コラム

 公開日: 2012-11-24  最終更新日: 2014-07-31

仕組み債はハイリスク・マイナスリターンの商品です。その理由は?

現在証券会社で販売している債券の説明を続けます。
仕組み債という商品が有ります。

例えば、「円建て、早期償還条項付き参照株式株価連動社債」というものです。
内容は、年利率8/0% (税引前 期間 1年
条件は早期償還判定水準:105%
ノックイン判定水準:65%
参照株価は日本の大手の会社(A社とします)が指定されています。

販売資料の最初の説明は 
今後1年で、A社の株価終値について35%以上の値下がりが無いと考えている方にチャンス! と書かれています。
その後、銘柄概要読みますと、実に丁寧に書かれています。私は金融庁の指導の賜物と思います。投資に関する基礎知識をお持ちで無い方でも何が起きればどうなるのかは下記に示すように解ると思います。

A社の株価が105%を超えれば早期償還され以降は金利が貰えないことも書いてあります。
また、株価が一度でも株価が65%以下になれば、損失が出てしまうことも記載されており、試算値も書かれています。

また、株価が基準とした株価から105%>株価>65%に入っていれば、8%の金利と元本が戻ってくることが記されています。

これを読めば、感覚的には有利な商品の様に感じる方が多いのではないでしょうか。

でも、この様な商品の期待リターンは、マイナスであり、利益は限定されて損失は限定されない商品で、リスクも高いものです。これは感覚的にすぐには掴めないと思います。

何故、ハイリスクで期待リターンがマイナスなのかを説明致します。

国内株式のばらつきを皆様もご存じのTOPIXで見てみますと、1952年~2011年の間、リターンの算術平均は13.0%でリスク(標準偏差.)は29.6.%でした。(幾何平均ですとリターンは9.5%でリスク(標準偏差は20.5%程度です)
この期間の年度ごとのリターンを横軸(X軸)を算術平均で置き、結果をプロットすると、図に示すようなベルカーブのグラフに為ります。

標準的なベルカーブ

リスク(偏差値)1は単年度の結果の68%がこの中に入るとされています。

A社の株価も、長期間プロットすればこのようなベルカーブが描けます。
ただし、東証1部に上場している銘柄全体の平均がTOPIXですので、単年度の結果はより広い範囲にプロットされる事が予想されます。従って通常年でも、35%の下落が発生する可能性は大きいと思われます。最悪の場合の想定は標準偏差2です。
従ってハイリスクな商品であることがお分かりかと思います。

ここで早期償還条件が基準株価×105%とされています。ということは図2で示しますように、結果のばらつきのプラスの部分は大きく掛けてしまいます。本来なら、プラスが50%、マイナスが50%になりますが、プラス分の面積が少なくなります。図の斜線部分だけです、

マイナスリターンのベルカーブ

期待リターンとは予想される結果の平均値です。
と云うことはマイナス部分が大きいのですから、小さな面積のプラスと大きな面積のマイナスを足して割った平均は矢印のように右側によりますので、期待リターンはリターンになってしまいます。

また、本来は正常なベルカーブの範囲に分布される物ですが、プラスの部分に5%分しか有りませんので、早期償還条件である105%に掛る可能性も高いものと推測できます。

では、なぜ8%もの高い金利が払えるのでしょうか。それは債券の購入者が債券を購入することで、デリバティブ取引の一種であるオプションの、ある価格で売るというプットオプションを売っているからです。

オプション取引とは、現在の株価が上昇する・下落すると考える人達が、一定の株価になった際に、売る権利・買う権利を売買する事をさします。
売る権利はプットと言い、買う権利をコールと言います。そして、売る権利を買う・売る、買う権利を売る・買うの4種類に分類されます。

プットの売り
例えば、A社株が:現在1,000円の時に、650円のプットオプションを売ると、株価が500円になっても、650円で購入しなけれは成りません。このため、プットの売りは大きな損失を抱える可能性が高いため、FPの授業ではオプションの売りは「しない」よう先生からアドバイスが有ります。

結論として、仕組み債の購入は
早期返還条件が実現する可能性が高いこと。
この為最初から期待リターンはマイナスの商品で
利益は年に8%と限定的ですが損失は限定出来ない商品
というご理解の下、高いリスクだけれども、高い利子を得る可能性にかけたい方にお勧めできる商品です。

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文責
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