コラム

 公開日: 2012-11-26  最終更新日: 2014-06-10

限定追加型 早期償還条項付き ファンドについて

前回のコラムでは、仕組み債について「売り手側の立場」から考察してみました。仕組み債では、早期返還条項の発行により、買い手としての一般投資家の利益が限定されてしまう事を説明しました。
では、仕組み債とは異なる、早期償還条件付の商品にはどのようなものがあるのでしょうか?

まず頭に浮かぶのは、銀行が募集していたデリバティブ仕組み預金が有ります。ただ、現時点、大手銀行等は本年9月から相次いで販売を中止しています。

理由は、金融庁が預金者に支払われる金利のうちオプション料に相当する部分(これにより高い金利が可能になっています)を預金保険の対象外にする方針を決めたことからメガバンク3行は販売方針の見直しに追い込まれたとのことです。筆者の憶測ですが、お客様にリスクが高い商品ということが露わに為る事などから販売が見込めなくなる等が理由ではないかと思われます。

また、新生銀行やあおぞら銀行、一部地銀も販売を取りやめています。ただし、これまでに販売してきたデリバティブ預金については、保護対象とする方針とのことです。

日本株式に投資する投資信託やハイブリッド証券中で早期償還条件付のものが有ります。

今回は日本株式に投資する投資信託の内1本で、売り手側のロジックを考察いたします。
当該投資信託の期間は3年です。
通常、投資信託は長期投資の対象と考えられていますので、10年と償還期限なしが多いのですが、このファンドは設定期間としては大変短いものです。
また、募集期間は期間が限られ、また募集限度額も決められています。

基準価格が決めた価格を超えた場合に、安定運用(債券を順次購入)に移行し、ファンド全体が安定運用に移行した際に繰上げ償還に為ります。

投資対象は、日本株投信としては、違和感のないものです。同様な業種企業を対象とする通常の投資信託も在りそうです。

では、売り手側のこの商品を販売するメリットはどのようなものが有るでしょうか。
投資信託の売り手サイドの収益は、販売手数料+信託報酬+信託財産留保額です。

当該投信は、販売手数料は購入金額による段階型のもので、税込みで3.15%~0.105%です。信託報酬は年率1.5225%(税込)です。

売り手側のメリットとして
支出としての経費では
募集は期間限定ですから、追加型投信(何時でも購入を受け付けます)とは異なり、費用が抑えられます。解約も原則ないためここでも費用が抑制されます⇒コストが安くなります。

決算が年間で1回です。毎月分配型が主流を占める日本では、年一回の決算は経費が抑制できます。⇒コストが安くなります。(毎月分配型はとても効率の悪いものです)

収入のメリットは3年間の手数料トータルで考えると解ります。
2,000万円未満の購入者に対しては、3.0%+1.45%×3年=7.35%に為ります。
1年当たり、2.45%です。
もし2年で償還できれば、2.95%に当ります。

売り手側としては、現在、ノーロードの投信が多くなり、販売手数料は低下傾向にありますので、最初に3.15%が得られる投信は貴重では無いかと推察しています。

売り他からすると、早期償還の条件を付けることで、買い手の錯覚(その価格まで上がるのではという期待に働きかけられます)が生じます。募集内容には仮定した基準価格を保証していない旨、キチンと記載されています。あくまで買い手の期待値です。

買い手側としては、早期償還はメリットが有りません。
もし、投信の運用状況が長期保有したいのですから、早く終わるのはメリットがありません。
運用成績が悪ければ、解約ができる事が望ましく、この点でもメリットが有りません。
ファンドマネジャーの成績は事前に予測出来ないとされています。従って、選んだ銘柄の成績が良ければ長期保有することをお薦めしています。また、長期間保有することで当初投じた買付手数料は、長期間保有することで年当たりのコストが低下します。これが長期保有の運用成績が上がる一因になります。

最後に、早期でも、満期でも償還されます。この時に、ユーザーに対して乗換では無く、新しい投資対象をお薦めできます、業界の悪癖として、短期間の買換えが非難されています。それを回避できる手段でもあるのではと考えます。

購入を検討される場合には、他の投信との比較、インデックス・ファンド&ETFとの比較を行うようお勧めします。

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