コラム

 公開日: 2018-04-16 

不動産の相続から売却まで 最新の節税事情とは?

【今日のポイント】

 さて、今回の内容は、前回のコラムの中で最後に簡単に紹介した不動産の相続に関しての最新の情報についてです。



【小規模住宅等の特例】

 少しでも相続について考えたことがある方はご存知かと思いますが、持ち家相続の際の極めて有力な節税方法です。

改めて紹介しますと、故人が住んでいた自宅の土地に関して、

1)土地の評価額の減額
  330㎡までなら80%減の評価額になる。

2)相続する人の条件
   同居していた親族
   別居していた親族=家なき子

   これに該当する場合に1)の評価額の80%減が適用されるのです。 但し、土地を所有していた故人に配偶者、同居していた法定相続人がいない場合という条件が付帯します。


 

【特例の適用条件の変更】

 上記2)にある「別居していた親族」の中で、相続が発生する前の3年間、自分、又は配偶者の所有する家屋に住んでいない場合=賃貸暮らしの場合について「家なき子」と認定されていました。

 ここにある「自分、又は配偶者の所有する家屋」でなければ、適用対象となる点を「応用して」 網の目を潜り抜けるような節税が行われてきました。

 一例では自分の子供にこれまで自分(又は配偶者)名義の住まいを生前贈与の形で子供に継承させ、自分たちはそこに「間借り」する形式にするのです。 このやり方によって、上記の家なき子の適用条件を満たすことになったのです!

 さすがに国も税務署も甘くはなく、今回の改正に伴って家なき子の条件が変わりました。

 この4月からは以下の様な条件となったのです。

 相続発生前の3年間、
 「自分、配偶者、3親等内の親族、特別な関係の法人が所有する家屋」
 「自分が過去に所有した家屋に住んでいない事」
 という項目が追加されました。

 これによって、
 ・親に買ってもらったいた親名義の家に暮らしていた。
 ・同族会社に売却した自宅で暮らしていた。
 ・早々に自宅を子の名義にした(孫に生前贈与で所有権を変えた)

 これまでの規定では、上記に挙げた方法で家なき子認定が適用されていたのですが、明白な税逃れの指摘から、こういったケースについては特例対象から外されたのです。


 さらに、同居していた場合でも 自分の家族は自分の持ち家で暮らしており、(子供である)自分だけが親と親の家に同居していた場合、名目上は適用条件にある「親族の同居」ですが、その必要性に合理的な説明がつかないと税務署が判断を下した場合は適用から除外されます。

 例えば、仕事の都合上自分の持ち家からの通勤が困難で、やむなく親の実家から通勤する事となって親の家に自分だけが同居というようなケースであれば別でしょうが、一駅しか離れていない実家にわざわざ自分ひとりが同居となればどうでしょうか? 適用されるとは思えません。

 また、同居親族として特例を適用する場合は「相続発生後最低でも10カ月間」は手放すことなく住み続けないと特例の適用が認められなくなります。 ではどうやって10カ月暮らしていたかが判断出来るのか?という点が気になります。 この点については、一つの判断基準として、水道や電気、ガスの公共料金の領収証が最も有力なものとされているようです。


 補足ですが、
故人が経営していたアパートや駐車場の土地にも特例があります。

 従来は
200㎡までなら50%の減額評価に
相続する人の条件は 故人の親族

だけでした。

 特例の適用条件として相続の直前までアパート経営や駐車場経営をしていればよかったのが、「相続迄3年超にわたってこの事業を継続していた場合」とされました。

 この結果、相続前に節税目的でこの様な土地を購入しておき、相続発生時に特例を適用し、申告/納付して、その後売却して相続税の節税を図れたものが 3年間超の事業継続という追加条件が加わり、その場しのぎの土地購入では節税は出来なくなりました。

 この様に4月からの民法改正に伴って相続税に関しても改正が加えられています。 よく改正点をチェックし、自分たちの場合には問題がないかどうか、事前に調べることが必要です。



【実家のリフォーム費用】

 相続の前に 高齢になった親と同居する際にバリアフリー化等のリフォームを行う、この時も減税措置が用意されています。 この条件としては、以下の通りです。

・子が50才以上
・返済期間が5年以上
・リフォーム費用が50万円以上

 このような場合には、費用の年末の残高(上限250万円)の2%、その他のリフォーム借入金の年末残高(バリアフリー改修借入金を含め1,000万円を上限)の1%を、5年間にわたって所得税から控除できます。

 年間の控除限度額が12万5千円で、最大5年間で62万5千円の控除が受けられます。 但し、2021年にこの制度は終了するので、2021年の大みそかが入居期限になる点に注意して下さい。


 住宅ローン減税も忘れてはいけませんね。

 リフォーム面積が50㎡以上、工事費用が補助金を除き100万円以上等の要件を満たせば、リフォームローンの年末残高の1%(4,000万円を限度)が10年間所得税から控除されます。 これも最大10年間で400万円の節税となります。

 但し、この恩恵を受ける場合、「現役世代で所得がある子」がリフォーム費用を出す場合に、この節税効果が発揮されるのです。 子供可愛さに親が費用を負担してしまうと、多くの場合所得税減税とはならず、子は従来通りの所得税が課せられ、親の側からしてもせっかくの相続財産が目減りしてしまうという両方損、となる場合があります。



【実家の売却】

 最後に、売却を選択する場合についての注意事項です。

 空家になってから3年以内に売却の場合は、譲渡益が発生しても「譲渡所得税の特別控除」によって3,000万円の控除が受けられますが、これが3年以上経過してしまうと、仮に譲渡益が出た場合、住民税と所得税が発生し、控除は受けられなくなります。

 譲渡所得は「譲渡価額―取得価額」で算出します。 売却で赤字なら非課税、黒字なら課税となります。

 親が入院や入所で家を出ることになり、自分たちもここで暮らすことが無い場合は、早めの決断によって税金を節約できるという事です。

 この場合、最も注意すべきは親が子供の家を建てた、買った時の「ローン契約書等の書類」が無ければ、正しい購入価額が証明出来ません。 先に書いたように売却金額が取得金額を下回っていれば非課税ですが、この証明が出来ない場合は「売却額の95%が売却益」とされ、課税対象となるのです!

 不動産の場合は、名義人が誰か、登記に関する書類の確認が重要と言われますが、これに次いで家の所得時の費用の証拠書類(証明書類)も確認しておくべき書類という事をよく覚えておいて下さい。

この記事を書いたプロ

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