コラム

 公開日: 2018-06-22 

情報の確認は徹底的に! ~改葬の場合



【今日のポイント】

 前回のコラムで所有する空き家や空き地の現状を把握することの重要性を紹介しましたが、この流れで同様に常に最新かつ正確な情報が欠かせない案件が多数あります。

 今回はこの中から、「改葬」業務に伴う情報収集の重要性について紹介していきたいと思います。



【改葬の手順とトラブル】

 改葬の手順を簡単にまとめますと、まずは依頼人からの情報で場所の特定と当該墓地の管理責任者が誰かを確認します、一般的には菩提寺の敷地内が多いのですが、中には当時の村の共同墓地で現在では自治体の委嘱を受けた町内会長や村の総代といった名士が名目上の管理責任者というケースもあるのです。

 次に、実際の墓の場所の特定です。 墓石撤去作業時にどれだけの道幅があるのか? 重機の使用が可能か? 駐車スペースは何台分あるのか? など等事前に把握しておきませんと、工事関係の車両、依頼人の家族の方の移動用のクルマ、さらには墓石の場所によっては住職が出向く際に自家用車というケースもあるので、事前の確認は欠かせません。

 この後に、改葬の申請に必要な書類を当該自治体に提出し、改葬許可申請用紙を入手し現在の墓地の管理責任者からの改葬の承諾のサインと押印を貰うのです。 完成した許可申請を再び当該自治体の窓口に提出して、初めて改葬許可証が発行されます。

 この一連の手続きにおいてよく言われるのが、現在の墓の管理者がなかなかお墓の撤去に関してサイン・押印に応じてくれない為、改葬が進められないというケースです。 特に地方の菩提寺の場合はただでさえ減少が続く檀家がさらに流出するわけですからいろいろと懐柔策や、話がこじれると法外な額の「お布施」 今では「離檀料」という根拠のない名目の現金を請求してきます!

 この話だけで3,4回連続のコラムが書けそうですが、今回はもっと初期の段階での共わぬトラブルの事例です。

 場所の特定に出向いたら、肝心のお墓が・・・・・・・?


【お墓が見つからない!】


事例その1)
 依頼を受けて墓地、霊園の場所が特定出来る手書きの地図を用意してもらい、地元に出向きましたが、現場に到着してみると全く様変わりした風景が広がっていました。 すぐに依頼人に連絡をして改めて確認してもらったところ、地図のデータは20数年前の写真がベースでした・・・ 

 結局地図上で目印とされた商店や看板はとっくに消え失せ、区画整理の際に道路も整備されたため全く同じパターンの交差点が並んでおり、依頼人もお手上げ状態でした。 いったん管轄の自治体に戻って現状と地図画面のマッチングをして、ようやく目指すお墓の場所を特定することが出来ました。


事例その2)
 山の斜面を利用した古くからの墓地で 見分けがつきにくいので、目印に柿の木が生えている区画の墓石が自分の家の墓と言われたのですが、これも現地に赴いたところ、きれいさっぱり周囲の雑木と共に伐採されており、お手上げとなりました。 さすがにこのケースでは依頼人と住職の立会いで場所を特定することとなりました。

 
 さて、なぜ目印が無くなると手の打ちようがなくなるのでしょう? 直接墓碑銘を確認すれば簡単に身元が判明するのではと思われるでしょう、 そこに今回の事例に共通する「古くから続いている墓地の落とし穴」がありました。

 先祖代々の土地に墓を建てた場合、親族たちも近隣の墓地に墓を持つことは当たり前のことでしたから、多くの場合、墓碑に刻まれている姓は、皆同じなのです! さらに私の経験では「〇〇家代々乃墓」といった表記が多く、第三者では区別は不可能です。 裏面の戒名などで判別が出来るのではとも思いましたが、当の依頼人が戒名を知らず、さらに墓石自体が相当古いものなのでほとんど判読不能な状態のものが多く、また戒名には類似した文字が多用されているケースもあり、断定が出来ませんでした。

 依頼人自体がほとんど墓に詣でたことが無く、このような墓の実情にも疎く、私からの連絡で初めて現実を知ったという方もいらしゃいました。

 正確な場所に加え、墓碑銘や戒名なども出来る限り事前に聞き出しておくことが非常に重要な事と痛感した次第です。


 【お墓が 無い!】

 上記と似たようなケースですが、菩提寺は間違っていない、お墓も情報通りの配列になっている、周囲に同姓の墓は無いことも確認済みで出向いたところ、数年前に菩提寺からいわゆる無縁墓とされて撤去、永代供養墓に合祀されていたのです。 相談者の父祖の代以前からどうも菩提寺とは疎遠になっていたとのことで、連絡先も伝えていなかったのでしょう。 せっかく先祖孝行な子孫が出てきたのですが、時すでに遅しでした。 当然改葬業務は取り止めとなりました。



【お墓が 増えている?】

 先とは逆のケースです。
私もこれまで一回しか体験していませんが、郷里にある本家の墓の改葬相談を受け、相談者が本家の総代という事もあり、最後の墓参りを兼ねて私と一緒にお墓の確認に行ったところ、広大な墓地の敷地内に別個に墓石が建立されていたのです! 

 幸いまだ新しい墓石で、近隣に暮らす分家の墓ということはすぐに判明し、その日のうちに出向いたところ、相談者の父親の代の時に本家の墓の敷地内に墓を設ける事の承諾を得ていたとのことでした。

 既に父親は他界しており確認の術もなく、当面の改葬は不可能な状況となりました。相談者は緻密な性格の方で既に住職とも閉眼供養のスケジュールを決め、同時に撤去の業者の手配も進めていたのですが、肝心のお墓の撤去と更地化が出来なくなったため、全てご破算とするしかありませんでした。

  
  如何でしたでしょうか? 
お墓が見つからない、 無い、 増えていた  冗談のような話ですが、すべて実際に起きた事例です。

 前回採り上げた空き家や空き地に加えて、郷里にある実家のお墓の現状についても確実な情報を把握しておく事はいざという時のスムースな事務手続き遂行にとって欠かせないという事、お判り頂けたでしょうか?


 次回は、その他の事例で、現場の確認、現状の把握の重要性を紹介したいと思います。

この記事を書いたプロ

寺田淳行政書士事務所 [ホームページ]

行政書士 寺田淳

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TEL:03-5157-5027

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