コラム

 公開日: 2018-04-27 

戸籍の基礎知識

【今日のポイント】

 相続の発生時に欠かせないことのひとつに、相続人の存在の確認があります。 相続人の存在確認は戸籍の確認で行う、これは基礎中の基礎です。

 今日は身近にありながら意外に知らない戸籍に関しての紹介記事です。


【呼称上の氏、民法上の氏】

 まず最初に紹介するのは、戸籍に記載されている「氏=姓」に関することです。

 例えば、結婚した際に夫の氏(姓)を夫婦で名乗っていたもの、その後離婚した場合で仕事の関係や子供の事情等で妻が離婚後も結婚時の姓を名乗っている場合、「呼称上の氏」と「民法上の氏」を持つことになります。

 たとえば、山田一郎さんと佐藤(結婚前の姓)花子さんが離婚し、両者の子である太郎くんの親権者を母親の花子さんとしたとしましょう、この場合花子さんの「民法上の氏」は旧姓の佐藤に戻ります。

 ですが、子供への配慮等で離婚した後も佐藤花子さんが山田姓を名乗りたい場合には「婚氏続称」を選択するが出来ます。これを選択すると、婚姻時の山田姓をそのまま続けて名乗ることが可能になります。

 この場合山田姓の山田花子が彼女の「呼称上の氏」 となり、「民法上の氏」である佐藤とは分離することになるのです。

 ちなみに、この場合太郎くんの氏も「呼称上の氏」は母親と同じ山田姓となりますが、「民法上の氏」は母子で異なります。 即ち、正子さんは「佐藤」で、太郎くんは「山田」となるのです。

 仮にその後、太郎くんの親権者である正子さんの戸籍に入れることを希望すれば、民法第791条の手続を経て、太郎くんの「民法上の氏」を、母の正子さんの「民法上の氏」である佐藤に変更する必要があります。
但し、太郎くんの「呼称上の氏」は従来通り山田姓のままで変更はありません。

 ここでいう「呼称上の氏」というものが、「戸籍上の氏」になるのです。


【戸籍の三大原則とは?】

 戸籍の編製単位 の原則として、三大原則と言われるものがあります。

①夫婦及び同氏の子同一戸籍の原則
②三代戸籍禁止の原則
③一夫婦一戸籍の原則

 以下にそれぞれの原則に関する簡単な説明を記載します。


【夫婦及び同氏の子同一戸籍の原則】

 氏には 「親子同姓」「夫婦同姓」の原則があります。
例えば、養子縁組した場合は「養子養親は同一姓」となります。

 では、夫婦のうち妻だけが縁戚の人物と養子縁組をした場合の妻の姓はどうなるでしょうか? 夫の姓のままか、養親の姓に代わるのでしょうか?

 この場合は、更に別の原則が定められています。 即ち、夫婦同姓の原則が 養親子同姓の原則よりも優先されるのです。 民法810条に「養子は、養親の氏を称する。但し、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。」とあり、、夫婦同姓に優先権が認められています。

 なので、義縁組をした後でも、今まで通り夫の姓のままで構わないのです。


【三代戸籍禁止の原則】

 戸籍上は「親=子」までしか記載されません。 親、子、孫にわたる三代戸籍は作成されないのです。 例外として祖父と孫が同一の戸籍に記載されるケースに孫を養子にした場合がありますが、これも形式上は親と子の二代になる訳です。

 なぜ、このような原則が定められたのでしょうか? いろいろな背景がいろいろな参考書や資料に掲載されていますが、その中から代表的なものをピックアップしました。

 例えば親が望まぬ相手と子が結婚し、その後子(孫)が出来た場合に、三代戸籍が制度化されていた場合には、親の戸籍に子の子(孫)まで加わることになります。 親の複雑な心情面からもこの様な戸籍を望まない親がいることも三代戸籍となっていない理由の一つとされていました。
 
 さらに具体的な事情からの説明として、子(娘)が結婚せずに子供(孫)を産んだ場合、未婚の子は親の戸籍に入ったままですから親・子・孫の関係にはなりません。子には自分の戸籍がありませんから孫は子の籍に入れる事が出来ない事になります。 ですから、関係上は、親・未婚の母となった子・未婚の母となった子の子という関係になります。

 では、仮に親が死んだら未婚の母が三代戸籍の長になるのでしょうか? そうはならないのです。

 先に書いたように未婚の母には戸籍がありません、なので親の戸籍を引き継ぐ事が出来ません。その為その子供(孫)以降の子供は全部、「戸籍無し」として登録され続ける事になります。

 それでも戸籍のない家系からでも結婚して、新たな戸籍を設ける人も出てくるでしょうが、こうなってくると戸籍のある人、無い人が複雑に続くことになってしまい、戸籍制度崩壊の恐れが出てきます。

 この様な事態を避ける為に、戸籍は二代までとしてとして、先の未婚の母の子は未婚の母の戸籍に入る事ができるようにして戸籍の流れが止まらないように簡略化したというのが現制度となっています。



【一夫婦一戸籍の原則】

 現行の戸籍法では、戸籍編製の基準において「夫婦親子を以て一戸籍」とされています。

 この様な形式にした理由として 「夫婦・親子関係が最も自然かつ基本的な結合であり、またこれが親族共同生活態の類型である」ためである、と法務府担当官(当時)が説明しています。


 戸籍に関しては掘り下げていけばいくほど、複雑難解な事例やそれに対する専門的知識が無ければ理解困難な解釈が出てきますので、今回はここまでとしておきますが、一度は親と自分の戸籍、自分と家族の戸籍の確認をすることで相続発生時に戸籍の持つ意味を正しく理解出来ることにもなるのです。

この記事を書いたプロ

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