります。

なお、すでに海外に住んでいらっしゃる場合、口座開設を申し込まれても、口座開設は日本の法令の制約により、日本国内に居住していて、本人確認書類で本人と確認できる方に限られますから、海外から日本の証券会社に個人で口座を開設することはできません。

では、黙って取引を行っている場合には、どうなるのでしょうかを回答しますと
この場合には、郵送物が宛先に届かず返戻郵便となった場合の処理扱いになります。
まずはネット口座のマイページなどでお客様にお知らせが届きます。それに返信・対応せずにいれば、証券会社の判断で口座に制限が加えられます。
注文の受け付けは出来なくなり、コールセンターに電話することになります。

このような事態に備えるのが常任代理人制度です。
常任代理人についてはウィキペディアなどの記載を参考として、その内容を紹介します。

常任代理人業務とは、日本国外に住む投資家に代わって、株式等の配当金や所通知の受領、名義書換えおよび増資・新株引受権権利の行使等を行う、日本国内の代理人業務です。
ネット証券では店舗もないためこの業務を行っていませんが、店舗のある大手証券では、この業務を行っている場合があります。ただ、個人客の業務を引き受けているのか筆者は未確認です。よろしければ読者ご自身でお確かめください。
ただ、この内容でお分かりのように、個人の売買注文などの日々業務の代理人ではありません。

ところで、ネット証券で外国の市場で上場している方は、腑に落ちる点があるのではないでしょうか。
筆者も海外にある企業の株主ではありますが、株主としての議決権を行使したことがありません。
現在まで発生した事項は配当の受取り、新株の割り当て、合併による株式の変更、そして韓国ETFの減税申請だけです。投資会社のバークレー・ハザウェイ社の株式を保有していますがB株ですので、株主総会には出席できなそうです。

なぜこのような代理人が必要かといいますと
日本の上場会社は定款または株式取扱規則において、株主が外国に居住すると日本国内に常任代理人を選任してその住所・氏名・印鑑を届けるか、または通知を受けるべき場所(仮住所)を定めて届けるべきことを定めています。通知を受ける場所は当然ながら日本国内に限ります。
従って日本に在住している代理人が必要になります。

この仕組みは、法令上の規定は存在しないのですが、会社の株主管理負担軽減のため採用されているものです。税法上の非居住者でなくても投資家が外国に転居する場合は投資先の会社(通常は株主名簿管理人)に対し、常任代理人または国内の仮住所を届け出ることになります。株式だけでなく、債券等の有価証券も同様です。
常任代理人は、株主・社債権者を代理して当該有価証券に関する権利を行使し、会社からの通知を受領する等の権限を与えられています。したがって、個人投資家の場合、信頼できる親族や友人を常任代理人として、選任することも可能です。

通常は大手の信託銀行や店舗のある大手の証券会社がカストディ業務を担当する場合には、業務の一環として、常任代理人業務を行っています。その他、投資家と関連があるとみられる日本国内の事業会社を選任するケースもあります。

カストディ業務とは株式や債券などの証券投資を行なう投資家の代理人として、有価証券の保管・管理、元利金・配当金の代理受領、預かり運用資産の受渡し決済、運用成績の管理、議決権の行使など幅広い業務を提供している常任代理人業務のことをいい、一般に投資家は、有価証券を預託する保管機関と常任代理人を別々に定めることができますが、同一人が保管機関と常任代理人を兼ねるケースがほとんどであり、通常、これらを総称してカストディアンといいます。

カストディアンには、複数国の有価証券の保管・管理を取扱うグローバルカストディア(ステート・ストリート、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、JBモルガン・チェース、シティグループ、シュアブなど) と日本など現地の有価証券の保管・管理を取扱うサブカストディアンがあります。

もし、将来海外勤務が予想され、投資を継続したい方は、大手信託銀行や店舗がある大手証券会社に預けるのも一つの選択肢では、あります。ただし、ネットで行い証券取引とは異なり、すぐに対応することはできませんし、当然ながらコストがかかります。

以上、証券口座にかかわる事柄について、紹介いたしました。


文責
日本FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨

【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP(R)/一級ファイナンシャル・゜ランニング技能士
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー&登録講師
生命保険協会認定ライフ・コンサルタント/損害保険募集人合格 
資格ではありませんが東京大学プログラム市民後見人養成講座履修

独立系顧問料制アドバイザーの紹介
http://profile.allabout.co.jp/w/c-64005/
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/12298/
http://www.officemyfp.com/komonryouseiadviser.html

『このコラム又は回答は、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
投資による損益はすべて読者・ご相談者ご自身に帰属いたします。
投資にあたりましては正規の目論見書、説明書等をご覧いただいたうえで、読者・相談者ご自身での最終的なご判断をお願いいたします。
本コラムは、信頼できると判断した情報に基づき筆者が作成していますが、その情報の正確性若しくは信頼性について保証するものではありません。』

この記事を書いたプロ

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ファイナンシャルプランナー 吉野充巨

東京都中央区日本橋1-6-7 日本橋関谷ビル4F [地図]
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