コラム

 公開日: 2013-03-19  最終更新日: 2014-07-31

ヘッジファンドのリターンはリスクの高さに見合わないのでは

前回までで、ヘッジファンドのあり方や手法の外観はおわかり頂けたと思います。
今回は、一般的な投資家として、ヘッジファンドを購入したら「儲かるのか」を考えてみます。

最初に結論を言えば、儲かるファンドもあるし、儲からないファンドもある、通常の金融商品と変わらない商品と言えます。

ハイリターンではあるけれども、ハイリスクの商品です。

リスクの種類は大きく言えば2つです。
一つには、仕組みの問題です。前回、全壊紹介した運用方法のほかに、ヘッジファンドは一般的にレバレッジを掛けた運用を行っています。
投資家から集めた資金を元として、借入金で運用資金量を増やしたり、デリバティブを使用します。ですから投資家から集めた100億円の資金で、運用額は500億円という事が起こりえます。
上記の例で、借入金の利息が5%、運用コストが10億円掛った場合で、運用による利益を10%上げた際には、50億円から、運用コスト10億円と利子を20億円払った後の利益は20億円になります。このファンドの収益率は20%という事になります。
損失が10%出た場合には、当なるかと言いますと、損失額50億円に利息20億円、コスト10億円で、投資資金に対しては、80%の損失になります。投資家が投資した資金は、20億円しか残りません。
また、デリバティブでは、通常、原資産の将来の値動きに対するリスクヘッジ手段として開発されていますから、一般的には満期日における原資産の価格と、デリバティブ契約上の取り決め価格との差額分だけを決済する差金決済になります。

そして、原資産取引での元本と同規模の資金を用意する必要は無く、証拠金を入れれば済みます(通常は原資産取引額の3~25倍の証拠金の。この証拠金に100億円を投じた取引を行いますと、原資産の運用利回りが5%の場合で、投下した資金に対しては15億円から125億円の運用利回りになります。当然同じ率の損失が出れば、損失額はマイナス15億円~マイナス125億円になり、元金を超えた赤字を抱える事になりかねません。破産です!!!

このように、ハイリスクでハイリターンですし、運用益10%の際の利益額と運用損失10%の元本に対する利益額と損失額の比較では、損失額の方が多くなります。

もし、運用が成功50%、失敗50%の半々で実現した際には、長期間投資すると、元本が確実に減じることになります。
では、ヘッジファンドの運用は、一般の投資信託よりも、優れているのでしょうか?
多くの場合、運用が優れているとは言えないと、参考とする本には書かれています。一例として、咋年2012年のヘッジファンドの成績が、英国フィナンシャルタイムズ紙の記事が日経新聞2013年3月7日に掲載されています。
その記事の中で、世界のトップクラスのヘッジファンドが苦戦し、単純なバランス型ポートアぉリオを運用するファンドより低かったことが報告されています。また、当年の一流ヘッジファンドのリターンが11%より低かったことも記載されています。

ちなみに私がHPで公開しているマイファンドレポートには、2012年のリターンは11.2%でした。
http://www.officemyfp.com/myfundreport-64.html

通常のファンドマネジャーは、長期的にはインデックスにかなわないとされています。図に示すように、日本株のファンドマネジャーでTOPIXに勝った年は2会です。
ヘッジファンドのマネジャーたちが、一般のファンドマネジャーより能力があるとは参考とする本には書かれていません。ウォール街のランダムウォーカーには、恥ずかしく歩けないと書かれています。

ファンドマネジャーの成績

もう一つの要因はその報酬体系にあります
報酬の面からもヘッジファンドは、リスクが高い仕組みです。
一般的に、報酬体系は2・20(ツー、ツエンテイー)とされています。投資家はファンド運用費用として2%で、利益が出た際に利益額の20%を支払う体系です。
上記の11%の利益が出たファンドに、1億円を投資した際には利益は管理料の200万円と利益に対する報酬220万円を支払った残りの680万円が利益です。6.8%にしかなりません。

ポートフォリオの成績を測るメジャーとして、シャープレシオというものがあります。
これは、
シャープレシオ=(ポートフォリオの収益率-無リスク資産の収益率)÷ポートフォリオのリスク(標準偏差)
で表します。

私は、長期的な観点から、ヘッジファンドへの投資はリスクの大きさに合わない投資になると考えています。
また、この報酬体系は、リスクが大きい運用をすればファンドマネジャーの報酬額が多くなる体型です。なぜならば、利益を出せば、それに対して一定の比率で報酬が増えます。しかしながら、損を出しても、ファンドマネジャーは損失を補てんしません。この為、運用者の報酬額を高めるためのインセンティブがあります。
なお、超富裕層の定義は5億円以上です。従って、1億円をヘッジファンドに投じても、20%以下になります。この場合、損失が出ても全資産への影響は限定的です。このような方であれば、一部の資産をヘッジファンドに配分しても、宜しいかと思いますが、、それでも、なお、私はお勧めできません。
前回も紹介しました通り、ヘッジファンドの閉鎖件数は毎年600件以上です。2009年には1,000件を超えています。このように浮き沈みの激しいファンド界に資金を投じるリスクは、一般投資家として高すぎると思います。

参考として資料は、ウィキペデア、バートン・ビックス著「ヘッジホッグ」、バートンマルキール著「ウォール街のランダム・ウォーカー」チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」、デイビッド・スウェンセン著「Unconventional Success」日本経済新聞記事、週刊ダイヤモンドの記事などから得た知識を元に書いています。

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文責
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