コラム

 公開日: 2012-09-26  最終更新日: 2014-07-31

期待リターンがマイナス・リターンになる商品とは

先日、吉本佳生氏著確立・統計でわかる「金融リスク」のからくり [想定外の喪失]をどう避けるか(ブルーバックス)を読みました。
金融のリスク(危機では無く、ボラティリティー、標準偏差)について、解りやすく解説されています。そのシュミレーションの方法、リスクを算出する方法等が勉強になります。

本の中で、ハイリスク、マイナス・リターンが書かれた一章が有り、日頃、セミナーで下図を示して、ハイリスク・ローリターンの説明をしている者にとって、「目から鱗」の内容でした。吉本氏が例として上げているのは、外国債券の仕組み債のリターンはマイナス・リターンになる事を説明したものです。確かにマイナスリターンですので、今後は、丁リターンでは無く、マイナス・リターンと云うことを説明したいと思います。

リターンとリスクの関係

文集に書かれているように、
株価投資のリスク評価をするなら、将来の株価変化率の確率分布を予想する事になり、平均は「予想される株価変化率の平均」を意味し、これを「予想リターン(期待リターン)」と呼びます。
従いまして確率的に、シミュレーションした際に結果の分布の平均がマイナスになる商品はマイナス・リターンの商品です。

例えば、宝くじは、賞金が高額であっても、当初に開催者(国や自治体)が必要経費と利益を取った後に賞金として配りますから、賞金を受け取った結果のばらつきの平均(期待リターン)は、投資額の平均より低くなり、マイナス・リターンです。

同じように、賭け事の競馬、競輪、競艇などもマイナス・リターンの仲間です。そして、デリバティブ取引も、株式や債券とは異なり、その取引からは成果物が生まれませんので、投機としての結果はコストを引いた額の「ばらつき」になり、平均(期待リターン)はマイナス・リターンです。

日本株式の場合、TOPIXの毎年の結果から期待リターンを算出する場合、期間を20年、30年という短く設定する、そのボラティリティーの平均(期待リターン)はマイナスになる可能性が有ります。

仕組み債も、利益の上限は限定され、損失は限定されませんので、その平均はマイナスになります。全ての結果がマイナスの領域に入るのではなく、シミュレーションで利益が得られたものと、損失が得られた結果を集め平均とると、マイナスになっているから、マイナス・リターンと言います。

過去のリターンを紹介する際に使う、下図の様なベルカーブ・グラフがあります。
そのリターンの分布をプロットするとベルカーブになるので、使われています。
平均がリターンの平均として示されています。この平均が、マイナスに振れ、利益が出る領域が狭くなるのが、マイナス・リターンの商品です。
標準偏差コスト表示
ただ、これらはコスト抜きですので、夫々の結果からコストを引いてプロットすれば、その平均はコスト分だけ、利益を減じる方向に移動します。儲かる範囲がそれだけ狭くなります。各銘柄のコストがコスト抜きの期待リターンを上回る場合には、まさにマイナス・リターンの商品です。、

標準偏差グラフ

紹介した吉本氏の本には、シミュレーション用のサイコロの展開図が付いています。これを作成してシミュレーションしますと、リスクを動きを体感することができます。
ぜひ、ご一読をお薦めします。

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