コラム

 公開日: 2018-04-12 

相続の発生前にすべきこと

【今日のポイント】

 今日は今更の感もありますが、相続の発生を考える時が来た時に最低限、最優先で検討すべき項目について紹介したいと思います。 

 頭では判っていたようでも、いざその場に直面した時にいかに基礎的なことにも思いが及ばなくなっている事例が少なくなかったことから改めて採り上げました。



【確認しておくべきこと】

 出来れば親が健全な健康状態の時の確認が望ましいこととして、

①法定相続人の確定
  当たり前のことですが、遺産相続は「法定相続人の人数」によって相続財産の額が決まります。 

 例えば、
・故人に結婚歴(離婚歴)があり、前妻との間に子がいたり、婚外子を認知してしていないか? 
・法定相続人の中に相当以前から海外に永住している者がいないかどうか? 
・ここ数年、またはそれ以上音信不通の者がいないか?

 上記のような事実は出来れば当人が存命のうちに確認しておきましょう。 ある程度想定が出来ての準備と、全く想定していなかったままの準備とではその後の時間と手間は段違いなものになります。

 
②資産内容の把握
  生臭い話ではありますが、避けては通れない項目です。

 通常の財産と言えば、預貯金や有価証券、不動産が思い浮かぶでしょう、さらに追加すれば書画骨董品、貴金属等の市場でもその価値が認められた資産が加わりますが、より重要なことは ここに挙げた以外の「財産調査」が要注意なのです。

 特に詳細を把握すべきは「借金や連帯保証人」といった「負の相続財産」の有無です。 

 この「財産」は全貌を正確に調べないままに安易な単純承認をしてしまうと莫大な借金を相続するという悪夢が待ち構えています!

 他にも価値の分からない品を独断で処置しないことも挙げられます。

 故人が常日頃愛用していた使い古しの時計、「積んどく」だけの書籍だったから遺族間の合意で、早々に形見分けしてしまうと、一見するだけでは何の変哲もない時計であっても、中には超高額なレアものがあったりします。 古ぼけた置き時計がアンティークの価値が高いものだったり、書籍でも高名な作家の希少品のさらに初版本だったりすればその世界では相当な価値を評価されます。

 後日その事実を国税庁が把握すれば、場合によっては「故意の相続財産隠し」と断定されます。

 世界的な市場が形成されていない所謂マニアの世界だけで高評価される品もあります。 どうせ何十年も前の古本だから、時代遅れのおもちゃだから・・・ と早合点して懐に入れてしまうと、実はその世界では数十万、数百万の価値が保障された品かもしれません。 興味ない人から見ればただの資源ごみ?でも、ある世界ではとんでもない高付加価値品=相続財産に該当する資産 なのかもしれません。

 
 冒頭でも書きましたが、上記の①,②に関しては親が心身ともに健全なときにこそ確認すべきことなのです。 仮に最初は言い忘れたことがあっても追加することが出来ますし、後になって記憶違いに気付けばその都度修正が図れます。

 一度で全てを記録する、確認すると思うと腰が引けます、何度かに分けて確認することでより正確な情報となるのです。 しかしながら、親が健全であればあるほど、この手の話の受け止め方は微妙なものになります。 いきなり「尋問」のような口調で切り出せば、親としてもそれなりの対応になっても仕方ありません。 こうなると、日頃のコミュニケーションが大きな意味を持つことになります。 この辺りのアプローチについてはこれなら絶対!という正解はありません。 各自の創意工夫?に委ねますので宜しくお願いします。



【見極めること】

 次に、なかなか難しいことになりますが、「親の健康状態の見極め」も外せない項目です。

 肉体的な衰えも重要ですが、最大のチェックポイントは「判断能力の低下の具合」です。 例えば、冷蔵庫に同じ食材や飲料品が大量に貯蔵されている、訳の分からない通販グッズが届いていた等です。

 またどう見ても年齢からくる当然の「物忘れ」ではなく、その言動自体を覚えていないようなケースが始まったという場合です。

 以前も紹介しましたが、被相続人に判断能力が無くなった場合、後見人による財産管理が始まります。 成年後見制度の適用となれば、当人の財産は実の子、配偶者であっても勝手に引き出したり使用することは許されません。

 残酷な言い方ですが、財産を処分できるのは当人の死亡を待つしかないのです。

 また、徐々に判断能力を低下させる場合であれば、早期段階で成年後見制度を検討出来ます。 ですが認知症以外でも判断能力を発揮できなくなるケースは多々あります。 交通事故やスポーツの最中のアクシデントで意識不明状態になったり、脳梗塞等の急な疾病の発症によっても場合によっては意思を発揮できない状態で固定化されるのです。

 この課題についても、ポイントは親が健全なうちに成年後見制度について親子で理解を深めていく事です。 個人的な見解ですが、中でも「任意後見制度~任意後見契約」についてはより深く理解することが必要と思います。

 任意後見の特徴は「まだ親に判断力があるうちに契約が可能」という点です。 これによって当人の希望する人物を後見人に指名しておくことが出来ます。 認知症発症後は「法定後見制度」が適用となり、家裁が選任する法定後見人がその任に就きます。 法定後見の場合、親族が後見人になれる確率は概ね30%以下でした。

 赤の他人である第三者の後見人の場合、特に当人の財産管理には厳格な対応をします。極言すれば、あくまでも当人の財産は当人の利益や生活の為に使用を認めないというスタンスです。

 配偶者、実の子と言えど後見人の承認なくしては当人名義の財産からは1円も引き出せなくなります。 いざという時の為に、父親名義の口座に入院入所費用を用意していた、が、認知症を発症、もしくは事故の後遺症で意思の発揮が不可能な状態となった場合、法定後見制度によって第三者後見人が就任します。 仮に高度な治療を継続する場合や、個室での完全介護を必要とされたような場合はかなり高額な医療費が発生しますが、当初は全て子や配偶者の負担になります。 目の前に このような場合に備えた(当人名義の)預貯金があるにもかかわらず、です。

 さらに、高齢の両親の場合は遺された配偶者が心身の疲弊から長期入院や入所を迫られたとなれば、子にはダブルで、物心両面の負担を課せられます。
 
 このような事態を避けたいのであれば、まずは親の状態の把握と、将来の備えについて見極めることが必要になります。



【検討しておくこと】

 相続について考えるとなれば、必ず思い浮かぶのは「相続税の節税」でしょう。 この中から特に不動産に関する節税対先について紹介したいと思います。

①不動産の節税
 既に認識されていると思いますが、「小規模宅地等の特例」の活用は必ず検討すべき節税策です、ですがこの特例がこの4月から適用条件が一部改正されたことはご存知でしょうか?

②不動産の売却タイミング
 空き家になった実家を売却する場合、実は売却のタイミングで課税・非課税が変わること、ご存知でしょうか?


 この項目については紙面の都合もあるので、次回のコラムで別枠で紹介したいと思います。

 

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