コラム

 公開日: 2018-07-04 

深刻化する大都市圏の空き家問題



【今日のポイント】

 最新の路線価が発表されたのはご存知でしたか? 不動産を所有されている方は、まずは相続財産となる不動産の評価額の確認と、場合によっては相続の見直しを図りましょう。

 さて、この対極にあるのが空き家問題ですが、今日は首都圏を始めとする大都市圏における将来の空き家問題について解説していきたいと思います。


【より深刻な将来の空き家とは?】

 当然ですが、今現在でも空き家や所有者不明の空き地の問題は周囲に多大な迷惑をかけており、深刻な問題となっていますが、さらに深刻な問題になると言われているのが、将来空き家必至の家=空き家予備軍の急増なのです。

 新聞記事によりますと、65歳以上の高齢者だけの世帯が暮らす戸建てとマンションを調査したところ、東名阪の3大都市圏だけで実に336万戸!!という結果が出ました。 これは同都市圏内の持ち家に占める割合としては実に20%に達するそうです!

 現時点の同エリアでの「空き家」比率は7%で、これでも対応に苦慮しているというのに、数年後には3倍に膨れ上がるとなれば問題の深刻さが分かるのではないでしょうか。

 なぜ、空き家予備軍という「想定」が成り立つのでしょうか? 

 最大のポイントは当該の高齢者の住まいには、その後の入居者の当てが殆どないという点です。 原因としては、相続人たる子がいない、仮に子はいても既にほかの土地に別に一家を構えており、今の自宅に転居してくる可能性が無い、ほとんど見込めないといった事実があるからです。

 当面の策として、賃貸に出すという選択も現実的ではありません。 新築の賃貸物件が毎月のように完成し、そのすべてが今の住まいよりも公共交通機関へのアクセスや生活用品の入手が容易であり、自分の生活に適度な広さの物件が揃っているのです。 厳しい言い方ですが、中古で郊外の一軒家では相手になりません。

 東京圏に限れば、現時点の空き家が約15万戸で空き家率で言いますと持ち家の約5%ですが、これに対し空き家予備軍は約67万戸で持ち家の約21%を占めるとありました。 実に4倍強の構成比に跳ね上がります!

 6月23日付の日経新聞朝刊の記事によりますと、東京圏での市区区分で見ると高齢者のみの持ち家比率のトップは千葉県我孫子市で27,5%でその戸数は約1万2千戸弱。 二位は東京都町田市で27,3%で約3万戸超とありました。四位には東京都三鷹市が入っており、25,7%で約1万5百戸でした。 この数字がそう遠くない将来には持ち主のない、誰も暮らしていない「空き家」になっていくのです。


【変わる価値観】

 これまでも他のコラム等で何度も書いていますが、50代以上の世代にとって我が家を持つことは、すごろくのあがり、のようなものでした。

 新入社員、または独身時代は、会社の寮か賃貸物件の中でも風呂無し共同トイレの木造アパートから始まりました。それが結婚して夫婦二人の生活になると、バストイレ付、但し中古の賃貸アパート暮らしとなり、この辺りから「マイホーム獲得」を目標に定め、節約や貯金に奔るケースが急増します。

 念願のマイホームを手にするときは、多くの場合新興住宅地の分譲一戸建てや当時はまだ出始めだったマンションを購入するのが一般的でした。 

 あの頃の都心の駅近には古くからの住宅街が健在で、道幅もクルマ社会以前に整備されたもので生活道路の域を出ないもので、駐車場スペースにも事欠くような小規模な住宅が過半を占めていました。

 これに対して郊外の開発したての新興住宅地には洒落た建売住宅が立ち並び、いずれニュータウンとして近代的設備に囲まれた明るい未来を謳う状態が始まっていたのです。 土日になると若夫婦が電車やバスを乗り継いで、大挙して造成中の未来の住まいに夢を馳せる・・・ そんな光景が首都圏郊外のそこここに見受けられたものです。

 前章で述べた我孫子市、町田市などはまさにこの例に当てはまるものでした。

 このような地域で顕著になってきた空き家予備軍ですが、より深刻な傾向として23区内の古くからの住宅街でも空き家予備軍が登場し始めています。

 具体的な事例を、私が実際に業務で訪れた住宅街の中から紹介しましょう。

 JR中央線沿線では、昔から続く小規模な戸建てが密集し、先に述べたように駐車場のスペースはほぼ無く、道路幅も狭く、コインパーキングも期待薄、という街並みが目立っていました。 さらに区画が細かいため、小規模な商店は存在するものの、大規模なスーパーはスペースの問題から建設が難しく、まとまった買い物の場合は駅周辺、又は隣のターミナル駅まで出向く必要がありました。 とはいえ、40代前後までの健康な家族が暮らすのであれば、それでもさほど重要な問題にはなりませんでした。

 その後時間の経過と共に子供が独立し仕事の都合で家を出てしまい、今では老夫婦のみ、又は高齢の一人暮らしという状態の家が増えてきたのです。 地域は殆どが個人所有地、コンビニも容易には進出出来ず、その為、日用品一つ買うにも移動の為の時間と労力を強いられます。

 今まで話題となってきたのは、どちらかというと郊外の地域での問題であり、区内では往時のニュータウンと称された大規模な「分譲オンリーの団地街」が入居者の高齢化と共に街自体が高齢化し、機能不全に陥りつつあるといった問題でしたが、この様な実態からみると、23区内の戸建ての住宅街にもそう遠くない時期に同じ兆候が現れるのは必至です。

 これまでのように、いったん土地と家を手にしたら、死ぬまで手離さない! という絶対的な価値観を持たれてきた不動産ですが、今や生涯賃貸暮らしで構わないというケースや、マイホームは欲しいがその時々の自分の置かれた環境に応じた家に住み替えるというケースも目立っているのです。 こういう傾向がメジャーになってくれば、既に住環境としては疑問符が付けられるようになったエリアに、土地が、家があるからというだけであえて親子2代、3代にわたって住み続けるという考えは曲がり角に来ているのではと思います。

 分相応な住まいに暮らす、分不相当になった時点で変な固執をせずに手離す、住み替えるという柔軟な発想を持つことで少しでも空き家予備軍の事前処置が進むことを期待したいところです。

この記事を書いたプロ

寺田淳行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 寺田淳

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TEL:03-5157-5027

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