コラム

 公開日: 2013-03-17  最終更新日: 2014-06-01

ヘッジファンドの投資・運用手法についての紹介、それでも破綻するヘッジファンドの多さ

前回はヘッジファンドの概要について説明致しました。
今回は、その運用方法について説明しますが、通常の一般投資家には必要の無い手法ですが、金融商品を購入する際に、目論見書を読む際や営業トークに惑わされないための知識としてお読みください。
ヘッジファンドの中で最も残高が多いとされているのが、ロング・ショートという投資戦略です。
運用手法を語る際に「ロング」とは買って保有する状態で、ショートとは売った状態を維持(ポジション)していることを指します。

ヘッジファンドの運用手法でロング・ショートは、ファンドのアナリストやファンドマネジャーが、割安と評価した銘柄を「買い」のポジションをとり、割高と判断した銘柄は「売り」のポジションをとります。
現在の様に、株価が上昇局面にある場合には、ロング(買い)のポジションをとり、高値と思ったときに売却します。また、相場が下げている際には、空売りを行い、底に近づいたと考えた際に買い戻しをします。
また、トレンドに乗る手法で、上昇局面では、買いから入り、利益確定のため売却、まだいけると判断した際には、購入し、利益確定で売るという、トレンドフォーローという手法をとります。下げの局面では、この逆に売っては買い戻し、また売っては買い戻す等大きなトレンドに従って売買を行います。

ファンドとしては、当然のことですが、複数の銘柄を扱いますので、ある銘柄はロングで、別な銘柄はショートというように、ロングとショートが混在し、また同じ銘柄でも、相場の状態で、ロングからショートに転じることもあります。

昔から採用されていた手法でヘッジファンドも採用している手法に、裁定取引(アービトラージ)があります。
この手法は同じ銘柄が日本とニューヨークに上場されていて、日本での価格がニューヨークに比べて安い場合に、日本で購入してニューヨークで売却する取引を指します。このように、同じものが、市場や時間・形態で価格が異なる場合に、一方で購入し片方で売ることで利益を得ることを裁定取引と言います。原則、市場のゆがみの発見で利益を得るのでリスクは無いとされています。
貿易の一部もこの価格が異なる地域間を移動することで利益を得るものです。金利差を利用するもの、先物と現物、時間差による裁定も在ります。

現代では、ネットにより世界の市場が繋がっています。従って、同一の銘柄が各地の市場で売買されていますから、投資家のバイアスにより、価格差が生じることがあり、裁定取引には格好の場の提供となっています。ただし、ネット世界の良さ(情報の伝わるスピードが速い)で、その差は瞬時に無くなりますから、高速コンピューターなどを備え、差も小さなものですから、レバレッジを掛けて取引額を大きくしたり、頻度を高める必要があります。投資する金額が少額では儲かる率が極めて少なくなります。

裁定に似た手法に、レラクティブ・バリューという手法があります。これは前記裁定取引と混同され当該手法は、「相対的」な割安・割高を機会と捉え利益を得るものです。

行事や催しに基づいて行動するという意味の、イベント・ドリブンという手法があります。主に企業の買収や売却等の行事(イベント)の際に発生するミスプライスを収益機会ととらえて投資するものです。イベントの予測でも動くことがあります。例えば、A社とB社の合併発表が在ったとします。その際に、A社とB社の合併比率、株価評価等が株価に反映するまでに時間が在り、その時間を利用して収益を稼げる場合があります。
ヘッジファンドの活動では無いのですが、日経225の銘柄入れ替えで、採用される企業の株式を買い、採用されるときに売却する(指数に入れるために必ず一定量を購入します)、採用から外れる銘柄を売り持ちにする等の行為は、証券会社が行っています。これも、イベントに乗じて利益を得る行為です。

マーケット・ニュートラルという手法があります。我々FPの勉強の中で、市場の動き(指数)に感応して利益を上げる、βという数値と、その市場の動きに係らずに生まれる収益をアルファと言います。市場の動きに左右されないという意味で、マーケット・ニュートラルと言われます。

銘柄を選定する効果≒アルファだけを積み上げていく特性を持ちますから、当該銘柄のアルファが消失した際に売却します。ヘッジファンドの中で最もリスクが低く安定した運用手法の一つと言われています。従って、伝統的な手法で選んだポートフォリオに追加した際に得られる分散効果が最も高いとされています(本文はウィキペディアの記載に頼っています)。

私は、市場に左右されずにアルファのみを追う事が出来るのかに、疑問を抱いています。ピーター・バーンスタイン著「アルファを求める男たち」に書かれているように、多くの理論家が投資にチャレンジしてきた結果として、市場に均衡が生まれてしまうので、アルファを求め続けて成功するのは至難です。
アルファが存在することは確かなのですが、それを収益に換え続けることは困難かと思います。

グローバル・マクロは運用手法では無く、多種多様な市場・資産において、様々な手法を用いて収益を上げようとするファンドの総称です。当該名前がついているのは、マクロ経済の動向を見通して、トップダウンアプローチに基づいて、世界市場で様々なポジションを張って収益を上げています。

このようなファンドとしては、クォンタム・ファンドのジョージ・ソロス氏、ポール・チューダー・ジョーンズ氏、ルイス・ベーコン氏、レイ・ダリオ氏、アラン・ハワード氏など、世界的に著名な方が運用責任者です。

ヘッジファンドとは異なり、コモディティに投資するファンドの手法として、マネージド・フューチャーズがあります。これは取引所に上場している先物に投資する手法です。
また、未上場企業に投資するベンチャーキャピタルや、企業買収、再生、売却を手掛ける、プライベート・エクイティに属するファンドも在ります。

これら様々にファンドに投資しようとする際には、夫々のファンドがとっている手法と、その運用の実態(AIJやLTCM、マドフ氏事件など)をキチン掌握できる方だけにお薦めします。

何しろ、米調査会社ヘッジファンドリサーチによると2012年上半期だけでも424のヘッジファンドが閉鎖されています。(日経新聞2012/10/18記事)
なお、閉鎖数は2009年1-6月 650件超、2009年7-12月300件超、2010年1-6月400超、2010年7-12月300件超、2011年1-6月350超、2011年7-12月350件超と公表されています。
この閉鎖数を見れば、ヘッジファンド業界でも、収益を上げるのは易しくないことが解ります。
「ヘッジホッグ」を読むと栄枯盛衰のスピードの速さが解ります。

参考として資料は、ウィキペデア、バートン・ビックス著「ヘッジホッグ」、バートンマルキール著「ウォール街のランダム・ウォーカー」チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」、デイビッド・スウェンセン著「Unconventional Success」日本経済新聞記事、週刊ダイヤモンドの記事などから得た知識を元に書いています。

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文責
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【保有資格】
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独立系顧問料制アドバイザーの紹介
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